第10話 遭遇

「なあ、引き返さないか?」


俺は此処が面倒事の多そうなところだと考えるとそう言った。こんな世界だ。自分たちで手一杯なのに他人まで面倒を見る気は起きない。

彼女は戦力となるレベルの強さはあるから良いもののここにいる奴らはゴブリンライダーに倒された奴らだ。

当然、戦力になる見込みは無いだろう。

そう考えれば俺がこうなるのも仕方ないと思う。うん。


「ん?何よ?もしかして怖気ついたの?」


彼女が振り返って言ってくる。

そうでは無いと説明する為、上記のことを説明すれば彼女は考え込む様に顎に手を当てる。


そして、数分が経った。

そして顔を上げたサヤカは


「まぁ…確かにそうね。武器の見張り番もいないしここはゴブリンライダーに襲撃されたと思われる後があるもの。そこで生き残ってるのは怪我人か上手く隠れて生き延びた弱者の二択ね。それを考えるとここで引き返すってのも、ありかもね。」


と肯定してくれたので安心した。

正直言って彼女がこの考えに肯定せず否定して、暴れ出したらどうしようとでも思っていたのだが、そんな事は無いと安心した。

最初からそんな事が起きるわけは無いと確信してはいたが…


俺と彼女は会って半日も経っていない。

疑ってしまうのも許して欲しい。

彼女とそんな会話をしてから俺達は校舎から出た。

ちなみにめぼしい薬や武器なんかはきちんと仕舞ってある。

つくづくスキルとは便利な物だ。


「おい、行くぞー?」


「あ、ちょっと待って」


と彼女が脱いだ靴を少し苦戦気味に履き直している。

あまり靴を履いていなかったのだろうか。

まあ誰かに見つかる訳には行かない以上、速やかにここを立ち去らなければならない。


少し履くのを手伝った後、俺達は学校を出た。

だが俺達は少し歩いたところで歩みを止めた。

それは何故か、気配察知のスキルで引っ掛かる気配があったのだ。


「ん…?あ、ちょっと待て。人の気配だ」


「ん、ほんと?だとしたら迂回する事も視野に入れとかないと…あでもあれなんだっけ?えっと…情報確認もしたいんだっけ?」


ああ、そうだ。

今日になってまだ半日経ったか経ってないからのラインだったがそれでも多少の情報はあるだろうから人と話さなければいけないのだった。


正直失念していたな。

さて、どうしようか。

この気配は人と魔物、という事は交戦中と見るべきだろう。

ならば戦力もあるだろうし面倒事にはならないだろう。

なら行くべきか。そう考えた俺は


「おーい、行ってみるぞ。戦力はあるみたいだし面倒事の原因にはなりそうに無いし、良いチャンスだろ?」


「んー…そうね。そう確信が持てるなら聞けに行けるうちに行くのも良いかもしれないわね。

あー、でも、私は隠れるわよ。貴方一人で行きなさい。私みたいなのが居ても説得力なんて無い物。」


「あー、だな。失礼っちゃ失礼だがお前の身なりじゃ舐められても可笑しく無いからな。それじゃあ…会ったコンビニの中で待っててくれ、此処からなら近い」


「はーい」


と会話を終えれば俺はその人と魔物の気配が集まる場所へ。

サヤカは俺達が会ったコンビニへと向かった。

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