第3話

部屋に居る人全員から、何言ってんの?って視線を向けられる。


「コウ、幾らオフィーリアちゃんの血縁者だとしても、人がいるところで僕を呼ぶのはダメだよ」


そう言いつつ、フェムトが現れる。

ツンデレかな?


「今回は結構怒ってるからねコウ?これでも神様だからね僕、地上に降りるの結構決まりが厳しいんだよ?」


本気でキレてらっしゃる。顔は笑顔だけど、

その笑顔が怖い。


「今回は、精霊王としての仕事を頑張って貰うってことで許してあげよう」


流石に考え無さすぎた。こっちから精霊界行けば良かった話だったな、今考えると。

反省しよう。


「で、僕の使徒にして欲しいだっけ?

別に良いけど使徒として獣王国行くなら、

王国所属じゃなくて、精霊神の代行者としてになるから、どっちにしろ王国は兵を出すと思うよ?」


あ〜確かに、今回は無意味って事か。

でも強大な力を持つドリフターよりも

精霊神の使徒の方が、怖がられずに済みそう。面倒な貴族の妨害とかも減りそうだし。


「確かに、僕の使徒です。ってはっきりさせた方が、本当に人間なのか?って疑われたり、調べようとする人も減るよね」


今日も当たり前のように心を呼んできますね?

それと調べようとしてる人なんているの!


「実際に永久凍土作ったりしてるしね。

本当に人間か、加護を貰ったりしてるのか

結構調べてる人は多いよ」


最初期にやらかしたあれか、やっちゃったなーとは思ってたんだよね。


「あれ以外は、自重してるみたいだけど、

それでも目をつけられるには、十分だったみたい。時間もないし、ちゃっちゃと済ませちゃおうか。僕の使徒の証明として、コウにはアポストロスの苗字を授ける。これからは、

コウ・アポストロスと名乗るわけだ。

貴族になったりで家名を貰った場合、更に苗字が増える。

例えばコウ・アポストロス・コラーソって名乗ることになるみたいに」


長い自分で言っても噛みそう。アポストロスとは神の使徒の証明であり、勝手に名乗ったりすると、それだけで神罰の対象になるらしい。


ステータスカードを確認すると、名前が変わって、称号も〈精霊神の使徒〉が増えてた。


「これ以上、地上にいると世界神様に怒られるから、僕は帰るね」


そう言ってさっさと帰ってしまった。


「コウくん、神様の顕現なんて普通の人からしたら理解が追いつかないから、簡単にしちゃダメだよ」


オルトレーさんにも怒られてしまった。

確かに部屋にいる人、事前に会ったことがあるフィア以外凄い疲れてる顔してる。


「神様にも怒られたので、人前ではもうしませんよ」


怒られなかったら、するつもりだったのかって顔されたけどスルー。


「これ以上は獣王国に着くのが遅くなりそうなので、そろそろ出発しますね。陛下にご報告をお願いして良いですか?」


これ以上追求される前に逃げるに限る。


「分かった。報告はこちらからしよう。2人とも気をつけてくれよ」


そうして、樹海の方に帰ってきた。


「王都に向かうよりは目的地が近くなった訳だが、どのぐらいで着く?」


「正確には分からないけど、王都まで7日の予定だったからベラフまでは5日ってところかな?」


改めて考えると結構時間がかかる。

馬車等で向かった場合、1ヶ月はかかるらしいから充分早くはあるけど。


「帝国はヒューマン以外をデミヒューマンと言って差別する。今回、一般人とか関係なしに攻撃しているだろう。多少無理してでも、もっと早く到着出来ないだろうか?」


そこまで腐ってるのか帝国は。これより早くとなるとこのままでは難しい。

大鷲で飛んだまま身体強化を使って視力を上げて、精霊門を発動、これが1番早いかな?

取り敢えず試してみる。

魔力の消費は激しいけど、問題ない範囲かな。


これの方が何倍も早い、この調子なら今日着くんじゃないか?そんな事を考えていると人間の集団が探知に引っかかった。

追われて逃げているみたいだ。


「追われて逃げてる人を探知した。獣王国の人の可能性が高いから、助けにいくよ」


「分かった。」


樹海の中で直接転移魔法を使うのは難しそうだったので、飛んで近づく。


「コウ、杖を出しておいた方が、勘違いされず済むかもしれない」


確かにあれを持ってれば王国認定魔導師だと証明出来るので、簡単にリンファス王国所属と信じて貰える。

杖を手に持ってから近づくと。


「な!前からいつの間に回り込んだ!」


無事勘違いされました。それにしても、如何にも姫様と騎士って見た目してるな。


「アルト落ち着いて、あの杖はリンファス王国の王国認定魔導師が持つ杖です」


恐らく獣王女である女性に説明され、騎士が警戒を解いた。


「失礼しました。私はメル王女殿下の護衛騎士であるアルトです」


やっぱり王女様か、それにしても杖便利だな。すぐ誤解が解けた。


「コウ・アポストロスです。獣王国を救う為に来ました」


2人はまずアポストロスを名乗ったことに驚き、神罰が起きなかった事で本物と理解し、更に驚いている。


「自己紹介は一先ずここまでみたいですね」


俺が来た逆方向から鎧を着た集団がぞろぞろ

出てくる。公爵領を攻めてきた奴らと同じ鎧つまり、帝国兵だ。


「突然止まったと思ったら、お仲間さんと合流してたのか。しかもリンファスの認定魔導師か、これの力を試すには丁度いい」


そう言って、魔道具を手に持った。

あれは精霊を無理やり使役する魔道具だ。


「精霊に仇なす愚か者どもめ、凍れ」


わざわざ相手が、攻撃するのを待つのもバカバカしいので、先制で凍らせて終わり。


「ゴミ掃除も終わりましたし、自己紹介の続きお願いします」


そう言って振り返ると獣王国の2人は、目を見開いて固まっていた。


読んでいただきありがとうございます。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る