第5話
朝イチに黄金マグロを取りに来たのは
やはり勇者だった。
「やっぱりハジメくんだったか」
「当たり前です。コウさんだってマグロが
あるってなったら待てないでしょう」
まあそうだけど
「それに召喚者は
アイテムボックスのスキル持ってますから」
召喚ボーナスってやつか。
「はいよ黄金マグロだ」
何ヶ所か部位を渡し合計で50kgぐらい渡す
「ありがとうございます。
そうだコウさん今度一緒にフロン迷宮
潜りませんか?」
悪くはないけど。フィアと潜ってからだな。
「時間があったらな。」
「約束ですよ。」
「まあ、同じ日本人だからな。
敵対しなければ仲良くしたいしな。」
敵対するなら容赦しない。
「そうですね自分も同じです。
他にも日本人がいるので今度一緒に
ご飯でも食べましょう。
マグロ早く食べたいんで今日は帰りますね」
そう言って城に帰って行った。
「コウ、日本人って皆ああなのか?」
食に対して全力な人は多いと思う。
「皆ではないよ、多いとは思うけど。」
多くはあるのかと小声でフィアが呟く。
「それより精霊界だフィア行くよ」
精霊界に繋がる精霊門を作り2人でくぐる
「これは」
フィアはそう言い黙ってしまう
それもそうだろう見た目は
人間界とそう変わらないが精霊の数が
桁違いだ、それに小精霊だけでなく
生物の姿をした下位精霊も沢山いるのだ。
とても幻想的な雰囲気になっている。
しばらくそのまま待っていると
フィアが喋りだした。
「見惚れてしまっていたな。ほんとに
綺麗だな」
フィアも喜んでくれたみたいだ
これだけでも来たかいがあるものだ
だがそろそろあいつも来るだろう。
「気に入ってくれたみたいで良かった。
ようこそ精霊界へ僕はフェムト
よろしくねオフィーリアちゃん」
やっぱり来た。
「約束通り来たぞフェムト」
「そうだね早速、僕の城で歓迎会をしよう」
そう言ってフェムトが妖精門を作る。
「コウ?彼女とはどう言う関係なんだ」
彼女?
「彼女?フェムトは男でしょ
俺を精霊王にして人間界に転移してくれた
精霊神だよ」
瞬間フィアが固まる
「聞き間違いか?精霊神って
聞こえたんだがあと確実に女性だぞ」
フェムトが冗談だろ!フェムトを見ると
「正真正銘女の子だよ。ほら」
フェムトが後ろから抱きついてくる。
胸がある!しかも割とおっきい
「着痩せするタイプなんだ。」
「本当に女性だったんだな」
「もうちょっと女だったのか!
見たく取り乱したりとかしないの?
つまんないの」
いや、それは物語だからであって
実際になったらびっくりしたぐらいだろ。
それより「フィア?大丈夫」
「何とか、本当に精霊神様なんだな」
突然目の前に神様が出てきたことで
どう接すればいいか、分からないみたいだ。
「確かに神様だけど余程のことを
しなければ良い奴だから。」
「そうだよコウのお嫁さんなんだから
フェムトって呼んでよ」
相変わらず距離感バグってんなフェムト
「勘違いしてるけど神として
関わるんならそれなりの態度で接してるよ。友達として接してるからだよ。」
でもナチュナルに思考読んできますよね?
「出来ちゃうから仕方ないね、
それにオフィーリアちゃん放置でいいの?」
そうだった。
「えっと、フェムト様 本日はお招き頂き
ありがとうございます。」
「まあ、これから仲良くなってけばいいか
早く僕の城に行こうよ」
そう言われフェムトの作った精霊門をくぐる
すると。王座の間?に出てくる。
「てっきり、食堂的な所に出ると思った」
謁見からするの?
「違うよ ちょっと2人の修行を
先にしようと思って。」
修行?
「そう修行まずオフィーリアちゃんね
ユニークの重力魔法持ってるよね?」
フィアそんな魔法使えたんだ。
「重力魔法って物を重くしたりぐらいで
使いずらい魔法って言われているんですが」
そんな認識なのか。
「じゃあ、日本人のコウ重力の説明
よろしく」
突然の無茶ぶりだな。
「じゃあ、手に持ってるリンゴを空中で
はなしたらどうなるフィア」
「下に落ちるだけだろう。」
何言ってんだこいつって顔される。
「まあ、下に落ちるのが重力があるおかげ
なんだよ
地面に向かって働いてる力見たいな?
矢印をイメージすると
魔法使いやすいんじゃない?
