第24話



フィアは助けし、実行犯もしっかりと対処した。後はベラフに帰るだけなのだが。


「帰って時間を動かし始めたら、色々説明しなきゃいけないわけでしょ?帰りたく無くなるな〜」


最初はこれしか無い!って思ってたんだけど。

フェムトにもやりすぎって怒られたし、終わって冷静になれば、場所がわかってたわけなんだから、転移して敵だけ時間止めれば、水の精霊の魔力供給だって必要無かったなって気づいた。


「いつまでグチグチ言ってても状況が変わるわけじゃないし帰るか。でも、獣王国の王都の時間停止を解除しないでこのまま解放しに行くなら、時間を止めたことまで説明しなきゃ行けないじゃん!」


時間が止まってることに関しては、説明しなきゃいけない人達も止まってるから、必要ないと思ってたのに。


そうだ!今から王都に行って、全部凍らせちゃえばいいんだ。時間を止めたままでも、それなら凍って動けないと勘違いしてくれるはず。時間止まってるから、何にも気にせず凍らせても死なないから楽だし。

フィアをさらったやつが王都に逃げたから、

王都ごと凍らせちゃったでいいや。


問題は俺が王都の場所を知らないことだけど、フィアなら知ってるかな?


「フィアって獣王国の王都がどこにあるか分かる?」


「知ってるが何をするつもりだ?」


簡単に考えていることを話す。

話し終わった後、少し考えてからフィアが喋りだした。


「確かに時間を止めたと説明されるよりは、王都を丸ごと氷漬けにしたという方がまだ理解は出来る。どちらも有り得ない事だというのは変わらないが」


「王都も普通に解除して、予定どうり獣王国とリンファス王国の合同部隊で奪還でも良いけど、時間がかかりそうなのがなー」


異世界の神が裏で暗躍してるのか、どんどん敵が増えている現状、時間をかけるのも良くなさそうだ。



その後、1度ベラフに戻ってから王都に向かい数時間ようやく、王都が見えてきた。


「だいぶ時間がかかったな。時間が止まってるから気にする必要は無いけど。まあわざわざ時間をかける必要もないから、早くやっちゃうか」


都市1個を丸々凍らせるぐらい、権能を使うのに比べたら、苦にもならないのでささっと魔法を発動して、凍らせる。


「よしこれでおっけー。ベラフに戻って時間停止を解くだけだ」


帰りは転移魔法が使えるので一瞬んでベラフに戻ってくることが出来た。

会議室に入った後、時間停止を解除した。


会議室にいた人たちが動き出し、既にフィアが帰ってきていることに気づき、何もしていないのに、また石像になったみたいに動かなくなった。


「王、私たちの魔力を使ったと思ったら次の瞬間フィアさんは帰って来てて、どんな魔法を使ったんですか?」


「内緒。それと呼び方は今までと同じでお願いします」


まあ、ディアーネさんなら後で説明してあげてもいいけど、今説明するとさっき迄の準備が全部無駄になっちゃうからね。


予定どうりに進めるためにアウルス殿下に話しかけるか。


「アウルス殿下、謝らないといけない事がありまして。ちょっとやりすぎた結果、王都氷漬けにしちゃいました。敵味方関係なしに人間は誰一人殺してませんので安心してください」


石像のように動かなかったアウルス殿下が

『は?』とだけ言ってまた固まった。

自分で言ってて思うけど。

安心してくださいって、出来るわけないよ!


「本当に大丈夫なんですか?凍ってるんですよね王都?」


「大丈夫ですよ、いつでも元通りに出来ますし。そうしないのは、このままの方が無駄な戦闘をしないですむかなって思ったからです」


会議は一時中断 、三十分後に再開する運びとなった。



ーーーーーーーーーー


獣王国サイド


「はぁ、頭が痛い。どうすればいいと思う?ガラ」


アウルスは幼い頃から、自分の教育をしてくれて一番信頼してる、ガラへと質問をする。


「コウ殿を信用する他ないでしょうな。」


「それしか無いか。だがどう信じろと?

まず、都市1つを丸ごと氷漬けの時点で可笑しい。しかも人は殺してないと?信じられると思うか?そんな馬鹿な話を」


「水の上位精霊に王と崇められる方です。

その程度簡単に出来なければ、王と呼ばれることは無いでしょう。上位精霊ですら、一体で国を滅ぼせると言われているのですから」


「人間の尺度で測るのが間違いと言うわけか。メルはどう思う?」


「怪我人を治療してくれたり、避難民を含めて配給出来るように大量のお菓子を用意したり普段は聖人と崇められても可笑しくない方かな?

ただ逆鱗に触れると手の付けられない厄災となり得る存在ですかね?

ただ関係の無い人を巻き込む方とは思えません。巻き込まない為にあえて凍らせたのでは?余計な混乱が生まれないように」


確かに絶対の自信があるなら、それも有りなのか?と考えるアウルス。


「結局は、直ぐに王都へと向かって、説明と違うなら追求するぐらいが妥当か」


追求すると言っても相手は圧倒的上位者その結果怒らせてしまっては意味が無い。


方針は決まったがどうしてこうなったと頭を抱えるアウルスだった。


読んでいただきありがとうございます。

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