第8話

「無詠唱魔法を使えるようになったんだ、これで気兼ねせずに魔法学園に通えるな」

「はいお父様、体質の研究と克服の為という理由で入学予定だったので後ろめたい気持ちもありましたが、魔法使いとして入学できそうで、とても嬉しいです」

マルタはこれから学校に通うのか、そういえばマルタって何歳なんだろう?10~15の間だとは思うけど、今年はもう春が終わって夏が近づいて来てるので、来年入学かな?

因みに、この世界の暦は地球とほぼ一緒、

今は6月頃である。

「ちょっと気になったんだけど、マルタって今いくつなの?」

聞いてから、もうちょっといい聞き方あったかもと後悔する。

「13歳です。なので式をあげるのは、2年後になります」

この世界では15歳で成人なので、結婚式もそれに合わせてという訳だ。

その前にフィアと式をあげないと。やる事が多くて時間が無い。

「それでだ、コウはマルタが入学するのと同時に2年間教師をして欲しい」

2年と期間が決まってるし、その後延長されないなら問題ない。

「2年できっかり辞めれるなら」

「わかった約束しよう。3ヶ月後と時間が無いが、頑張ってくれ」

3ヶ月後?秋に入学式やるって事か!

「秋に入学式やるんですね、勝手に春にやるものだと思ってました」

春のイメージだったから油断してた。

「春だと場所によっては、雪が残っていて

王都まで来れない地域も出てきてしまう。

夏は学園が長期休みになるのでな、自然に秋に入学式をやるようになった」

この世界の基本的な移動手段は馬車だ、雪が残ってたら、移動は難しいだろう。

夏は休みだと必然的に秋になるか。

準備の期間が全然ない!自分で言うのもなんだが、大丈夫だろうか?

「コウは短い期間で準備できるか不安みたいだが、逆に良かったかもしれないぞ?」

そう言ってフィアが説明してくれた。

この学園、授業を受けたい教師を選んで

2年教えを受けるらしい。

この時期ならほぼ教師を決めてある時期なので、大人数押し寄せてくる事は無いだろう

と言うことらしい。

なんかゼミみたいだな。

でも教える人数が少数で済むのはラッキーかも?

「そうだったら、ギリギリで良かったかも」

2年で辞めるから人気とか要らないし。

「勿論、私はコウさんの授業を選択します」

寧ろ別の教師を選択するって言われたら大分へこむと思う。

「楽に通えるよう、屋敷などの用意は王家がしておく。勿論、教師を辞めたあとも使ってくれて構わない」

まさにいたせりつくせりだ。

「わかりました。ありがとうございます」

ここで国王に外せない会議があるらしく、

お開きとなった。

「コウさんと一緒にフロンに行けない事が、残念ですが。しっかりと魔力制御の練習をして、次会った時に驚かせてみせます」

屋敷を建てる予定ではあるが、まだ公爵家にお世話になってるから、マルタは王城に残ることになっている。

「転移魔法があるし、ちょくちょく会いに来るから」

一瞬で来れるわけだから、フィアと2人で

頻繁に会いに来るのも楽だしね。

一旦の別れを告げフロンに帰った。


「なんで私の部屋に直接転移しなかったんだ?」

フロンを囲む壁の外に転移してきた。

屋敷に直接も可能なのに何故?という事だろう。

「注文していた剣を取りに行きたくて、こっちの方が近いから」

若干呆れた目をされた

「別にそれ自体は問題ないが、もう夕方だぞ店が閉まってるんじゃないか?」

この世界夕方になると、店が閉まりだして

夜までやってるのは酒場ぐらいだ。

「閉まってたら大人しく帰るよ」

話している間も時間は進むので、急いでお店に向かった。

「まだ空いてるっぽい。おーいモルガン!」

お店の中に向けて声をかける。

「その声やっと来たのか、遅いぞコウ」

返事が聞こえ、こちらに足音が近ずいてくる。

「オフィーリア様までいたしたのですか!」

フィアがいるのは予想外だったらしい。

「ただの付き添いだから気にしないでくれ」

連れてきた本人が言うのもあれだが、領主の娘を無視とか無理じゃね?

「モルガン早く物を見せて欲しい。フィアも気になるでしょ?」

助け舟になるかは微妙だが、こっちで流れをつくってしまう。

「そうだな、確かに気になるな」

フィアも乗ってくれたのかな?

「分かりました。直ぐにお持ちしますので、少々お待ち下さい」

本当にモルガンか?ってぐらい礼儀正しいな。余り弄るのも可哀想だし、大人しく待ってるか。

「おまたせしました。こちらになります」

モルガンが小走りで、1本の剣を持ってきた。早速受け取り鞘から抜いてみる。

「これはまた凄いな」

綺麗に透き通った青い刀身に思わず見とれてしまう。

疑問なのは

「なぁ、モルガンなんで刃文がついてるんだ、刀の作り方知らないって言わなかったっけ?」

知らないなら出来ないと思うんだよね刃文って。

「刃文って言うのか、普通本物の刀にしか出ないからな、初めて知った」

おかしくないか?じゃあなんでこの刀には

しっかり刃文がでてる?

「気づいたら出てたんだ。恐らく精霊石で作ったのが原因だろう」

精霊がそうなるように手伝ったとか?

「最早、刀モドキでも刀でもない新しい武器と言っても過言ではないだろうな。折角だから名前つけてくれ」

「構わないけど、得意じゃないんだよ名付けとか」

必死に考えてみるが、全然思い浮かばない。

変にひねって滑っても自分が恥ずかしいだけだ、そのままでいこう。

「精霊刀〈水月〉」

そのままだなって顔されましても、俺には才能ないんで許して。

「なんと言うか、そのままの名前だな」

「まぁわかりやすくて良いんじゃないか?」

精一杯のフォローありがとうございます。

それより実際に使ってみたい。

「フィア、刀使ってみたいから練習付き合って」

「もう、暗くなって来てるんだが」

そう言いつつ、鍛冶場にある試し斬りのできるスペースに移動した。


読んでいただきありがとうございます。




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