第11話 会話
─────────井為瀬side────────
さて、気配察知によると次の曲がり角の先に人と魔物の気配が集まっている。
話の通じる奴らであると嬉しいんだが…最悪逃げる事も視野に入れておこう。
「おい!そっち行ったぞ!」
「は!?こっちもこれ以上受け切れないぞ!」
「よっと…あっ…ぶねぇ!?」
「うわっ!いってぇなぁ!」
曲がればそこにある光景はゴブリン5体に蹂躙される大人の成人男性四人の姿だった。
取り敢えず劣勢である事は理解出来るし助けに入るべきであろう。
だがそれをすればどうなるか。
きっと次も頼られるに決まっている。
それに、ゴブリン程度切り抜けられないのなら関われば面倒な事にしかならなさそうだしな。
という事で観察だ。
まず最初に注意を出したリーダー格と思われる男性はなんだったか…陸上とかでよく使われる地面を慣らす奴…えっと…トンボ…だったか忘れたがT字の奴で伝わるだろう。多分。
次は二人目の文句を言いながらもこの中では一番善戦してるように見える筋骨隆々の男性。
この人は片刃ノコギリを二つ持っている。
武器的に見てもこのグループの中でも強いのだろう。
はい次、三人目の危なさうに回避をした結果四人目の人とぶつかった男性。
この人はトンカチを持ってゴブリンを殴っている。
魔物と言えど頭を殴られれば響くらしく対抗出来ない訳ではないらしい。これは良い事を知った。最悪剣がなくとも頭を殴打すればなんとかなりそうだ。
はいラスト、三人目の男性とぶつかった四人目の男性。この人は…あー…んー…?
よく分からない。あれは…高跳び棒の先に…刃物を取り付けた、のか…?
うん、よく分からん。
だがまあ、この四人組は学校から来たと思って良さそうだ。
何せ武器が学校にある物だけだしな。
それなら関わるのを辞めても良さそうだな…
この四人組と会った連れて行かれれば面倒だし、傷害沙汰になるのは余計に面倒だ。
かと言って情報は惜しいしな…
あ、全身鎧で行けば良いんじゃないか?
(なあ、シュバルツ、お前の鎧、全て出せるか?)
『出せますが…まだ主様の筋力では十全に動かす事は不可能と言えますが…』
(それでも一応、多少は動かせるんだろ?なら大丈夫だ。問題無い。)
『ですが…くっ…御意』
そう言うとシュバルツが会った時の全身鎧に戻り、俺の体を覆った。
これなら側から見れば俺が誰かなんて分からないだろう。声も兜のおかげで籠るから判断しづらいしな。
…っと、よし、これで行こう。
数分後、俺はシュバルツの鎧に身を包み様子を観察していた。
流石にこんな鎧を付けてれば目立つのかゴブリン達との戦闘が終われば即座に気付かれた。
「ふぅ…なんとか倒したな…っておい!なんだあれ!?」
と言ったのを第一声に困惑と驚愕の声があがり続けた。
そして俺は無言であいつらの方に歩みを進める。
あ、戦闘にはまだ使えるか分からないレベルの遅さではあるが一応歩けるレベルにはなっていた。
だが全身鎧のやつが無言で近づけばそれは攻撃されるだろう。
四人目の男が持っていた槍もどきを投げて来た。
無論そんな物が通じるほどうちの子は柔じゃないが。
当然槍もどきは甲高い音を上げて弾かれ、男達は恐怖した。
で、その結果、逃げ出した。
…ん?逃げ…っておい!それは困るわ!
だが幾らレベルやスキルを多少充実させたと言えど今の俺は重装備、当然追い付けるわけも無く逃がしてしまった。
行った場所は間違い無く学校だろうが…引き返すのも面倒だしな…
取り敢えずもう会話は無理だろうし、サヤカの方を回収するか。
俺は鎧を一部、またシュバルツに収まる様に頼んだ後に、気配察知を使いサヤカの方の様子を見ながらコンビニに向かった。
─────────サヤカside────────
ふぅ…漸く着いた…
此処ってあんまり景色が変わり映えしないから迷うのよね。
取り敢えず…どうしましょうか。
あの男は情報を得る為に別行動中だし…
ふと、サヤカはコンビニの中を物色しているとある物を見つけた。
先程食べていたメロンパンであった。
それを見たサヤカは手に取って、また食べ始めた。
その様子は何かの小動物を連想する様な、ちょびちょび食べていた。
食べ終えたサヤカはあることに気づいた。
それはそういえば先程は気づいたらと言ったものの自身が何故此処に居たのかよく思い出せないのだ。
それを不審に思い、彼女は思考に耽る。
そして行き着いた結果が、ステータスを覗いてみる事だった。
先程覗いたがそういえば灼熱天使ウリエルとは別によく分からないスキルと称号があった。
名前 サヤカ・インカレット
種族 人間
年齢 16歳
職業 焔爆斧士
Lv 13
保有SP0
HP73/73
MP58/58(+12)
力 61
耐久 58
俊敏 36
魔力 65(+23)
耐魔 48
スキル一覧
通常スキル
体術Lv4 斧術Lv6 爆炎操作Lv2 魔力操作Lv3 身体強化Lv6
天使スキル
灼熱天使《ウリエル》
所有者の扱う炎を激化させる。
所有者の身体能力を強化する。
悪魔スキル
取得時、所有者が奇妙な事に出会う。
所有者の攻撃に猛毒、麻痺と言った状態異常付与をする事が可能。
所有者に状態異常に対する一定の耐性を獲得。
称号
《神々の悪戯に巻き込まれた者》
色々とよく分からない物が二つほど追加されていた。
取り敢えず一方がとても物騒な効果がある気がするがまあ良いだろ。
《神々の悪戯に巻き込まれた者》
神々が作ったお遊びのスキルの効果により奇妙な出来事にあった者に送られる称号。
効果は無し。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます