第9話

「そもそもコウは、剣を使えるのか?」

中学校の授業で剣道を少ししたぐらいで、完全に初心者だ。

作って貰った理由も刀ってかっこいいよね!

だし。

「いや、全く今日が初めて」

「なら先ずは素振りからだな」

記憶の奥底にある剣道の授業を思い出し、何度か素振りをしてみる。

モルガンとフィア2人してうーんって顔してるけど。

「コウは完全な魔法タイプみたいだな」

「魔法使いが剣を使える必要はねぇしな」

酷い言われようである。そんなに才能なかった?

「そんなにダメ?今後の練習で何とかならないぐらいに」

うーんと考えた後に

「純粋な剣の腕だけで考えると、鍛えてなんとか一般的な剣士の腕前になるかな?ぐらい」

そんなにか〜、フィアが純粋なって言ったように魔法を使えば、また変わるだろうけど。

フィアが他にも言いたそうにしているが、

言わないのはモルガンがいるからかな?

後で聞けばいいか。

完全に日も落ちてしまったので、代金を払い帰ることにした。


屋敷に帰ってきて、寝室でさっきの話の続きを始める

「さっきまだ話したい事があるような感じだったけど」

「鍛冶師にどこまで話してるのか分からなかったからな」

やっぱりそういう事だったか。

「フェムト様に、精霊は魔法特化だから

物理系が低いのはしょうがないって言われてるだろう?ステータス的にも不利だと思ってな」

物理系は、平均的な冒険者Lv20程度、人間と同じ速度でLvupするなら高いステータスといえるが、こちとら攻略されてない高難易度ダンジョンを攻略しても2~3しか上がらない程、必要経験値が多い。

しかも、Lv20って初心者卒業ぐらいのレベルなのでたいして高くないし。

魔法系に関しては人間がどれだけレベルを上げても、到達出来ないステータスしてるらしいので問題は無いんだけど。

「明日は朝からフロン迷宮に入ってレベル上げしたいなって思ったんだけど」

3層の魔物を狩り尽くす勢いで、殲滅すれば

1ぐらいレベルが上がるかな?

「明日は建築士の所に行きたかったんだが」

家を建てたいって自分で言ってたのにすっかり忘れていた。そっちを優先しよう。

「そうだよね、依頼しないといつまで経っても家建たないもんね、明日は建築士のところに行こう」

「そんなに時間もかからないから、ダンジョンに行く時間も十分あると思うぞ?工房も朝早くから開いてるしな」

時間がかからない?家の依頼なんて時間かかりそうなもんだけど。

まぁ、ダンジョンも行けるならいいか。

「明日はその2つって事で」


翌朝、普通のお店ならまだ開いていない時間だが、建築士が経営する工房に来ていた。

「建築を頼みたくて来たのだが、」

受付らしき人に話しかけてる。俺はよく分からないので、フィアに丸投げしよう。

すると商談スペースみたいなところに案内されて、座って待ってると、建築士っぽい人が来た。

フィアが色々と話しているが、任せておけば良いだろう。

魔力制御の訓練でもしてようかな。

まず体全体に行き渡るように魔力を操作、

次にその魔力を出来るだけ早く手のひらに集める。

そこから指先に集めたり、中指だけに集めるとかやっていた。

集中しすぎたのがいけなかった、突然こめかみをグリグリされた。

「何やってるんだコウ、欲しい部屋とかあるか?って聞いてるのに返事しないし」

ずっと声をかけられてたみたい。

「5人ぐらいがゆったり入れる、湯船のある風呂場ぐらいかな」

「だそうだ。大体どのぐらいの工期になるだろうか?」

他の話は全部終わってたみたい。

「約3ヶ月程かかるかと思われます」

3ヶ月でできるの!もっとかかるものかと思ってたけど、魔法があるから?

「妥当な期間だな。コウ合計が6千万Zで

前金が3千万Zになる。決定で大丈夫か?」

決定でいいか。でも3ヶ月後って丁度教師を始める時期だから、あんまり屋敷に居ることはないかも。

「問題ないよ」

そう言って前金分を受け渡す。

1時間ぐらいだろうか?本当にすぐ終わった。

ダンジョンに潜れる服装で来てるので、そのままダンジョンに向かった。


いつも通り1層2層は最短距離で抜けて3層に向かう。

「俺は水面を凍らせながら歩いて、狩りをしようと思ってるんだけど、フィアはどうする?」

「ついて行っても邪魔になるだけだと思うからこの島を探索してるつもりだ」

そういう訳で現在1人で海の上を歩いているところだ。

水流を操り魔物を水面まで動かして、凍らせて収納魔法に仕舞う。

最早、唯の作業とかしていた。

「シーサーペントは出てきたのに、黄金マグロは出てこない」

マグロが出てこない事にショックを受けつつ、モササウルス、プレシオサウルスのような恐竜種を倒したり、ダツのような魔物に集団で襲われたのを一掃したりとどんどんモンスターを狩っていく。

「結構倒したと思うけど、レベルは上がらずか」

かれこれ3時間ぐらい魔物を狩り続けているが、レベルが上がらない。

もう帰るかと思った時ふと前方にある島が気になった。

「よく見ると動いてない?あの島」

じっと眺めていると、巨大な亀の頭が浮かんできた。

「あれ島じゃなくて亀ってことか!」

あれを倒せばレベルも上がるのでは?と巨大な槍を氷で作り首を狙って発射する。

しかし、亀に触れた瞬間跡形もなく消えてしまう。

攻撃されたと認識したみたいで、雨のように

氷をこっちに振らせてきた。

「余裕で防げるけど鬱陶しい!それに魔法無効的なスキルを持ってる?」

何度か魔法を撃ってみるが最初と同じように

消えてしまう。

「困った、やられることは無いだろうけど倒すのも難しそうだし」

攻撃したことで、すごいロックオンされているし、剣で斬ったとしても致命傷を与えるのは一苦労だろうし。

「魔法が効かない以上、精霊刀で斬ってくしかないよな」

取り敢えず身体強化をしてから、カメに突っ込んでいく。

半分程近づいたところで攻撃方法を変えてきた。

「水のレーザー?大分攻撃が激しくなってきてるけど、やっぱり近づかれたくないのか」

ここで気づく。見えてる範囲も精霊門で

転移出来るんじゃね?と。

普通に成功して、一気に近く事に成功する。

「今のうちに先ずは一撃!」

精霊刀で傷つけることに成功する。

だが巨体すぎて、擦り傷程度の傷しかつけられなかった。

今度は傷口を狙って魔法を撃って見ると、消えること無くダメージを与える。

「無効化するのは表皮や甲羅だけみたいだな」

傷口に向かって魔法を連射していると、カメが大きな声をあげる。

そして、攻撃が止まった。

「倒したみたい、随分時間かかったな」

変わったきはしないがレベルが上がったか確認する為ステータスカードを見る。

「おー、1だけ上がってる」

ようやくレベルが上がったことに本当にレベル上がると安堵する。

「カメの回収もしなきゃ」

回収のために近づこうと歩き出すのと同じタイミングで、連絡用の魔道具が動き出した。

「また王城に呼び出し、頻繁すぎない?」

マルタが会いたがってるとかだったらな〜

と現実逃避しながら、カメを回収しフィアのところに急いで戻っていった。


読んでいただきありがとうございます。



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