第14話 サムソンのステータス
さて、これでサムソンとの契約が成ったワケだけど……
「サムソン、早速で悪いんだけど、ステータスを見せてくれるかな?」
「それでしたらレブル様、ご自身で確認すれば宜しいかと」
「え? どういうこと?」
「このサムソンは、レブル様が名付けたことにより、レブル様と主従関係となっております。直属の配下ということになりますので、ステータスは自由に確認可能です」
「あ、そういうものなんだ」
ザッハ様は僕のステータスを参照モードでもないのに普通に見ていた。
実際はわざわざ僕が開いたステータスを覗き見なくとも、任意で閲覧可能ということなのだろう。
……よし、試してみるか。
「ステータス」
ステータスは、そう唱えることで発動するスキルのようなものである。
全ての種族が共通して使える常在能力であり、教え込めば犬などの小動物でも扱えるようになる。
……あ、そういえば飼い犬や奴隷のステータスを見れるのも、主人だけだったな。
冒険者同士は上下関係はあるけど、主従関係があるワケでははない。
加えて、僕は親になったこともない。だからこんな簡単なことに長年気づきもしなかった。
ステータスが発動すると、僕の意識上に選択肢が現れる。
現れたのは僕自身とサムソンのみであった。これはギアッチョさんが僕ではなくザッハさまの直属の配下だからということだろう。
僕は意識をサムソンの方に向ける。すると、サムソンのステータスが僕の視界に表示された。
名前:サムソン
レベル:58
種族 :オーク
職業 :戦士
HP :8800
MP :80
STR:105
AGI:30
VIT:350
INT:20
DEX:50
LUK:15
スキル:殴打 LV5、突進 LV3、棍棒術 LV5、自己再生 LV2
おお、やはりというか、オークにしては相当レベルが高い。
もし僕が冒険者時代にサムソンと遭遇していたら、間違いなく殺されていただろう。
AGI(速度)は低いが、当時の僕も似たようなものだったので、多分逃げられなかったハズだ。
「サムソン、本当にレベルが高いね。一体どうやってこんなにレベル上げたの?」
「それは、地下で魔獣達相手に修行をしていたからです」
地下? ここのさらに地下に、まだなにかあるのだろうか?
「レブル様、もう一つ下の地下には、人型でない魔獣達の住居区画である大空洞があります。サムソンは、そこで魔獣達相手に命を賭けた修行を行っていたのですよ」
「ええ!? 命を賭けてって、そんなキツイ修行をしてたの!?」
「はい。地下の魔獣達は基本的に狂暴ですし、『翻訳の宝珠』がなければ意思の疎通も不可能です。ゆえにサムソンは、そんな危険地帯に自ら飛び込むことで、己の力を高めたのです」
それは、本当に凄まじいな……
僕だったら、そんな危険な真似は絶対にできない。
サムソンのこと、ちょっと尊敬してしまったかも……
「凄いね、サムソン……」
「そ、そんな、恐縮です……」
謙遜だと思うが、そんな控えめなところも好感が持てる。
オークってもっと不遜なイメージだったけど、サムソンが特殊なのかな?
なんにしても、僕の中のオークに対する悪いイメージが、サムソンのお陰で大分緩和された気がする。
「レブル様、ここにはオークやゴブリンの他にコボルド、インプといった低級の魔物がいます。また、ここから業務区画を挟んだ上の階には、それより上級の魔物達の居住区になっています。ただ、この城に住み込んでいる個体はそれ程いませんので、今の時間であればほとんどいない可能性が高いです。……一応確認なさいますか?」
うーん、どうしようか。
正直、僕としてはサムソンくらいの手駒がもう少し欲しかったりする。
あまり強過ぎても、現状では使いこなせないからだ。
上の階の魔物がどの程度の実力かにもよるが、ギアッチョさんクラスだと間違いなく手に余るだろう。
だったら、もう少しこの階で戦力を募った方が良いかもしれない。
もしくは、地下にいる人型じゃない魔物を確認してみるか……?
ピーッ! ピーッ!
そんなことを考えていると、ポケットに入れていたリモコンから電子音のような音が鳴りだす。
「レブル様、この音は……?」
「ワールドマップの警告音ですね。どうやら、僕が監視をしかけていたポイントに冒険者が現れたみたいです」
先程監視をしかけた、『サクライ平原』のデスゾーンまでの順路に、冒険者が現れたようである。
僕は早速リモコンを操作し、監視対象のエリアを開く。
すると、そこには5つのアイコンが表示されていた。
アイコンを確認すると、『剣客』、『高僧』、『中級マッパー』、『騎士』、『中級魔術師』となっている。
全員が中級職であることから、恐らくBランク冒険者のパーティだろう。
ランク的にかなり背伸びしているようだが、こういうパーティはそれなりの数存在する。
怖いモノ見たさで挑戦するなんて輩も多いからだ。
「緊急事態、というワケではなさそうですね」
「はい。パーティの規模も小さいですし、恐らく放っておいても問題ないでしょうね」
ただ、このくらいの規模であれば、練習にはもってこいの相手とも言える。
絶対に殲滅しなければならないというワケでもないし、ちょっと利用させてもらうことにしよう。
「ギアッチョさん、現在このフロアに残っている魔物を集めてもらえますか?」
「畏まりました」
先日の件を除けば、これが僕の初仕事ということになる。
気合を入れていくぞ……
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