第4話
獣王国の2人は、復活するのに時間がかかりそうなので強制的に使役させられていた精霊の方を先に片ずけることにした。
どう話しかけようか考えていると、相手の方から話しかけてきた。
「助けていただきありがとうございます。
我らが王に直接助けていただけるとは、思ってもいませんでした」
我らが王か、助けた子が水の精霊だったからか。
後ろに聞こえてないよね?
振り返って確認すると、フィアが2人と話して、気を引いてくれている。
お願いしてないのに、気を引いてくれてほんと助かる。
「無理矢理使役させられている精霊を助けるのも目的だから、気にしないで」
そう言っても、そんな恐れ多いですって感じで、凄いガチガチだ。
「そういえば名前はなんて言うの?」
「固有名はまだありません。種族名のウンディーネと名乗ったり、呼ばれるだけです」
それって、俺の例えるとヒューマン、ヒューマン呼ばれてるってことじゃない?
嫌じゃないのかな?
聞いてみるか。
「君は名前欲しいと思ったことないの?」
そう問いかけると、少し首を傾けて
「特に欲しいと思ったことは無いです」
元々種族も違うし、精霊からしたらそれが当たり前って事か。
「そっか、欲しいなら名前考えてみようと
思ったこが、要らないみたいだね」
「欲しいです!是非、名前を頂きたいです」
意見が180度変わったが、欲しいって言うんだから考えてあげよう。
「フローラとかどう?」
「素晴らしい名前です。今日から私はウンディーネのフローラです♪」
喜んで貰えたみたいで良かった。
「御用がある時は何時でもお呼びください。例え火山の中であろうと、駆けつけます」
「ありがとう。必要なときは、遠慮なく呼ばせてもらうよ」
フローラは精霊界に帰って行った。
フィアに2人を任せっきりにしてしまってるので、早く合流しないと。
「お待たせしました。大丈夫ですか?」
「ご心配お掛けしました。魔法のあまりの威力に驚いてしまいました」
フィアが相手してくれたおかげで大丈夫そうだ。
連続転移すれば距離的には、今からなら日が落ちる前に何とかベラフにたどり着けそうだし、移動しながら話すべきか。
「今から急げば、何とか日が落ちるまでに
ベラフにたどり着けると思います。
お話は移動しながらという事でよろしいでしょうか?」
断ることは無いだろうと思っていたが、2人の頭の上にハテナマークが浮かんでいた。
なんでだ?
「疑うつもりは無いのですが、なぜベラフに?確かに城塞都市ではありますが。
私たちは、叛乱が起きて直ぐに王都を脱出したので、現状がどうなってるかわかっていないのです」
王家の血を残すために、いち早く少人数で逃げたってことかな?
じゃあベラフに連れていくより、リンファス王国に連れて行って保護してもらう方が良いかな?
「獣王太子殿下が、ベラフにて解放軍を指揮してるみたいなのです。なのでベラフに向かい、獣王太子と合流するのが1つ目の目的です」
「そんな事になっているのですね」
「メル王女殿下には2つの選択肢がございます。このまま一緒に解放軍に合流するか、
リンファス王国に向かって保護されるか、
リンファス王国は転移で一瞬ですので、
どちらを選ばれても、責任を持ってお連れ致します」
「私も獣王家の娘です。ベラフに連れて行ってください。お父様の仇もとらないと」
結構好戦的だな。先に脱出したのも仕方なくで、残って戦いたかった感じかな。
「分かりました。直ぐに移動を始めますので、これに乗ってください」
大鷲を作って乗るように促す。なんの為に?
って顔をしている。
知らなければただの氷像だと思うよね普通。
これを使って飛んで移動する事を説明し
乗ってもらう。
「じゃあ、飛びますね」
全員が乗ってから高度をあげる。
王女殿下は凄い驚いているみたいだ。
「氷像が生きてるように動くとは、何て魔術制御だ。彼の底が全く見えてこない」
魔力制御に関しては実の所、精霊王の補正が大きい。単純な魔力制御の腕ならマーリン殿の方が上だ。
「まだまだ、訓練して上手くならないと」
ホムラと戦う時もうちょっと善戦したいしな。
いっつも遊ばれて軽くあしらわれる。
最初にあった時みたいに、ひと泡吹かせてやりたいものだ。
「ここまで出来て、コウ殿はまだ上を目指すのですか?」
「ひと泡吹かせてやりたい奴もいるので。
今のままでは、勝負もさせてくれないんですよ。だからもっと強くならないといけない」
「これだけの力があっても勝負にならないって、相手は人なのですか?」
相手は精霊王なので、王女殿下の考えは当たっている。
でも、人間だって侮っているわけじゃない。
特にヒューマンが持つ、可能性の特性とか
本当に怖いし、一件意味がわからないけど、
無限に進化する可能性、神さえ殺しえる可能性とか全ての可能性を持つ特性だ。
それ相応の努力は当然必要なので、ほぼ無理ゲーだけど。
そんな話しをしているうちに、空はオレンジに染まっている。
あと1時間もしないうちに、日は完全に沈んでしまうだろう。
「見えた、大きな城壁に囲まれた都市。
あれが城塞都市ベラフか」
堀も掘ってあったり、壁のデカさが普通の
都市を囲む壁とは比べ物にならない。
バリスタも設置してあったりと簡単に
落とすのは難しいだろう。
飛んで近づいてるから、怪しまれてしまったみたいだ。
バリスタが一斉にこっちを向いた。
読んでいただきありがとうございます。
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