第25話
リンファス王国サイド
「この状況、陛下にどう伝えれば。団長もお茶ばっか飲んでないで手伝ってください」
今回リンファス部隊のNo.2として参加している団長の部下が報告書を、途中まで書いては破り捨てて、新しい紙に書き直してを繰り返している。
「そのまま書けば大丈夫だろ?それとも虚偽報告をするつもりか?」
「正直に書いて、信じて貰えると思いますか?逆に虚偽報告を疑われるレベルです」
「陛下はコウ殿の正体を初めから知ってるから、その心配はないぞ。それに王家と契約している、上位精霊っていうのも本当は火の精霊王だし」
「いつもだったら、もっとましな嘘をついたらどうですか?って言うんですけどね」
はぁ、とため息をした後、報告書を描き始めた。
「今回、これ以上被害もでなさそうだし、コウ殿がキレてくれて正直うちとしてはラッキーだったな。獣王国は大変だろうが」
「獣王国の人達の前で、それ絶対に言わないでくださいね。関係ない一般人まで巻き込まれてる獣王国側は今頃頭を抱えている頃でしょうし」
「巻き込まれたからこそ被害がでないですむと思うけどな」
動けないのだから、避難時にパニックになって人災が起きることが無い。
「確かにそうかも知れませんが、罪のない自国民を氷漬けにされたら国として、それなりの対応をしなきゃ行けないでしょう。
相手が精霊王とかいう馬鹿げた存在なので、それも難しいでしょうし。本当、獣王国の人達には頑張ってくださいとしか言えないです」
「そこは、使徒して神の奇跡を使って罪のない国民を保護したとでも発表してもらえば何とかなるだろう。ついでに怪我を治したりしとけば信じるだろう。実際、使徒なわけだし」
因みに、王都の人間を皆治療するとなると
何十万という数を診なきゃ行けないのだが
彼なら、簡単に出来るだろうと考えていた。
「実際、コウ殿だって何も考えて無いって事はないと思うぞ。」
「そうかも知れませんが。これがリンファス王国でなくてほんとに良かったです。これの事後処理なんて絶対やりたくないです」
「ほんとにな」
その後、本国に報告をあげてから、会議室に戻って行った。
ーーーーーーーーーー
三十分経って再開された会議で、色々決まり
既に制圧されていると過程し、王都についたら今回の反乱を起こした者たちと帝国軍を
1箇所に集めるのが主な任務となる。
俺はそれが終わったら一般人を解放その時に怪我等があればそれも治す。
数十万単位の人を一気に治療するのは少し面倒臭いけど、巻き込んじゃった人達だしお詫びも兼ねて、それぐらいはやるか。
「今から急ピッチで準備を始めなきゃ行けませんので、会議はこれで終了にさせて頂きます」
その宣言の後、俺以外の人達が慌ただしく動き出した。
申し訳ないな、と思いつつ手伝おうとしても
邪魔になるだけなのが分かりきっているので、大人しく部屋に戻った。
3時間ほどで準備が終わり、アウルス殿下の号令で飛行船が獣王国の王都に向かって動き出した。
コウは個室を用意してもらいそこで寛いでいた。
「フェムトにいいものが無いか聞いてみるか」
やるかとは言ったものの数十万人を一気に治療するのはやっぱり面倒臭いし疲れるので、
都合のいい魔道具か神器を持ってないかフェムトに聞きに行くことにした。
「という事で 、都合のいい魔道具かなんかない?」
「あるけど、今回コウが考え無しにやり過ぎたのが原因でしょ?出来ないわけじゃないんだから自分で頑張りなよ」
いつもなら、直ぐに力を貸してくれるフェムトだが、上手くいったから良かったものの失敗したら死んでしまうような事を、する必要が無いのに使った事を怒っているみたい。
「そこを何とか、水の回復魔法じゃ、免疫力をあげたりは出来るけど、風邪を直接治すわけじゃないし。他の魔法より集中しなきゃいけないから、数十万単位に回復魔法使うとなると他のこと出来なくなるから、そのタイミングで襲われたら、何も出来ないで殺されちゃうよ」
「はぁ、わかったよ。その代わり終わったら精霊界で精霊王のお仕事して貰うからね」
必死でお願いした結果、何とか用意してもらえることになった。
その代わり精霊界でお仕事をする事になったけど。
精霊王とか言っときながら、今まで何もしてなかったので、精霊達へのアピールも兼ねて精一杯頑張ろう。
「ありがとうございます。仕事も精一杯頑張りたいと思います」
「時間がかかるだけで、そんなに難しい事はしないから、そこまで気を張ることは無いよ。で、これが『回復』の権能を付与したものね。一回使ったら砕けるようになってるから、使うタイミング間違えないでね?」
1回だけの使い切りタイプか、権能だからえげつない効果があるんだろうけどね。
フェムトの権能である『模倣』やっぱりチートだな、模倣した権能をしっかり使いこなしているフェムトが凄いってのもあるけど。
フェムトにお礼と出来るだけ早く帰ってくるからと言って、飛行船に帰って行った。
読んでいただきありがとうございます。
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