人魂
鳥山石燕『今昔画図続百鬼』より
一、悪夢
襖から漏れ出でる月明りに横顔を照らされた女が悪夢に
お
「
昼と夜となく、それは家屋を飛び交うようになりつつある。一見すると白い肉の塊のような歪なものである。醜い
寝る気はとうに失せてしまった。お
お
無論、お
お
だが、お
「こうなったら心中するしかあるまい」と初めに言い出したのはお
昭和十年十一月某日に
だが、
二、花盛り
お
空中を舞う肉塊は
肉塊の
「自分の身体はどこかおかしいのだろうか」
医師の力を頼ろうと考えた事もある。だが、最後にはいつだって羞恥心が
冬ごもりを前にした獣のように、
「一刻も早く、この飢えを満たしたい。そのためならば――」と考えながら
やがて、月日が巡って
三、剃刀
ある冬の晩のことである。
お
お
熱病に侵された身体で這いながら
鏡に映じた自分の姿をジッと見詰める。
――太陽が昇ったら燃やしてしまおう。そうすれば、
そう考えて、
思案に
四、惨劇
明朝、
村の
村の男たちは
――昨晩、奥さまは風邪を
母と子の二人暮らしとはいえども、
「もし、奥さまの身に大事が起こったら、
それなのに――
村の男連中が口を
「あの家には不吉な空気が漂っている」
「ああ、
その
お
徐々に意識が薄れてゆく。女の
(了)
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