第11話
「精霊界じゃない?とこに拉致られたんだ俺」
フェムトに突然、眠らされて拉致られた。
てっきり精霊界だと思ってたけど、1面真っ白で何も無い空間だった。
ゲームのバグで主人公以外表示されて無いみたいな感じになっている。
「あ 、やっと起きた。無理やり連れてきた感じになっちゃってごめんね。あんまり人間界に長く居ると五月蝿い奴もいるから、最低限の説明だけして、強制的に連れてくる事になっちゃった」
最初からそう言ってくれれば、抵抗なんてしなかったけど。
まあ、フェムトだし気にしてもしょうがないか。
後、うるさい奴ってほかの神の事だよね、神が簡単に干渉するのは良くない!みたいな感じなのかな。
「そう言う神も居るけど、今回は緊急事態だし、そっちは問題ないんだ。問題は『あいつだけ人間界に降りるとかずるい、俺だって遊びたいとか言う馬鹿達だよ』遊んでんじゃないんだよ、仕事だって言ってんだろ!」
神様が仕事って夢がない、それに1部の神のせいで大分ストレスが溜まってるみたい。
人間みたいに自己中な神もいるんだね。
「今はそんな事言ってる場合じゃなかったね。今回、コウを連れてきた理由の説明をしないとね」
確かに、連れてこられた理由については、一切聞かされてなかった。
早く帰らないと心配だし、さっさと教えて欲しい。
それと、今は無理だけど時間が確保出来たら、フェムトの愚痴ぐらい聞いてあげよう、
結構溜まってそうな感じだし。
「コウぐらいしか愚痴なんて言える相手いないから、暇になったら待ってる。
今は無理だろうけどね。
今回連れてきたのは、もし帝国に異世界の神が直接作ったやばい物が残ってた時に、対処出来るように特訓してもらう為に連れてきたの」
「逆に特訓すれば対処できるようになるの?後 、ここどこ?」
「場所の説明してなかったね。此処は神界だよ。訓練するのに邪魔だから、何も無い場所を選んだの」
成程、神界だったのか。地形とか気候とか自由なんだろうなさっきの言い方からすると。
「対処出来るようになるかについては、コウなら出来る。と言っても神界に間違って召喚されて、その後半年放置されて生き残ったでしょ?本来 、神じゃなければ1ヶ月も居れば消滅しちゃうのに」
「そこにヒントがあるの?もしかしてその半年で、実は俺神になってましたとか」
「流石に半年じゃ無理だよ。でも、完全に間違っちゃいないんだよね。コウは無意識に消滅したくないからって、神の使う力、権能とでも言えばいいか、それを使えるようになっちゃったんだよね」
無意識の力凄いな。神の力が使える様になってたとか、初めて知った。
「これって、普通に有り得る話なの?」
「僕が知る限り初めてだよ。一生をかけて磨き続けた技術を認められて、神によって権能を与えられる事はあるけど、自分で手に入れるって言うのは聞いたことがない」
初対面でフェムトが、あんなに才能があるって言ってたのはこれのせいだったわけだ。
でも、権能だっけ。自分の意思で使った事無いし、どんな能力かも分からないんだよね。
「俺の権能ってどんな効果なの?」
「『停止』かな、一言で表すなら。使いこなせれば、なんでも止められるよ、時間もそうだし、コウが神界で消滅しなかったのも、それ以上魂が変化しないように止めてたから。後、人間界で永久凍土作っちゃったでしょ?あれも、相手にキレて無意識で権能を使った結果だよ。あれは、焦った。あのまま権能を使い続けるようだったら、殺すしか無かったし」
知らないところで、権能がなければ消滅してたけど、権能のせいで死にかけてたらしい。
感情の起伏で、勝手に使っちゃうって結構問題なのでは?無意識に使っちゃって大災害とか引き起こしたくないんだけど。
異世界の神、関係なしに最低限コントロール出来るようにならないとまずいのでは。
「もしかしなくても、俺っていつ爆発するか分からない爆弾状態?」
「爆弾程度だったら可愛いもんだよ正直。
本気で暴走したら、コウが今いる大陸は確実に人が住めなくなる。だから、最低限コントロール出来るように教えようとしてたんだけど、自分のことしか考えてない神達がうるさくてね、出来なかったんだ。おかげで毎日ハラハラしてたよ」
また、ほかの神か。どんだけ迷惑かければ気が済むんだよ。
でもなんで、単なる嫌がらせ?
「違うよ、コウが怖いから。『停止』って結構上位の権能だから、自分の意思で使えるようになっちゃうと、対して強くない神なら倒せるようになっちゃうから。我が身可愛さに妨害って訳」
「そこまでかな、所詮止めるだけでしょ?
確率変換とか時間操作の方が、使い勝手良さそうじゃない?」
動きを止めただけで敵を殺せるわけじゃないし。確率変換なら自分に向かってくる攻撃は全部外れて、自分の攻撃は適当にしても全部当たるとか。
時間操作だって、相手の寿命が尽きるまで時間加速するとか、凶悪な事ができる気がする。
「コウの権能は確かに止めることしか出来ないけど。逆に言うと止めることに特化してるとも言える。権能だって使えないように止める事ができるし、そもそも生命活動を停止しちゃえば終わりだよね」
本当に何でも停止出来ちゃうのか。
「ちょっと権能のこと舐めてた。因みに、フェムトはどんな権能が使えるの」
「『模倣』1度見た権能を大体7割ぐらいの性能で再現できるようになる」
「このチートキャラが!」
フェムトって神の中で上から数えた方が強いんだろうなとは思ってたけど、それどころか最上位クラスじゃん絶対。
「『停止』も大概チートだよ。でも、使えなきゃ意味が無いからね、そろそろ練習始めようか」
そうだった。そもそも訓練をする為に拉致られたんだった。
フェムトに教えられながら、訓練を始めるのだった。
読んでいただきありがとうございます。
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