第5話
バリスタがこっちを狙っている、直ぐに撃ってこないと言うことは、敵か味方か判断してるところなのだろうか?
わかりやすい様に、氷でリンファスの国旗でも再現してみるか?そしたら敵じゃないって理解してくれるかも。
「コウが何を考えてるか分からないが、特になにかする必要はないからな。コウが何かしたら絶対、面倒事になると思うから」
言葉だけでなく、絶対何もするなとオーラも出てる気がする。
別に攻撃しようって訳じゃないし、唯リンファス王国の人間ですよーって主張するだけのつもりなんだけど。
「別に攻撃するつもりなんて無いし、寧ろ
味方だってわかりやすいと思うよ」
フィアがジト目で見てくる。
「じゃあ 、何をするつもりだったのか、話してもらおうか?」
「氷でリンファス王国の国旗を、大きく再現すれば分かりやすいかなーって」
「突然そんな事したら、逆に怖がらせるだけだ。杖を見えやすいように持ち上げるだけで十分だ」
王女殿下も首を縦にブンブン降ってる。
そこまで言うなら、そうするか。
杖を見やすいように持ち上げる。
30秒ほどすると、バリスタから狙われなくなった。
本当にこの杖便利だな、身分証としてだけど。
狙われなくなったので、そのまま門へ近づいて行った。
ある程度近づいたら開門したので、俺を先頭に中に入っていった。
「なにこれ」
中に入ると、王女殿下と同じ猫?の獣人の男性を先頭に大勢の人が、膝まづいて待っていた。
一体なんで?と考えていると。
「コウが辞めさせないと、ずっと膝まづいたままだぞ」
だからなんで!でもそういう事なら、一刻も早く辞めさせないと
「皆さん、顔を上げてください」
その言葉で、一斉に顔をあげる。そして、先頭の人が代表して話し始めた。
「私はオルフェナス獣王国の獣王太子の
アウルス・オルフェナスです。獣王国解放の為、力を貸していだだけること 、感謝致します」
挨拶してくれるのは、良いんだけどなんか俺の方が、偉い人って感じになってない?
相手獣王太子だよ?
「コウは使徒という存在を軽く見てる。
使徒とは神が直接選んだ、地上の代理人だぞ、国の王より偉いのは当たり前だ」
まじかよ。精霊王より名乗っても問題ないだろうって位しか思ってなかった。
でも、ここまで敬う普通?本人じゃ無いんだよ?
実際に神が存在して、恵みを与えたり
罰を与えたりが、ある世界だからこそって事かな?日本人からしたら分からない感覚。
後、フェムトと普通に話してるからってのもあるか。
「使徒様早速のお願いで、大変申し訳ないのですが、実は透明化した敵兵に川から水を取り込んでいる水路を爆破されてしまったのです。その為、深刻な水不足に陥ってまして、ご助力いただけないでしょうか?」
透明化した敵兵って言ってたな。
破壊はされたが、透明化を見破ったって事か。
どうやったんだろう?
それに魔法で水を出せば、水不足にはなっても、深刻まではいかないんじゃ
「コウ、獣人たちは魔力がない代わりに、
闘気という身体強化等の自身を強化することに特化した種族だ。魔法を使える者もいるとらしいが、数は少ないと聞く」
「その通りです。妖術が使える者に水を作って貰ってるのですが、人数が少なく、水の生成だけに集中して貰っても全然足りないのが現状です」
種族特徴ってやつか、獣人からすると水の供給源を絶たれるのは、相当厄介な嫌がらせって訳か。
人間やエルフなら水属性が使える魔法使いを
数揃えれば良いだけなので、割とどうにかなる。
「なら一時的に、これを貸しますので上手く使ってください」
そう言って渡したのは水の精霊石。
精霊石とは精霊が、自身の魔力を物質化するまで超圧縮されて出来たもの。
素材としても超優秀、そのまま魔力を流すと適性がなくても、作った精霊と同じ属性の魔法を使える。
人間からしたら滅多に手に入らないレア素材とされているが、俺の場合その気になれば作り放題。
だが先に言った通り、人間からしたら貴重な
素材、簡単にあげるとか言っちゃうと面倒な事になりかねないので貸すだけだ。
「これは水の精霊石ですか!これがあれば
水の問題も解決できます。」
水の問題も解決、もう夜になっていたので、
今日は解散、部屋を用意してもらい1晩休むことになった。
「わざわざ精霊石を貸す必要はなかったんじゃないか?コウが水を生成すれば、それで十分だったと思うが」
「獣王国の所属じゃない俺が、活躍しすぎるのも問題なんじゃないかなって」
正直、人間の反乱程度その気になれば、1人で楽勝だし、解放軍と合流必要だってない。
そんな事したら、解放軍は何やってたんだって民衆が、騒ぎ始める可能性もあるし。
解放後速やかに獣王国を安定させるには、
獣王太子が先頭に立って、解放軍が反逆者を倒す必要がある。
俺はそれのお手伝いぐらいで十分だ。
今回も、獣王太子が俺と交渉して貴重な水の精霊石を借りることが出来たという筋書きで広めてくれれば、俺が魔法で、チャチャッと水を生成するより獣王太子の株も上がるだろう多分。
1番の理由は水を生成する為に何度も呼ばれるのが、面倒臭いからだけど。
最後の理由は言わずに、フィアに話した。
「確かにその方が、獣王国にとっても良かったかもな。でも水が無くなって、水をお願いしますって何度も呼ばれるのが嫌だったからじゃないのか?」
流石フィア俺の考えを完璧に読まれている。
「確かにそうだけど、今回活躍しすぎなつもりってのも本気だよ、明日怪我してる人の治療には行こうと思ってるけど」
治療した人数次第で目立つ可能性はあるが、
目立つからやらないって言ってると、何も出来なくなってしまう。
神の使徒って事で、目立ちまくってるしちょっとやり過ぎちゃっても、使徒ならこの程度出来て当然ですって言っとけばいいか。
後は、獣王太子と仲良くしといて、使徒様と獣王太子は仲が良いって噂を広めてもらうってのもアリかな?
使徒様がバックにいるからってイキリ出したら潰すけど。
俺の行動次第で、フェムトまで迷惑かける可能性がある訳だから、気をつけないと。
一日中、魔法を使い続けていたので、予想以上に疲れていたらしい。
考えているうちに瞼が重くなってきて、そのまま眠ってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
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