影女
ものゝけある
鳥山石燕『今昔百鬼拾遺』より
一、すずろ歩き
「
人群れを掻き分けて、
暗がりの中に女の横顔が
「はてな。
不意に一陣の風が
二、酒宴
「それにしても、
「
「いや、誰かに
「それは、きっと
確かに
「だが、こんな夜には化物の
三、
あれから、どれほどの時間が流れたのだろう。
自分は別として、
「もしもし――。
「
細いが芯のある声だった。
「その声はおかやさんだね。あなたは三年も以前に亡くなったはずだ。どうやら、道に迷ってしまったらしい。哀れなことだが、どうして、私を憎む必要があろうか。
しかし、女の影は
「
あなたを見掛ける度に、
ですが、今の私は満たされています。私が死んでから夫は変わりました。
「分かった。朝になったら、この家を出て行くことにしよう。
乾いた唇を舐めながらも答えた。すると、
遠くで
四、沈黙
朝六つの
「
居間に移ると既に食事の用意がされていた。質素ではあるが心尽くしを感じさせる料理である。味噌汁と粥が食傷気味の
「昨夜、おかやさんが夢枕に立ったぜ」
だが、
結局、
昼九つの
空になった
(了)
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