第20話



部屋に帰って来たら、フィアとアルトさんが

話していた。今日の予定についての話し合いだろう 。


アルトさんは二度手間だったかもしれないけど、今日の予定について直接確認させてもらった。

朝食を用意するかも聞かれたが、用意してきたから大丈夫と断った。

あんこ玉も、フェムト作のマジックバック(見た目は巾着袋)事、丁度良かったので渡しておいた。


「私はこれで失礼致します。本当にマジックバックの返却の必要は無いのですか?」


マジックバックは効果の低い物なら自作できるのだが、ダンジョンの宝箱から出てくるレベルの物は人間に作ることは出来ない為、貴重で手に入りにくい。


渡したマジックバックはフェムト作なので当然ダンジョン産レベルのマジックバックな為

アルトさんは本当に返さなくて良いのか、確認をしたわけだ。


「俺はマジックバック無くても、収納魔法が使えるし、獣王国で有効活用して」


本当はフェムトに頼めば、もっと高性能なものでも作ってくれるので必要ないという理由なのだが、流石にこれをバカ正直に話すわけにはいかないので、適当にそれっぽい言い訳をした訳だが、少し無理があったかもしれない。


「分かりました。こちらのマジックバックは獣王国で大切に使わせて頂きます」


アルトさんは色々聞きたそうな顔をしていたが、空気を読んでそれ以上詳しくは聞かず

マジックバックを受け取って貰えた。

アルトさんは部屋を出ていく時にもう一度お礼を言って部屋を後にした。


「会議まで時間がそれ程ある訳じゃないし、早くご飯を食べて準備しよう。フィアはもう朝ご飯食べたの?」


「着替えが終わった後、直ぐにアルトさんが来て今日の予定について話してたから 、まだ何も食べて無い」


「俺が作ったやつだからそこまで美味しいわけじゃないし、日本の料理だから口に合うか分からないけどこれでいい?それとも他の用意して貰おうか?」


リンファス王国では、和食に似たダイワ食が人気みたいだし、口に合わないって事はないと思うけど。


「コウが作ったご飯がいい」


そう食い気味にフィアが返事をした。


テーブルの上に2人分、自分で作った朝食を出して、フィアにどんな料理か説明していく。塩昆布と豆腐にワカメは食べたこと無かったらしく、興味深そうに観察してから食べていた。

そういえば、公爵家でダイワ食風のご飯を食べた時に味噌汁も出てきたけど、じゃがいもとかキノコとかが入ってて、豆腐とかワカメ入ってなかったな。

リンファス王国は海に面してない内陸国だし

海藻類とかにがりを使う豆腐が存在しないのは当然なのかもしれない。

ダイワに行けば有るのかな?油揚げ食べたい、無いなら作るしかないけど、にがりを海水から作るのは知っていても作った事ないし、ああ、でもディアーネさんが豆腐持ってたんだから、どこかで作られてるのは確かか、どこで作り方を習ったのか後で聞いておこう。


「朝はこのぐらいあっさりしている方が食べやすい。今の状態では野菜とは違って森に入って狩りをすれば 、手に入る肉の方が用意し安いから仕方の無いことではあるが」


獣人だから肉が大好きなのかって思ってたけど、そっか今の状態だと野菜の方が貴重だから少なかっただけか。

マルタが飛行船できた時に支援物資として、色々積んで来てたし、今日の朝食はもしかしたら野菜多めのあっさりしたものだったかもしれない。

まあ、久しぶりに和食を食べれて美味しかったし、気にしない気にしない。


「それにしても、昨日実施した会議は全く進まず、今回からは俺も参加して欲しいか。

一体何やってるんだか」


くだらない事で言い争ってたら、会議中にキレるかもしれない。


「昨日は会議が進まなかったと言うより、会議が出来なかったが正しいと思うぞ。突然神が降臨したり、敵である帝国に異世界の神が力を貸してたり、挙句の果てに上位精霊と契約を交わしたやつ迄出てきた。そのせいで会議なんてできる状態じゃ無くなったという感じで」


「言いたい事はわかった。でも、俺のは関係ないんじゃない?ただの上位精霊だよ?

神と比べて可愛いものじゃない」


「コウからすればただの上位精霊でも、普通の人間からしたら上位精霊と言えば、リンファス王国の王家のみが契約している『リンファスの最終兵器』、一体いるだけで国を滅ぼせると言われているんだぞ。その上位精霊と新たに契約したとなれば、十分な衝撃になると思うぞ」


そっか焔も火の精霊王って言っても現実味が無さすぎるから、上位精霊って事でとうしてるんだっけ。

すっかり忘れてた。上位精霊でもそんなに騒がれちゃうのか、今度から気をつけよう。


「もう過ぎたことは仕方ないので、これからの話をしよう、会議に出席する前にリンファス側の代表にあって、話を合わせておく必要が有るよねフィアは誰か知ってる?」


「ああ、近衛騎士団の団長だ。コウもあったことがあるし、面倒臭いことにはならない筈だ」


あ〜あの人か。確か俺の正体も知ってるし、あの人自身が何かする事はないか、部下が暴走しなきゃ良いけど。


若干の不安を抱きつつ団長に会うために、部屋を後にした。


読んでいただきありがとうございます。











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