第9話 到着
ふむ…校門を見てみると何かに食いちぎられた様な後や殴打痕等の傷がある。
「やはり魔物の襲撃があった後…か。」
「この傷は…グリーンウルフの牙ね…。で、殴った痕がある事を考えるとさっきのゴブリンライダーの群れが此処で暴れたみたいね。丁度、あの群れが来たのもこっち側だったはずだし」
と彼女は言ってくる。
という事は一応此処にいた人達の仇は取ったという事になるのだろうか。
死体が残っているならばせめて弔ってやりたいものだ。
「取り敢えず中に入って使える物が無いか探してみようぜ。学校なら保健室とかに薬や包帯なんかもありそうだし…それに…運が良ければ生存者もいるかもしれないしな。」
「はーい。んじゃ行くわよ。」
と彼女と会話を済ませると穴の開いた校門を潜って校庭に入る。
校庭に入るとその様がよく見えた。外からでは柵や木が邪魔していてよく見えなかったのだがきちんと見るとゴブリンの死体や人間であったであろう死体が見える。食べられたのだろう。悲惨な事だ。
そんな光景を見て居た堪れない気持ちになりながら玄関を通る。
「へぇ〜、結構変わった構造なのね。材質は木材…って訳でも無い…あぁ、一部は木造なのね。」
「あぁ、教室の床なんかは基本木造だ…さて、この学校の保健室は何処だったか…」
まあ魔物との交戦の後が残っているという事はなんとなく察せる気もするが…まずは行ってみるか。
取り敢えず保健室といえば一階か…。
と思い彼女と共に一階の探索の末、色々な物を見つけた。まずは理科室にあったカセットコンロに家庭科室や図工室にあった刃物。その他諸々。
そして一番手に入れたかった薬は無かったが包帯や絆創膏はあったので取り敢えず保管空間が応用できないかと四苦八苦していたがなんとか物を入れる事が出来た。この保管空間、入れられるのは従魔だけじゃ無いらしい。便利だ。
それで取り敢えず今後の方針を彼女と話し合う事にした。そして彼女から少し話を聞くとこの魔物が蔓延る世界では実力があった方が当然良いそうだ。
そして実力を強くするためにはどうするか。
強い魔物を倒せばレベルが上がって強くなるらしい。
ここら辺はゲームと変わらないんだな。
とは思うが油断ならない。
これはゲームではなく現実なのだから。
と此処である事に気づいた。それは学校の前から気配察知で見つけた人の気配の事だ。
確かに俺らは一階しか調べていないが一人も見当たらなかった。普通なら体育館や教室に避難する物だが武器や薬くらいの管理者的な物が居ないのもおかしな話だな、とは思う。
それを自由に持ち出せればそれこそ避難所を掌握したり簡単に出来てしまう。
だからこそ居ると思ったのだが居なかった。
此処には馬鹿か怪我人の二通りのパターンの奴しか居ない気がする。会うのがしんどくなってきた。
やっぱり引き返そうかな。
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