第13話
「あれは訓練じゃない。拷問のようななにかだ」
権能を使いこなせるように、訓練受けたてた筈なのにこの世界に来てから初めて死ぬと思った。
「はは、ちょっとやり過ぎたとは思ってるけど、そのおかげでだいぶ慣れたでしょ?権能使うの」
確かに、おかげで大分使えるようになったけど、それでもフェムトに比べたら全然だったけど。
「死ぬ思いして、使えこなせるようになっても、フェムトは簡単に同じ事するんだもん」
そりゃー、何となくそうなるのはわかっていたけど実際にみると理不尽だって思っちゃう思っちゃうよね。
「流石に、ずっと神様やってる僕と比べられても」
生きてる年数が桁違いだもんね、数えるのが馬鹿馬鹿しくなるレベルで。
比べるのが間違いってやつだな。
「コウならこのまま訓練を続ければいつか僕クラスになれるよ」
そのいつかが、何百年後とかじゃ無いことを願うのと、フェムトクラスになれると言ってるだけで、勝てるようになるとは言ってないんだよな。
俺だけ鍛えて、フェムトが鍛えないで怠けてるっていうのも考えにくいし当たり前かもしれないけど。
「フェムトに一泡吹かせられるようせいぜい努力するよ」
「じゃあ、ゆっくりその時を待ってるよ」
神様視点でゆっくりってどんだけ時間かかるんだよ。
焦らず、コツコツやってくしかないか。
「話変わるけどさ、最後の方魔石からモンスター召喚してたよね?あれって権能?」
権能じゃなかったら、魔石からモンスターを召喚する技術が、人間でもできるってことになるよね。使える人がいたら結構強いと思うんだ。
「権能では無いよ。実は魔道具なんだよ、これ」
魔道具!一見唯の魔石に見えるけど、フェムトが加工したものってことか。
「唯の魔石から誰でも出来るって訳じゃないってこと?」
「当たり前だよ。錬金術の秘奥だからね、人間で使える人なんていないんじゃない?」
思ってたよりすごい技術みたい。どういう原理で発動してるか俺じゃ全く分からないけど。
「魔石にはそのモンスターの情報が刻み込まれてるんだよ。レッドドラゴンならレットドラゴンの情報が。冒険者ギルドとかはこれを利用して、魔石だけでもどのモンスターか分かる魔道具を使ってるね」
モンスターによっては、魔石しか価値が無いのもいるし、収納魔法が使えるから全部持って帰ってるけど、多くの冒険者は持てる量に限界があるからサイズ辺りの販売額が高い魔石以外を廃棄する事だってあるだろうし。
そういうときどうやって何のモンスターか調べてるんだろうって不思議に思ってたんだけど、便利な魔道具があったのか。
「つまり、冒険者ギルドにある魔道具の最終形態がフェムトが使ってた魔道具って事」
細かい事を考えると全然違うのかもしれないけど、魔道具の事全然知らないし。
フィアとマルタ、本当に結婚するならメル殿下にも護身用として欲しい。
フェムトくれないかな。
「冒険者ギルドのは唯、情報を読み取るだけ。僕のは情報を読み取り起動者の魔力を使って肉体を再現して、使役する。難易度が違いすぎるけどね。確かに同じ技術ではあるよ。オフィーリアちゃん達にあげたいなら、人間で作れる人を探すか自分で作れるようになってね」
人間に作れる人いないんじゃない?って言われたばっかりだし、錬金術のれの字も知らない俺に作れるわけもないだろう。
「僕が手取り足取りしっかり教えてあげるよ!50年ぐらい錬金術を鍛えればコウなら作れるようになるよ」
無茶を言ってくれる。人間に50年は長すぎる。
「普通50年錬金術したって、この技術を会得なんて出来ないよ?とてもお得なプランだよ」
言ってることは分かるけど、50年もかかるんなら、もっと他に良い方法が有りそうだし。
でも、錬金術は興味ある、基礎ぐらいの範囲で教えてもらおうかな。
「まあ、この魔道具作れるようになるよりも、水の精霊に護衛をさせる方が早いよ」
あ〜、それができるのか。全然思いつかなかった。
「皆に、水の精霊と契約してもらうってこと?」
「いや、契約しなくてもコウが精霊界から呼び出して、オフィーリアちゃん達護衛してってお願いすれば済む話だよ。たまにコウの魔力あげれるって言えば喜んで引き受けてくれると思うよ」
それで済むなら大分簡単に優秀な護衛を用意出来そうだ。
フローラって名前つけてあげた下位精霊が居たな。
取り敢えずは彼女に頼んでみるか。
「後、錬金術の基礎をまず教えて欲しいって話は時間がある時に教えて大体1年ぐらいでマスター出来るかな」
おー、1年でマスターなら大分良心的、人間の感覚からしても大分短い。
「その計画で錬金術を教えてください」
「分かったよ。最長で1年の予定だから、もう少し早くマスター出来ると思うよ」
これで少し時間はかかるかもだけど錬金術が使えるようになるな。真面目にやらなきゃダメだろうけど。
「で、今回やれることは終わったし 、人間界に送るよ。時間も人間界では三十分ぐらいしか経ってないから」
体感時間で数ヶ月経ってるんじゃないかと思ってたけど、しっかり対策されてたみたい。
「分かった。今回もありがとう、これからもお願いします」
「今回は絶対油断しちゃだめだよ。異世界の神が何をしてくるのか分かんないんだから」
前が真っ白になって気づいたら、元の部屋に戻ってきていた。
読んでいただきありがとうございます。
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