第8話
こちらに向かってくる、所属不明の飛行船。
それを確認するために、報告に来た騎士に案内してもらい、移動する。
「目視ではなく、遠見の魔道具を使っての確認ですが、かなりの速度で移動していて10分程で目視出来るようになるかと」
獣王太子は、既に話を聞きながら遠見の魔道具を使い飛行船を確認してるようだ。
「確かに、真っ直ぐこちらに向かってきている。船首に黒髪黒目の青年がやっているのが見えるが、会ったことがない人物だ」
黒髪黒目ってこの世界だと、珍しいみたいなんだよね。
今まで街を歩いてたりして、未だに召喚者で勇者のハジメくんしか見た事ないし。
身体強化を視覚強化に特化させて発動して、確認する。
「あれ、ハジメくんじゃない?」
って事はリンファス王国って事か、見た感じ古い感じはしないし、発掘したのを使ってる訳じゃなく作ったってことだよな?
熱気球も見た事ない感じだったからちょっと予想外。
いや、召喚者が作ったって事かな。
「お知り合いだったんですね。それに、魔道具無しで確認できるんですね」
なんでもありだなって顔してるけど、そこまで万能じゃないよ?
「召喚者の勇者って言えば伝わりますか?」
「直接会った事はないですが、話を聞いたことはあります。今回来た召喚者には、勇者がいると」
やっぱり噂になってるんだね。
流石勇者。
「最近では、リンファス王国最強の魔導師のマーリン殿を一瞬で倒した魔法使いの方が有名ですが」
俺もそこそこ有名になってたらしい。
だからと言ってなんだって感じだけど。
「とりあえず、飛行船に直接乗り込んで、なんでリンファス王国って分かるような物がついてないのか、確認してきますよ」
飛行船の甲板に精霊門を開いて、甲板に出ると、騎士に囲まれて凄い警戒されている。
「あれ、コウさんじゃないですか。
ベラフからリンドブルム、もう見えてたんですか?」
俺に気づいたハジメくんが、気さくに話しかけてくるが、騎士に囲まれたままだ。
最近はいつもこうだな。
俺って、そんなに不審者に見えるだろうか?
そのおかげで、こういう時には国王から貰った杖を出すのが1番と学んだ。
いつも通り効果抜群、杖を見た騎士たちは
直ぐに警戒を解き持ち場に戻ると言って、逃げていった。
「最近、こんな感じの出迎えばっかりなんだけど、俺ってそんなに不審者に見える?」
「不審者に見える見えないじゃなくて、登場方法が、常人じゃ有り得ない方法なのが、いけないんだと思いますよ」
空飛んだり、転移したりと確かに普通の移動方法って使ってないな。
そりゃ警戒されるか。
同じことが、この飛行船にも言えるわけで。
「全く同じ理由で、この飛行船めっちゃ警戒されてるけど、なんでリンファス王国だと分かるような物が何もついてないの?」
「動かすのが、本来ならもう少し後の予定だったからです。何となく想像ついてると思いますけど、これを造ったのは自分と一緒に転移してきた召喚者の1人です。ようやく飛行ができる状態で、まだ実験段階らしいんですけど、緊急事態だったのと今までのテストで問題がなかったので、今回使われたんですけど」
塗装などの装飾はまだしてない段階だったってことね。
「それを説明するために、誰か着いてきて欲しいんだけど」
「王家の代表として、マルタ王女殿下が乗船されてるので、マルタ王女殿下にお願いすることになると思います」
いくら王族だからって、戦えないどころか、魔力抵抗極端に低いマルタを連れてくる必要無かったんじゃない?
「私が来るのが、1番都合が良かったんです。それに説明が終わったら、コウさんの転移魔法でリンファス王国に送ってもらう予定です」
流石に戦場にたたせるつもりは無いか。
「久しぶりマルタ」
「お久しぶりです、コウさん。早速ですが、ベラフに連れていってください。
早く用事を終わらせて、フィアお姉様と3人でお話したいです」
そっちが、主目的みたくなってませんか?
戦場ですよここ。
「呆れた顔してますけど、王国としてはコウさんとの関係の方が重要ですから、使徒ですし」
獣王国の人がいないからいいけど、はっきり言い過ぎじゃない。
「だって、使徒って公表して直ぐに獣王国に行っちゃうんですもん。
リンファス王国はパニックです。私が婚約者だって公表して落ち着いてますけど、獣王国の姫を妻として連れ帰ってきたら、また騒がしくなってしまいます。なので、転移で王城に送って貰った時に仲良しアピールお願いしますね」
リンファスの王家と俺の仲の良さを見せるのが、マルタの主目的だったてことね。
「獣王国の姫を娶るのは、確定事項なんだ」
「使徒の威光をが有れば、反乱を鎮圧後、国をまとめるのも楽になるし、傭兵国、連合国みたいな帝国程ではないですが、領土拡大を目指している国の牽制にもなりますし」
サラッと知らない国が出てきた。
帝国だけと思ってたけど、他にもそんな国があるんだ。
「コウさんがやだって言えば、例え王族であろうと従うしかないんですけどね」
元々一般人だから、王族より発言力が有るって言われても、想像がつかない。
「今は、獣王太子殿下に事情を説明して安心してもらうのが先です。一緒に来てください」
説明してもらうために、マルタと一緒にべラフに戻るのだった。
読んでいただきありがとうございます。
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