第9話
「成程、そうだったのですね。飛行船を、
王都奪還作戦に使用するのは可能ですか?」
マルタを、ベラフに連れてきて詳しい説明をしてもらう。リンファスの王女が、直接説明に来たのもあって特に問題にもならず、誤解もすぐに解けた。
今は、獣王国の王都奪還作戦について話し合っているところだ。
「勿論可能です。搭乗可能な人数が、全体で1200人、リンファスから約500人乗っていますので700人程度、追加で搭乗が可能です」
「計1200人ですか。本来でしたら、高速で移動出来るとはいえ、奪還するには難しい人数ですが」
2人して、こちらを見ている。
何とかならない?ってことだろう。
そりゃ、1人で全部やっていいなら、今日中に終わらせる自身もあるけど、それだと後が大変になるし。
相手が敵国とかなら、飛行船に乗ったまま
城に向かって魔法攻撃とかで、完封出来るだろうけど、国を取り返す側だし関係ない人にも被害が出るような攻撃できない。
飛行船はあくまで移動手段、搭乗した兵士だけで、首謀者側だけを攻撃して、ほかは守らなきゃ行けない。
大分無茶だね。
やったことないけど、兵士達に身体強化魔法を使って戦力アップとかどうだろう。
回復魔法を大勢に使うのと同じ感覚で出来るだろうし。
これなら兵士の皆さんが戦うわけだし、俺だけで解決したとは、ならないだろう。
「搭乗した兵士全員に身体強化をかけるのはどうです?
1200人ぐらいなら多分できますよ」
「1200人に本当に可能なんですか?
ちょっと信じられないというか」
「全ステータス3倍ぐらいの強化なら問題なく出来ますよ。と言っても信じて貰うしかないですが」
人数関係なしに3倍以上だと肉体に負担がかかり過ぎるから現実的じゃなくなっちゃう
って意味で難しい。
と言っても3倍で十分だと思うけどこの世界、戦争をするとき兵の数も重要ではあるけど、敵よりレベルの高い人が居るのが最も重要とされてるらしい。
レベルが上がると当然ステータスが上がる、
ステータス差が大きくなると防御しなくても全くダメージを受けなくなるらしく、そうなってしまうと人数なんて関係なくなるかららしい。
この世界の騎士の平均レベルが50ぐらいで 幹部クラスが60程度らしいので、3倍で大体レベル150~180程度のステータスまで強化される。
このステータスなら大体レベル120ぐらいのステータスが無いとダメージを与えられない。
まあ、例外は何にでも有るので油断は禁物だけど。
「分かりました。コウ様が身体強化を兵士たちに使うと言うのを前提で、この後の作戦会議を進めます」
作戦会議に俺は必要なさそうだったので、会議室を後にして借りてる部屋に帰っていった。
「マルタは会議に出席しなきゃいけなかったんじゃないの?」
リンファス王国の代表として来てるはずなんだけど。
「戦ったことも無い私がいても邪魔なだけでしょう?」
「お飾りで座ってるだけというのも、仕事じゃないの」
「確かに、お飾りが必要なときもありますが、今回は要らないでしょう。そんな事より無詠唱で氷を作れるようになったんです」
露骨に話を変えられた気がする、とはいえ
もう無詠唱で氷まで作れるようになったのか。
マルタの方を見ると、手の上に氷の球体を乗せていた。
「発動も早いみたいだし、これなら次の段階に進めるね」
「ほんとですか!ダンジョンとか一緒に行けますか!」
「それはまだ難しいかな。次は他の事をしながらでも、しっかり無詠唱が使える練習かな」
今は無詠唱魔法を使う事だけに集中出来てたけど、ダンジョンに行くなら、敵が何をするか、味方がどこにいるかなど考えなきゃいけない事が多くて、無詠唱魔法を使う事だけに集中出来ない。
そういう状況でも無詠唱が使えるように練習しないと。
2年間教師をする事になったしね。
やるからには、真面目にやるつもりだけど。
「それに学校もあるし、ダンジョンとかは当分行けないと思うよ」
「コウさんとフィアお姉様と冒険したりするのは、2年間お預けって事ですね」
「本腰入れてダンジョン攻略とか時間がかかる旅はそうだね。でも、日帰り出来る精霊界だったら今度連れてってあげる」
フェムトが、ちょくちょく会いに行かないと拗ねるから精霊界には結構な頻度で、行くことになるだろうし。
「日帰りの旅行ですか!良いですね。精霊界楽しみです。ん?精霊界?精霊界って言いました!?」
割と驚かないなって思ったけど、日帰りの旅行の方に気を取られて理解してなかっただけみたい。
「うん、精霊界って言った。俺だとそっちの方が楽なんだよね。転移魔法で一瞬だし」
普通に話してたけど、誰が聞いてるか分からない廊下でこの話は不味かった。
最後の方で気づいて精霊王だしそっちの方が楽だとは言わず、ぼかして話した。
それでも誰かに聞かれたら十分不味い内容だったけど。
「コウさん、ちょっと不用心すぎます。
誰が聞いてるか分からない廊下で話すような内容じゃ無いです。私もびっくりして大声で精霊界と聞き返してしまったので同罪ですが」
このままだと、話してる時にポロッと重要なことを喋っちゃう気がする。
ちょっと気をつけないと痛い目みるだろうから注意しないと。
借りてる部屋の前に着いたので、ドアを開けて中に入ると、獣王国の王女である メル殿下とフィアで、お茶をしているところだった。
読んでいただきありがとうございます。
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