017.おっさん、公爵家で朝を迎える
まえがき
いろいろありました。以上
待っててくれた人がいれば、ずいぶんお待たせしました。
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公爵邸で朝を迎える。寝覚めはすこぶるいい。
スプリングも入ってない厚み50cmぐらいのふかふかマット、沈み込む体を自然な形に包んでくれて案外寝心地は良かったようだ。
〈転移〉一回分と思って怪我治療と状態異常回復ポーションを2本づつ
朝食は超高級かつ、ごく普通だった。
心を尽くして無色透明に近づける、シンプルエレガンスな方向はすごく好き。
やわらかい白パンは蒸しパンに近いもっちりねっちり。
突然不意打ちの具無しコンビニ肉まんにびっくりして、あんまりそっちに手は伸びなかった。
屋敷から出るときに公爵夫人からケーキセットの注文いただきました。
2セット4箱40個を明日の午前中に。
今日の予定、まずは近いところから。
東門詰め所に立ち寄って、衛兵隊の副長さんを呼んでもらう。
突然訪問して追い返されそうになるけど、伝家の宝刀『公爵エンブレム』の力にものを言わせてとりあえず呼んでもらう。
「はいお呼ばれました、タモツさんでしたっけ」
「はい何日ぶりです。
それでですね、今夜あたりレイブンの連中が動きそうな気配なんですよ。」
「えっ…と、それは何か根拠が?」
「ええ、まだ『今夜動く』という言葉は無いですがそれなりの数を集めているようですので、国を背負うような隠密組織でもなければ根気よく待つこともないかと」
「なるほど、では小隊規模で護衛まわしますか」
「それなんですけど先回りしてあまり目立つ動きをすると大規模襲撃やめる気がするんですよ、小物悪党的に。
斥候というか見張りを少し離れたところに置いてもらって、すぐに駆けつけられるように西門詰め所に10人ぐらいこっそり増員しておいてもらえれば。
襲撃規模はおそらくチンピラ20人ほどとネームド? 懸賞金付きクラスが3~5人と思われます。」
「ですか。そこまでの人数だと50人規模で対応したいのですが」
「貴族さまを使った教会乗っ取り計画は頓挫しているみたいですし、ワタクシへの報復とシスターを拉致でもして強姦とかそんな下卑た考えでしょう。
駆けつけていただける体勢だけ作っていただけていれば、しばらくは口先だけで引き伸ばせるだけ引き伸ばして持ちこたえるつもりです。
あいつらが行動を起こす事実は押さえたいので、なるべくばれないように。
子供たちを殺すつもりで乱戦になると自分ひとりでは教会孤児院20人を守りきれないと思いますので、速やかに増援していただけるとありがたいのですが」
「情報ありがとうございます。」
「ばれないように、ですよ。おねがいします」
ジャケット脱いでネクタイを外し、ワイシャツの首元のボタンをひとつ外す。
これだけでだいぶ楽になる。
次の目的地は商業ギルド。
100均皿の購入代金その他の小切手払いを換金して、少し残してギルドに預けておく。
また前回と同じグレードの魔石を10個ほど選んで購入。
お手洗い借りてシャツ・スラックスを履き替えて黒光りする革靴から登山靴に。
魔石に魔法封入の細工したいんだけど、どこか落ち着ける場所無いかな。
食堂とかカフェっぽいところで他人の目に触れるのは警戒するべきことだし、だからと言って個室を一人で使わせてもらうのもなあ。
安全なところといえば教会ぐらいしかないのかな。
シスターに見られても口止めぐらいは問題なさそうだし。
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