矢印のサイズ変えたり、向き変えたり」
「それじゃわけわかんないと思うよ
仕方ないな。コウは僕が直接重力に
関しての知識をあげるよ。」
そう言ってフィアの頭に手を置いた。
それで出来るんなら
最初からそれでいいじゃん。
「魔法の使い方としては矢印が
やりやすいんじゃない?ただ単純に矢印を
強くしたらこんな感じ」
突然重力魔法をかけてくる。
重力が強くなって立ってることが出来ない
というかフェムトも使えるのかよ。
「当然、矢印を無くすとこう。」
無重力って事なので浮かんでいく
完全に玩具にされてる。
「で、基本の下矢印につり合う様に
上矢印を作る」
中に浮いた状態で止まる。
「下向きを横に変えると吹っ飛んでく」
無抵抗で吹き飛んで行く。
「あとは、もっと威力あげれば
押し潰して殺したり、自由に空飛んだり、
色々使えるよ
知識上げたから上手く使って」
「知識を貰ったので
今までより使いこなせると思います。
説明は,,,分かりやすかったです。」
無理しなくて良いよ。
自分でもわかんないって思ったもん。
「じゃあ次コウねじゃあこれから
抜け出してね。」
そう言って思いっきり重力をかけてくる。
長時間このままだったら骨折れると
思うんだけど。
「コウは半精霊なんだよ
水精霊だったら水そのもの
でもあるんだよ。元が人間だから
意識しずらいと思うけど」
水になれるってこと水というよりか
霧になるイメージでやってみるか。
するとさっきまであんなにキツかったのに
自由に動けるようになる。
「自分じゃわかりにくいと思うけど
しっかり出来てるよ。」
戻ってみるか
「あっそのままの場所で戻ると」
ビターンと地面に叩きつけられる。
重力魔法そのままだったっけ
もう1回霧になって
普通に移動もできるんだな
移動して元に戻る。
「無事使いこなせてるみたいで良かった
これで今回は終わりかな?
じゃあ食堂に精霊界でしか採れない食材を
使った料理用意してるからそっち行こう」
個人的には最初から
そうしてくれると思ってたので
やっとって感じだけど
「デザートばっかり?」
凄い美味しそうではあるけど
「あはは、精霊って甘いもの大好きだから」
まあ、お茶会と思えば、お昼ご飯ぐらいの
気持ちだったけど。
しかも量が凄い。甘いもの好きだけど。
この量はキツくないかな?
1人ワンホール分以上量があるよ?
「食べてみれば分かるよ残ったのは
僕が全部食べるし」
そう言われいちごのショートケーキを
進められる。凄いいい匂いがするし
絶対食べるし。残った分は収納魔法で
持って帰るよ?
1口食べてみると甘すぎる訳でなく
凄くあっさりしている。
確かに量食べちゃいそうだけど。
だからって食べ過ぎたら太るだろ。
フィアが美味しいから食べたいって感情と
これ以上は太るって感情で
挙動がおかしくなってる。
「フィア?残った分は収納魔法で
持って帰るから毎日ちょっとずつ
食べればいいでしょう?」
それを聞いて顔を赤くしていたが、
安心したのか紅茶を手に取り飲み始めた。
「気に入ってくれたみたいでよかった。
作ってくれてるのが水の上位精霊でね
精霊王が喜んでいたって知ったら
喜ぶだろう。」
へ〜そうだったんだ誘ったら
うちの料理人になってくれないかな?
「絶対ダメだからね」
フェムトにダメって言われてしまった。
まあ、精霊界に来た時に食べれればいいか
「思ったより修行で時間使っちゃったね
人間界だともう夕方だ。」
時の流れが違うみたいだ。
「ちょっと違う。精霊界のこの地域は
夜が訪れないんだ。
ずっと夜の場所もあるよ。」
そんな特殊な場所もあるのか。
人間界にもあったりするんだろうか?
「なくはないよ自分で探してみてね。」
さすがフェムトわかってる。
答えを全部聞いちゃったらつまんないからね
「そうだこれも持って帰ってよ。
果実酒なんだ。」
お酒とは有り難い。
今度ダンジョンに潜る時は
甘い物を意識して探そう。
お土産になるかもしれないし。
「別に甘いものだけ食べるって
事じゃないよ?黄金マグロとか
結構好きだよ。」
それならと黄金マグロをいくらか渡し
人間界に帰る妖精門を作る。
「今日は色々とありがとうなフェムト」
「お世話になりました。フェムト様」
「僕も楽しかったよ。また来てね」
別れの挨拶をし人間界に帰っていった
「生きた心地がしなかった。
いい人ではあったが。」
神様ってなればそうもなるか。
「多分これからも
会うことになるだろうから
そのうち慣れるよ」
それにしてもほんとに夕方だ。
「やっぱり
今回が最初で最後じゃないんだな
取り敢えずお父様に帰って来た
報告をしに行くか。」
そう言って2人で執務室に歩いていく。
読んでいただきありがとうございます。
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