第12話

「で、権能ってどうやって使うの?無詠唱魔法と一緒?」


魔力を集めて、自分が権能を使って何をしたいのか明確にイメージして発動みたいな。


「そ、基本無詠唱魔法と一緒魔力制御とイメージが出来れば発動するよ」


説明だけ聞くと凄い簡単そうに聞こえる。


とりあえずやってみるかと、リンゴを取り出し上に投げる。


リンゴを空中で停止させるイメージをしながら、魔力を集めて権能を発動させる。


イメージしやすいように、目をつぶって試していたので目を開けると、目の前に中に浮いたりんごがあった。


「もっと苦戦すると思ってたけど、すんなりいったな」


神の力とか説明されたから、もっと苦戦すると思ってた。


「権能を獲得するのが、難易度激高なだけでどんな権能か理解してれば 、使うのはそんなに難しくないからね。簡単なのは」


権能を理解してれば俺だとリンゴを中に浮かせるぐらいは余裕ってことか。

逆にフェムトが言ってた生命活動を停止とかはもっと訓練が必要って事だろう。


そういえば、神の力だけど魔力で発動するんだな、小説とかだと神力とか魔力とは別の力を使ってたけど、そういったものはないのかな?聞いてみるか。


「ねえ」


「魔力には質があってね。神は神の魔力、人間は人間の魔力、精霊は精霊の魔力、質によって使える魔法とかが変わる。だから人間には精霊魔法は使えないし、精霊は人間の魔法は使えない。権能は神の魔力じゃないと使えない。だから神の魔力の事を神力って言っても間違いじゃないけど、結局は魔力だからね」


何となくわかった。でも、じゃあなんで俺は権能使えるようになってるの?

精霊魔法が使えるのは、フェムトに半精霊に作り替えられたから、魔力の質ってやつが精霊寄りに変わったんだろう。

でも、神に関してはノータッチな筈だけど。


「鈍いなー、コウ。じゃあ問題です。

君の権能は『停止』です。神界で消滅しないように手に入れた能力です。これのおかげで、消滅は避けられました。しかし、人間ではなく精神生命体、精霊の方が近い存在に変わってしまいました。どうしてでしょうか!」


なんで突然問題形式に。まあ、良いか。

普通に考えて、権能が使えるように迄に変わっちゃったんじゃないの。でも、それだと神の魔力を持ってない俺じゃ権能は使えないんじゃって疑問に戻ってくるな。


そっか精神生命体になったから、権能が使えるようになった?

神界をさまよってた訳だから、それこそ周りは神の魔力だらけ。

それと混ざりあって、魔力の質が神寄りに変わって、権能を手に入れた。


「権能を手に入れたけど、人間じゃ無くなったでは無く。人間じゃ無くなったから権能が手に入ったと。でも、精霊寄りって言ってなかった?あの時の俺の事」


「あれ人間と精霊を比べたんじゃなくて、精霊と神で比べた場合ね」


「そんなの分かるわけないじゃん。わざとやってるの?」


「当たり前でしょ、唯の人間が突然神様になりました何て言われたら、何し出すか分からないもん。最悪、今回の騒動の黒幕っぽい異世界の神みたいな事を始める可能性もあった訳だし。最初は話さないで経過観察、但し何があってもいいように首輪はつける。精霊王になってもらったのがそれだね」


裏では、そんな感じだったんだ。

別にガッチガチに拘束されたりした訳じゃないし、普通に生活してれば問題なかったし気にしないけど。


それより、今の話をしてからやけにフェムトが大人しい。


「どうしたのフェムト」


「どうしたって、逆にコウは何も思わないの。友達とか言いながら騙してたんだとか」


「別に。ああでも友達ってのも監視を楽にするための嘘とかだったら、悲しむ」


「それだけは絶対にない。本気で友達だって思ってる。だからこそ、嫌われたくない」


「フェムトには毎回助けられてるし。監視だって必要な事だったって俺も思うから、別に嫌いにならないよ」


イタズラ好きのボクっ娘の突然のデレ、相手が神様じゃなかったら惚れてたかもしれない。


あ 、考えてることが筒抜けになるフェムトに対してこんな事考えてたら、なんて事考えてるの?って1発殴られるかもしれない。


身構えて待っているが、何も起きないし一言も喋らない。


「ねえ、今俺の思考読まないようにしてる?」


そう質問した瞬間、肩がビクッっと震えた。


「だって、口ではそう言ってるけど。頭の中で絶対許さないとか考えてたら、控えめに言ってショック死する」


なんでこの神様はさっきから乙女になってるんだろうか。

そんなキャラじゃ無いだろうに。


「このままじゃ埒が明かない。絶対そんなこと思ってないから、いつもみたいに頭の中覗いてみればいい」


「分かった」


少し待ってると、突然顔が茹でダコみたいに真っ赤になってう〜う〜唸っている。

可愛い。


「ぐほぉ」


突然、お腹に激痛が走って、後ろに吹き飛ばされた。


フェムトに何かされたんだろう。予兆も何も全く分からなかったけど。


「練習始めるって言ったのに、結局長話になっちゃった。時間を取り戻す為にこれからは厳しくするから」


怒らせちゃったかなとも思ったけど、怒ってるというより照れ隠しみたいだし、問題ないか。


その後の訓練は、厳しいとかそんなレベルじゃなくて、地獄のような訓練メニューでした。


読んでいただきありがとうございます。











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