煌めく銀原と夢見の羊(5)

 どれ程時間が経っただろうか。

 空は黒く色付き、星が瞬く。レグルスは睡魔に打ち勝とうと、唇を血が出る程に噛んでいる。

 眠気のせいか、風が止んでいることには全く気付いていなかった。

  

「いた!」


 男性の声が聞こえた。レグルスは顔を上げ、ファミラナを抱き寄せる。

 二人に近付いてきたのは、金髪に巻き角を生やしたサテュロス。彼の後ろにはマーブラがいる。


「君の友人で間違いないね?」


「はい、そうです」


 レグルスはぼんやりとサテュロスを見上げる。サテュロスは腰を屈め、レグルスの顔を覗き込んだ。


「ごめんね、僕のせいで。立てるかい?」


 人に出会えた安心感から、レグルスは微笑む。既に体力は限界だった。サテュロスの言葉を聞くことすらできず、目を閉じて眠りに落ちた。

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