第18話 黒星兄

「そんな…お兄ちゃんは、本当に死んだの…」


「何言ってるんだ?僕は生きてるよ。ほのかちゃん、おかしなことを言わないで。」


「じゃあ、黒星の誕生日とか言える?」


2人は顔を上げて見た。


「騙せると思ったのに…残念だったよ。」


そう言うと黒星の兄はニヤつきながらこう言った。


「こいつの体を使うのは最高だったよ。普通の人間に取り付けば怪しまれないし。人間の生活も悪くなかったよ。でも、悪魔は人間に取り付いたり、襲ったりするものなんだよ。だから、僕は正体がバレたからって帰らない。」


「私のこの能力がなかったら、危なかったね。この能力で良かったかも。」


「使えない能力って思ってたけど、案外役に立つんだね。まずは、ほのかちゃんを狙おうかな。」


そう言うとこっちに向かって走り出した。

一瞬で目の前に来たことで対処しきれず、ほのかは攻撃を受けてしまった。


「次は黒星だ。兄の形をした僕を倒すことが出来るかな?」


「出来るよ。お兄ちゃんは、自分の体で人を苦しめたくないってきっと思ってるから。だから、絶対に倒す。そしてお兄ちゃんの体を返してもらう。」


黒星は攻撃をした。

倒されても何度も立ち上がり、そいつを追い詰めることが出来た。


「ハァ…ハァ…ハァ…やるじゃないか。1人でここまで出来るとは、大したものだ。さて、本気を出すか。」


そう言うと黒星の兄の体から離れて、悪魔の姿を現した。


「ここからが、本当の戦いだ。覚悟はいいか。」



ほのかはまだ、痛さに苦しみ起き上がることが出来ないでいた。


(黒星が戦ってるのに、何も出来ない。戦ってる姿を見てるだけなのが1番苦しい。立ち上がれ私。お願いだから。)



「本気の姿を見せたから、ひとつ教えてあげよう。僕は、悪魔なのに人間の言葉を話せる。その理由は、僕が悪魔の中で最も強く、最強で、悪魔を作っている本人だからだよ。」


「どういうことなの。」


「元々僕は、人間だった。だけど、体が弱くて、思いっきり遊ぶことが出来なかったんだ。だから、悪魔と契約して悪魔の姿になった。人間のことをよく知る僕だから、悪魔を全て殺して、1番になることが出来た。そして、強い悪魔を作ることが出来た。僕を倒して、全ての悪魔を殺せば悪魔は居なくなる。だから、僕を倒すことをオススメするよ。 」


黒星は悪魔を見て、どこか悲しそうな表情をした。

それでも、悪魔を倒すために戦うことを辞めないと決意したかのように拳を握り直した。

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