【第二章】コルンの街
31.今後の指針と成長
ギルドでは床ばかりで寝ていた為、久しぶりの柔らかいベッドを堪能した翌朝。気持ちの良い陽光が差し込むとともにきっちりと目を覚ます。早起きは社畜時代に得た数少ない美徳の一つかもしれない。確か朝食は出るはず……楽しみにしながらそれまでに今日の予定を確認しておこうと思う。
ここは、昨晩に辿り着いたコルンという街。こじんまりとした街だが、大抵のものは揃っている。リッテと俺は、しばらくこの街に逗留して路銀を溜めるつもりだ。
まず、アルビスにFPを換金してもらい、細々とした物を揃えないといけない。生活用品はいわずもがな、長旅に必要な物資など色々と準備が必要だ……簡易寝具や食料、燃料、応急薬、替えの衣服も欲しいし、できればもう少し良い装備品も見繕う事が出来ればベスト。
次に、街の教会に行って《
後は、当分この街で過ごすのだから、早いうちに冒険者ギルドに顔を出し、こなせる依頼を見繕った方が良いっていうか、こなさないと生きていけない。冒険者と言っても魔物を倒すだけが脳では無く、配達や雑用の依頼位いくらかあるはず。出来れば、魔力核の換金もしておきたい。最悪金策として、山野に出向いて色々野草などを採取するという手もあるが、危険な魔物や野生動物に遭遇するかもしれないし、なるべくなら避けたい。
太っ腹なことにリッテは村長から貰った魔力核を半分俺にも分けてくれたので、これらをルコに替えれば当分は金の心配をしなくて済むだろう。
ちなみに宿代は20ルコだった……物を売って得た金と、ローヌ冒険者ギルドで働いた分で何とか二日分だけを先に支払う事が出来たが中々に厳しい出費だ。実は、節約の為に一緒の部屋でもいいとリッテには言われたが、流石にそれは問題があると思って断った。もっと大勢だったら有りなのかも知れないけどね。何かあってディジィに殺されたくはないのだ。
しかし、アルビスからは具体的な指示が無いのが気になる。正直、切羽詰まったところで何かを言われても困るから、行動指針があるなら早めに聞いておきたい所ではある。
徳を集めろ……か。具体的なイメージが湧きづらいんだよな。善行を積み重ねればいいと言うことなのだろうか。だが今は食うや食わずやで人の事を助けている余裕は無い。
(将来的には、あのジョセフさんみたいに僧侶とかになればいいのか? いや……)
俺はゴブリンと戦っていた彼の姿を思い出した。凄まじい魔法でいとも簡単に何十匹のゴブリンを退治していた彼のようになるには、下手をすれば何十年も修行する必要があるだろう。不信心なことこの上ないけど、そこまで長い目で見てくれるとは思えないんだよな、あの神々。
「ステータス……」
【ジロー・カズタ】 LV:7
・HP (体力) : 40
・MP (魔力) : 35
・ATK(攻撃力) : 7+2
・DEF(防御力) : 7+2
・INT(知力) : 7
・MND(精神力) : 7
・DEX(器用さ) ; 7
・SPD(素早さ) : 7
・LUC(運) : 35
村での戦いを経て、僅かにステータスは上がっている。俺は上昇が顕著な運という項目をタップしてみたが、詳細な説明は出て来ない。この運というステータスは一体何に影響しているのだろうか。謎だったが、高くて悪いことも無かろうなので、俺は次いでスキル表示を参照する。
【スキル】
《UP》支援魔法LV3
《NEW》
おっ、何か新しいのが出ているでは無いか。だが字面を見て俺は顔をしかめる……狂戦士って、なに?
【
ゴブリンとの戦闘時に頭に血が上り過ぎた所為か、不名誉なスキルが発現してしまった。まあ名前はともかく、デメリットは無さそうなので良いのだが。そもそも敵の攻撃など喰らいたくは無いんだし、あまり活躍して欲しくはないスキルだ。
そして支援魔法も新たなものが二つ。
【抵抗付加】……MP消費5 効果時間10分 MND上昇
【技量付加】…… ” DEX上昇
と言っても基本ステータスの内、残りの内二つ分を上昇させられるようになっただけだ。だが、消費MPや効果時間が上昇していることを見ると、効果量が上がっているはずだ。
試しに技量付加を掛けて見ると、ステータス欄の器用さの横に+9もの数値が付いた。最初の一という数値に比べれば雲泥の差だ。成長がみられてとても嬉しい。これでまともに戦闘時に恩恵が感じられるかも知れない。
恐らく、ゴブリン程度なら互角以上に戦えるようになった筈。成長して心の余裕が少しできたのと同時に腹が鳴った。そろそろ朝食の時間だ……リッテを呼びに行くとしようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます