第10話

「やっと帰ってきたか。

それより、なんでマルタがここに?転移魔法

で連れてきたのか?」


こっちが、どんな話をメル王女殿下としてたのか、質問する前に逆に質問されてしまった。

ずっとこの部屋に居たみたいだし、飛行船を見てないから俺が転移魔法で連れてきたと思われてるんだろう。


「フィアお姉様、飛行船で兵士たちと一緒に来たんですよ。リンファス王国からの援軍と信じてもらう為に、王家から誰かしら来る必要があったんです」


マルタが、簡単に説明してるけど、飛行船って言われても分かんないんじゃない?

熱気球でも驚いてたし。


「完成はもっと後じゃ無かったか?後3ヶ月はかかる予定だった筈だが」


あれ?知ってるっぽい。この部屋で飛行船の事知らなかったの俺だけ?


「フィアは飛行船の事知ってたんだね。

熱気球で驚いてたから知らないと思ってた」


「素材集めを手伝った関係で、話だけは聞いていたんだ。実物を見たこと無かったが」


フィアが、そう説明してくれた。

その説明中に、嫌な事を思い出したのか、

苦虫を噛み潰したような顔をしていた。


「その時に何かあったの?凄い顔になってるよ」


「ダンジョンでの野営中に、一緒に素材集めをしていた男に襲われかけたのを思い出しただけだ」


余計な事聞いちゃったな。別にだからって関係が変わったりしないけど、本人からしたら思い出したくもないし、聞かれたくなかったはずだ。


「手を出される前に対処したし、それ相応の報いを受けさせたからもう何とも思ってない。それより、メル殿下に挨拶した方がいいんじゃないか」


気まずそうにしてたら、本人に気を使わせてしまった。

何て言えばいいか分からなかったし、便乗させてもらおう。


「挨拶が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。お久しぶりです。メル殿下」


「こちらこそ、ベラフに着いてから1度もご挨拶に伺えなくて申し訳ございません」


俺たちは、こっちに来てから寝る時以外ずっと動いてたし、メル殿下もそれは一緒だろう

し、挨拶に来る暇なんてなかっただろう。


「ところで、フィアとなんの話をしてたんですか?」


「コウ様について少し」


なんだろう、フィアが話すんだから心配無いはずなのに凄い不安になってきた。


「フィア因みに、どんなこと言ったの?」


「食が関わると人が変わる。突然、神を召喚する。コウが関わると基本大事になる」


「誰、そのヤバい奴めっちゃ迷惑な奴じゃん」


「そう思うんなら、少しは自重してくれ。

特に突然、神を召喚するのは本当に心臓に悪い」


「以後気をつけます。特にフェムトに関しては、慎重によく考えてから呼び出します」


「そうだね。僕も考え無しに呼ばれちゃ疲れちゃうし、有難みも無くなっちゃうからね」


なんでだろうな。呼んでもないのに部屋に1人増えた。

と言うか、神様が当然来たらびっくりするって話した後に狙ったように出てきやがって、遊んでやがるな?


「確かに、イタズラとか好きだけど今回は違うよ。結構重要な話しに来たんだよ」


神様突然の登場で、俺以外の4人は固まってしまった。よく見るとフィアは、ただ話さないだけで、割と大丈夫そう。


「で、神様の重要な話って正直怖くて聞きたくないんですけど」


世界滅亡の危機とか邪神の復活したとか、平気で言ってきそう。

そう言うのは、勇者の方に頼って下さい。


転生者に勇者がいるんだから、俺の方には来ないでください。


「世界のバランスを保つのが、精霊の仕事だからね。そのバランスを崩す者の排除もお仕事だよ。それに勇者にはエステルが説明に行ってるよ。明日の為の会議中みたいだから、今頃大騒ぎだろうね」


勇者の方にも既に行ってるのか、神様がそんなホイホイ人間界に降りてくるとか、やっぱりろくな事じゃ無さそう。


「時間がもったいないから説明始めちゃうね。簡単に言うと、異世界の神がこの世界に侵入して来たみたいでね、帝国に力を貸してるみたいなんだよね」


「このまま戦ってたら、神が介入して来るってこと?」


神相手とか絶対勝てないと思うんですけど。


「それは無い。帝国は、この世界がどんな法則で回っているか把握するための実験場だったみたいだし、僕が存在に気づいた瞬間、別の大陸に逃げていったよ」


異世界の神、この世界の法則、別の大陸、1回に詰め込みすぎじゃない?

1つづつ出てきたって結構な大事になると思うんだけど。


「コウに分かりやすいように説明すると、

法則っていうのは、魔法が使えるかとかどんな感じで、この世界にもいくつか大陸があるんだよ、詳しくは教えないけど」


「つまり、この世界に来たのはいいけど自分の力が使えるか分からなかったから、帝国を実験場にしていたと。それで、フェムトにバレたから、別の大陸に逃げたと」


「同じ事繰り返してるけど、まあそういう事だね」


獣王国救って、帝国に進行して滅ぼして、異世界の神を倒す為に別大陸へ、やる事いっぱいだ。


学校の教師する時間無いんじゃない?


「そこで、神を倒せるか悩むんじゃなくて、学校の教師が出来るか悩むってのが、コウって他の人と違って面白いね」


「異世界の神に関しては、この世界の神がある程度、手伝ってくれるんでしょ?説明に来てくれてるわけだし。だからなんとかなるかなーって」


「確かにそうなんだけどさ、まあいいや、エステルの方も話が終わって勇者の事しっかり拉致ったみたいだし。僕もコウの事、拉致って行くから 、オフィーリアちゃん後よろしく」


拉致と言われて、身構えようとした瞬間、猛烈な眠気に襲われてそのまま意識を手放してしまった。


読んでいただきありがとうございます。











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