第19話
「ディアーネさん。粉寒天ってある?あったら使いたいんだけど」
寒天は無いかもしれないけど、似たような物なら有るだろうし。
スライムを乾燥させて粉にしたものとか 、寒天の代わりになりそうな気がする。
まあ、この世界に来てスライム1回も見たことないから、体が強酸で出来てるタイプかもしれないけど。
「粉寒天ですね。これだけあれば十分ですか?」
ぶっちゃけ寒天自体はないと思ってたけど、普通に出てきた。まあ、あった方が都合がいいので気にせず使うことにする。
「有難う、早速羊羹を作ってみるか」
まず、水、砂糖、粉寒天を鍋に入れて中火で1分ぐらい沸騰させる。
次に弱火にした後こし餡を入れて焦がさないようにかき混ぜる。
かき混ぜて、鍋の底が見えてあんこがすぐに戻らないぐらいになったら、型に流し込む。
粗熱が取れた後、更に冷やした後、型から外して羊羹の完成。
「あんなに砂糖を入れて作ったこし餡に更に砂糖を入れたので砂糖の味しかしないかと思いましたが、そんな事は無かったですね」
俺も自分で羊羹作ってみたいなってネットで調べた時に、また砂糖入れるの!ってびっくりした記憶がある。本当お菓子って砂糖を大量に使うよね。
「この羊羹は、粒あんでも作れるんですか?」
「俺はこし餡でしか作った事ないけど、問題ないはずだよ。皮の感じが残るから好みが別れると思うけど。日本だと粒の感触が残っていた方が美味しいどら焼き、たい焼きとかには粒あん、滑らかな食感の方が美味しい羊羹、水饅頭とかには、こし餡を使うって言われたりしてたけど。
好みで変わることもあるだろうし、自由でも別にいいと思うよ」
「好みによって使い分けるという感じで問題ないということですね。分かりました。
それと私が知らない料理の名前が出て来たのですが、これは教えて貰えないんですか?」
迂闊だった。サラッとたい焼きと水饅頭の名前を出してしまった。
たい焼きは専用の焼き型を使うし、水饅頭だって葛粉が無いと作れない。
今すぐ教えるのは難しい。
「材料があるかわからなかったり、専用の焼き型が必要だったりするから、今すぐ教えるのは難しい」
「確かに、それだと直ぐには難しいですね。今回は諦めます」
とりあえず何とかなった。でも、今回はなのでせめてたい焼きぐらいはいつでも教えられるように準備しておいた方が良さそうだ。
たい焼き用の鉄板か。モルガンに頼んだら作ってくれるかな?作ってて言っても怒られるかもしれないな。でも、モルガン以外に鍛冶のできる知り合い居ないし一先ずモルガンに聞きに行くか。
「その代わりに、今からすっごい簡単なあんこ玉って言うの教えてあげるから」
レシピは簡単、こし餡を丸めてきな粉をまぶすだけ!超簡単、誰でもできるし数も作れる。
「凄い簡単ですね。これを大量に作ってベラフにいる人達に配るおつもりですね」
直ぐにやりたい事を理解してくれたみたいだ。
1部の人に配るぐらいなら、どら焼きとか羊羹で良いけど、今は甘い物も食べれないだろうし折角なら多くの人に食べて欲しい。
そうなると万単位で作る必要がある。
流石に時間が足りないしどうしよっかなって考えてる時に駄菓子のあんこ玉を思い出してこれなら出来ると思ったので、あってないようなレシピを教えて、ディアーネさんにも手伝って貰おうという算段である。
「良いですけど。万単位ですからねコウ様も休み無しでフル稼働ですからね」
結局、フェムト作の魔道具『精神と〇の部屋』を使って万単位のあんこ玉を用意した。
「途中で思ったんだけどさ、何も2人で作るんじゃなくて、精霊王権限で精霊達にあんこ玉作るの手伝って貰えばもっと早く終わったんじゃ」
500人も集まれば1人20個作るだけで、1万個用意出来る。
これなら1時間ぐらいで、欲しい量作れただろう。
「確かにその通りですが、精霊王初めての指令がお菓子作りってどう思います?」
別に悪い事させる訳じゃないけど、なんかヤダな、どうせならもっとかっこいい指令を出したい。
「他の精霊に頼まなくて正解だったね」
結構大変だったけど、威厳は保たれたって事で
「そうだ、自分の朝食も作って行こうかな」
獣王国の料理も美味しいのだが、肉が多くて全体的に重たい料理が多く、朝はあっさりしたのが良いなって思ってたし、和食が無性に食べたくなった。
「それなら、城にある食材好きに使ってください」
ディアーネさんに許可を得たので(城主はフェムトだが)城にある食材を使って朝食を作ることにした。
「白米を炊くのは確定でおかずは何にしようかな?鮭見たいのがあるじゃんこれにしよう」
白米を炊くのに時間がかかるのでその間に
別の食材を探しに行く。
「炊飯ジャーが便利すぎて、鍋を使って炊くのは久しぶりでちょっと不安だけど、まあ、なんとかなるか。味噌汁はワカメと豆腐にしよう。乾燥昆布もあったから、塩昆布作ってきゅうりの塩昆布漬けも作れば十分かな?」
そんなこんなで、昔ながらの日本の朝食みたいなものが完成する。
時間的にも丁度良かったので、フェムトに挨拶をして人間界に帰ることにした。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます