第15話
「凄く美味しかったです。甘さはしっかりしてるんですが、しつこくなくていくらでも食べられそうです。精霊界は人間界に無い食材が存在するんですね」
餡子の甘さに関しては、砂糖の量で大分変わってしまう最初、小豆より多く砂糖を入れたら甘ったるい粒あんになってしまった。
それでも、フェムトは美味しそうに食べてた、個人的には甘すぎない方が好きなので砂糖の量を調整しながら何度か挑戦して、最終的に小豆の3分の2ぐらいの量がちょうどいいという結論に落ち着いた。
もうちょっと甘い方が、と言う人もいるかもしれないけど、そこは好みの問題なので仕方ない。3人は美味しそうに食べてるので一安心だ、甘いのを食べたらこっちの方が良いってなるかもしれないけど、その時はその時だ。
「実はこのお菓子の材料になる作物、人間界にもあるらしいですよ。しかも、獣王国で少ないですが栽培されてるみたいです。精霊神がそう言ってました」
「え、私たちの国でですか!ですがこのようなお菓子初めて食べました。どのような農作物が作られているか一通り勉強したけど、お菓子になりそうなものなんて無かったはず」
豆って基本スープとかに入れて煮込むものって認識なんだろうな多分だけど。
日本がヨーロッパに輸出した時も煮込み料理やスープに使われて渋くて苦い食べ物って言われたらしいし。
砂糖も大量に使うし、こっちの世界は薪で火種を用意して調理する方がまだ主流、コンロのような魔道具もあるけどまだ一般的ではない、粒あん作りは火加減が重要なので、薪でその調節をするのは難しいと思う。
そこら辺を考えると、美味しいけどコストがかかるので流行らない可能性もある。
それに昔は日本でも小豆は天候の影響を受けやすく、収穫量が全く安定しなかったらしい。思ったより粒あんの普及は難しいかもしれない?
餡子結構好きだし、好きな時に食べれるようにある程度普及して欲しかったけど、こし餡作って羊羹食べたい。そんな事考えてたら栗と緑茶も欲しくなってきた。
緑茶はダイワなら普通にありそうだから、簡単に手に入りそう、栗もダイワにありそうだけど、自然が多そうなイメージのエルフの国の方が手に入りそうかも。
それと和菓子を作れる人、転移してきてないかな、もし居たら是非色々作ってもらいたい。
その為には小豆を増産して貰わないといけない(作られてる量が少ないのは、フェムトから聞いた)
突然、小豆増産してって言っても難しいから美味しい食べ方を伝授して、こちらからお願いしなくても、勝手に相手が増産させようってなる計画だったけど。
良く考えれば、精霊界に行って貰えばいいんだから必要なかったな。
精霊界でも小豆を育てるって言ってたし。
なんか植えられた小豆が倍速編集したみたいに
「本当に私たちの国で採れた物から作られてるんですか?いくら考えても、私たちの国で採れる農作物でこのようなお菓子の材料になる物のなんて思いつかないです」
こし餡じゃなくて粒あんだから小豆ってわかるかなって思ったけど、難しかったかな?
まあ、時間かけるのもあれだしさっさと正解教えちゃおう、このままだといつまでも話が進まなそうだし。
「このお菓子は小豆を使って作ってるんです」
「え、小豆ですか?昔に食べたけど本当に苦くて、美味しくなかったです。まさか小豆が甘いお菓子の材料になるんて!精霊にしか出来ないような何か特殊な調理法でもあるんですか?」
「特別な料理法なんてないですよ、ごく普通な簡単な調理法で作れます。
小豆だけじゃ甘くならないので、砂糖を沢山入れて甘くしたり、何度か茹でる水を取り替えたり、アク取りをしたりするだけです」
水の蒸発量によって差し水とかも必要だけど、そこまで詳しく話す必要は無いだろう。
本人が料理するわけじゃないだろうし。
「料理はした事ないんで間違ってるかもしれませんが 、特別なことをしている感じは確かにしないですね」
実際、コンロ型の魔道具を使えば誰でもできるだろう。お城の料理人達なら1回教えれば簡単に作れるようになるだろう 、多分。
「ん、手紙?」
いつの間にかテーブルの上に手紙が置いてあった。
いつ置かれたのか全く分からないけど、十中八九フェムトが書いたものだろう。
他の3人が何故か手紙を警戒しているが、気にせず手紙を手に取り封を開けて手紙を読む。
ーーーーーーー
コウへ
伝え忘れたしまったのですが、人間界で神々が好き勝手しないよう世界神様が、人間界だと権能は1部制限され、弱体化するように設定されています。
神界で使った時とは、魔力の消費や制御等全て桁違いに難しくなっているので、ぶっつけ本番で権能を使うんじゃなくて、本番前にしっかり練習をしておく事を強くおすすめします。
後、勇者君の特訓はまだ続くみたいで、そっちに帰るのはまだみたいです。
追伸
ディアーネに粒あんだけじゃなくて、こし餡ってのも有るらしいよ?って言ったら、
僕の許可も取らないでコウのところに行ったから後よろしく。
ーーーーーーー
手紙を読んでる途中までは、これ本当にフェムトが書いたのか?って思ったけど、最後にぶっ込んできやがった。
絶対、自分がこし餡食べてみたかったから、わざと教えてディアーネがこっちに来るように仕向けただろう。
手紙を置いて視線を上げると、3人がじーっとこちらを見ている。
正確に言うと俺の後ろを見ている。
振り返ると1人の精霊が立っていた。
「こし餡の作り方教えて下さい」
読んでいただきありがとうございます。
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