002.10秒足らずの異世界旅行のそのあとで
嫌な夢だった。
気が付いたらショッピングモールの入り口で仁王立ちしていた。
やけにリアルな夢だった。
まだ首が吹っ飛んだ感触が残ってる。
シャツが嫌な汗でびっしょりだわ。もういちどスポーツジムの風呂に入ってこよう。
手に持ってるたこ焼きとコーラを流し込む。たこ焼きは飲み物!
再度ジムに行ったあと、電車で2駅、家に帰る。
ジム備え付けのサウナでじっくり思い出したり考えたりしてみたけど、なんかもう一度あの世界にいける気がする。根拠は無いけど呼び出しじゃなく自分の力で。
あの世界とパスがつながった感じあるんだよね。
あの部屋のことをじっくり思い出す。まあ豚と何言ってるかわからない人たちのことしか覚えてないんだけど。
あの空気感をしっかりイメージする。〈転移〉、その単語がふと頭に思い浮かぶ。
あ、体がふわりとする。飛べそう。
あの迷宮?は嫌だな。どこでもいいや地上のどこかに……
おお、城塞都市だ。ここから2kmぐらい?丘の上からの展望とか俯瞰で見てる。
5階建てビルぐらいの城壁が街をぐるりと囲んでいるようだ。威圧感がすごい。
飛べた!? 〈転移〉のスキルが発動した感覚を確かに感じる。
座ってた座椅子の感覚が消える。底が抜けてどこかに落ちる感覚は一瞬で浮遊感に。
やっべ! いきなり行ったところで言葉もわからんし詰むぞこりゃ。
あと部屋だからって油断してたトランクス、パンツ一丁とTシャツってどうなのよ、怪しさ爆発すぎでしょこれ。裸足だし。
頭に浮かんでた風景が実感を伴う。
無事に転移できたようだ。
…無事?
!?
無事じゃねえ!!
気がつけば高さ20mほどの空中に放り出されていた。
マンション5階からの飛び降り感覚。突然の紐なしバンジー。
「うわああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
ぐしゃ
ぼくはしんだ(2回目)
とはならなかった。
地面近くでふわりとスピードが落ち、普通に着地できてしまった。
びっくりした。
なんだかわからないけど九死に一生を得た。
帰ろう。
慣れた自分の部屋を思い浮かべる。
〈転移〉
『マジックポイントが不足しています』
ですよねー。
突然頭の中に語りかけてくる機械アナウンスみたいな女性の声になんの疑問も持たず突っ込んじまったぜ。
でも感覚的に、しばらくしたらもう1回使えるぐらいエムピー回復するんじゃないかと。
自分の最大値的には2回連続で使えるほどのエムピー余裕無いこと。
MP上限200で転移1回150使って、50余り。3分で1回復、100回復に5時間、みたいな?
あくまでもこれは自分の感覚であって正確な数字では無い。ことを言っておく。
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