第2話
馬車で向かうと時間がかかるし、樹海を直接抜けなければならないので、氷の大鷲に乗って一直線にオルフェナス獣王国向かう。
フィアには一旦フロンに帰ってもらって、公爵家に事情を説明したり、タンジョンを一緒に潜る予定で話を進めて貰っていた冒険者
に話せる範囲で事情を説明して貰っている。
「1時間後ぐらいに迎えに行くって約束したし、そろそろ迎えに行く時間か」
1度地面に降りて迎えに行こうとしたその時、フロン迷宮で戦った島ウミガメより高い魔力量をしている存在が、近づいて来てる事に気づく。
「ドラゴンか、また厄介な奴が出てきたな」
「下等な人間の分際で空を飛ぶなど万死に値する。空は最強生物であるドラゴンの領域だ」
雑魚に構っている暇は無いので、特に話すことなく氷漬けにして終了。
今の奴はクラーケンより弱いただの雑魚だったし。
問題はこいつの後ろからこっちに向かってきているドラゴンだ。
魔力量は島ウミガメ以上だし、ほかの能力だって高いのが何となくわかる。
負けることは無いだろうが、もし戦闘になったら、ここら一体の地形と気候がだいぶ変わってしまうかもしれない。
戦闘態勢をとったまま待っていると。
「水の精霊王様、此方に戦闘の意思はございません。どうか戦闘態勢を解いて頂けないげしょうか」
ちょっと予想外、精霊王ってバレてるし、すげー丁寧。さっきの奴と同じドラゴンとは思えない。
戦闘態勢は解くか。こっちも聞きたいことできたし。
戦闘態勢を解除して話しかける。
「てっきり同族を連れ戻しに来たのかと、それとなぜ精霊王って知ってるんです?」
「それは私が幻獣だからです。後 、あれは同族ではなく、まがい物です」
幻獣?まがい物?何言ってんの?
すると顔に出ていたのか、説明を始めてくれた。
要約すると、幻獣は狼とか熊、野生動物の上位版で魔石を持たない。
まがい物って呼ばれてたドラゴンは幻獣のドラゴンをコピーして魔力から生まれた魔物で、魔石を持っている。
俺がそうだったように、幻獣と魔物の違いなんて一般人は気にしないので、魔物のドラゴンが暴れると、幻獣のドラゴンまで被害を被る。だから、今回みたいな奴を定期的に狩っているらしい。
なぜ精霊王か分かったかは、もっと単純だった。幻獣は基本精霊界に住んでるから。
その為、精霊王の事を知らない訳がないらしい。ドラゴンに関しては、神からの与えられた役割の関係で、人間界にも少しいるらしい。
「成程、理解する事ができた。ありがとう」
「お役に立てて光栄です。私は、まがい物の始末が用事だったので、1度精霊界に戻ろうと思います」
俺もそろそろフィアを迎えに行かないと心配してそうだし、帰るって言ってくれて丁度
良かった。
どう切り出せばいいか分かんなかったんだよね。
今度こそ地面に降りてフィアを迎えに向かうのだった。
ーーーーーー
「精霊王どころか精霊になって1ヶ月程度であの強さ、正直意味がわからない」
水の精霊王最有力候補が拒否し続けて、うん千年、精霊神がカバーすることで何とかなっていたが、それももう限界が近づいていた。
だから妥協して選ばれたものだと思っていた。
実際は全然違った。会った瞬間にもし戦闘になったら絶対勝てないとわかった。精霊神は妥協で彼を選んだ訳ではなかった。
下手したら、ほかの精霊王より才能があるかもしれない。
「戦闘にならなくて本当に良かった」
実際、コウの戦闘力を測るためワザと魔物のドラゴンを誘導していたのだ。
実際には隠れて観戦する為の隠蔽魔法も一瞬で見破られ、敵意を向けられ一瞬で戦意喪失したわけである。
「彼にはもう近づかない」
ドラゴンは心に誓った。それがフラグだとも気づかずに。
ーーーーーーー
仕方ないとはいえ、予定より30分程遅くなってしまった。怒って無いだろうか?
心配させてしまっただろうか?
考えても無駄な時間を使うだけと気づき、
早く迎えに行くことにした。
部屋には、オルトレーさん含め公爵家の人達
集まっていた。
「遅くなりました。ドラゴンが来たり色々あって」
あくまで、俺は悪くないですよーと言う主張をしつつ謝罪から入る。
「理由は分かった。だが、そんなに強かったのか?」
これは、ドラゴンもどうせ瞬殺だったんじゃないの?って言いたいわけか。
とりあえず、全部ゲロっちゃおう。別に隠す事とかなかったし。
ドラゴンの件を全て話した。
「なんと言うか、ドラゴンに魔物と幻獣がいるとか、初めて聞いたけど。結果的に幻獣の方のドラゴンとは話し合いで終わったという事でいいのかな?」
そんな感じかな?
「その通りです」
「十分衝撃的な話だったが、本題に移ろう」
獣王国か俺達が出発した時よりもしっかりとした情報が、でてきてるだろう。
しっかり聞いとかないと、痛い目見るなこれは。
「まず、今回内乱を起こしたのは、スターク辺境伯、帝国との国境を守護するはずの貴族だな」
うへー、ほぼ帝国が関わってるとみて間違いない。
早く解放しないと、リンファス王国は南と西から攻められることになる。
「それと獣王の暗殺が確定情報になった。
それにより、獣王国は既に帝国の手に落ちていると言うのが、王国の考えだ」
だろうな、誰が考えたってそう思うだろう。
「なのでコウくんとフィアは、王都を目指すのではなく、獣王太子が指揮する解放軍の本拠地となっている要塞都市ベラフに向かってもらう」
もう大使では無く、王国認定魔導師として、
オルフェナス獣王国奪還作戦に協力しろって事か。
「既に現地の協力者づてに獣王太子と連絡を取り合い、第一陣としてコウくんが援軍に向かっている話はした。本当ならそれで十分なんだけど、あっちは水の精霊王って知らないからね、急いで騎士団も編成中だよ」
確かに獣王国側からすれば、援軍が1人とかふざけてるって思うだろう。
でも、今のタイミングで要らない行軍をして欲しくない。してしまうと、それだけ帝国本土への進攻が遅れる。
水の精霊王って公表するのは嫌だし。
どうしよう。
「そうだ!フェムト聞こえてるよね?俺を精霊神の使徒に任命してほしい」
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます