第5話 試運転
さて…スキルの恩恵が大事ってのが分かったところで早速この力を試してみたいな。
近くに手頃な魔物は居ないだろうか。
うーん…と悩んでいると気配察知の効果なのか道を少し進んだところに何かが居るのが分かった。
多分それはゴブリンであろうと当たりをつけてそちらの方へ駆け出すと先程まででは考えられない速度が出せた
「うおっ!?なんだこの足の速さ!?」
とか驚いているとゴブリンの元へ着く。
だがゴブリンは1匹ではなく3匹居た。
密集していたので拙い気配察知じゃあ一つの塊にしか認識できなかったのだろう。
なのでまずは近づいてすれ違い様に剣を抜き居合の要領で一閃。
これで一人はじきに生き絶えるだろう。
仲間が一人殺された事に逆上した二人のゴブリンが拳を振り上げ襲ってくる。
片方は体を半身逸らす様にして避けて片方は剣の腹で止める。するとシュバルツが勝手に動き出し体を逸らして避けた方のゴブリンの腹に蹴りを放ち吹き飛ばす。
そして今度は籠手が勝手に動き剣の角度をずらして拳を逸らすと相手の重心を崩し倒れかかったところを一閃する。
先程吹き飛ばしたゴブリンがまたもや殴りかかってきたので身を低くして拳を回避すると腹を斬り裂く。
戦闘終了である。先程の事を考えれば大分進化したな〜、と思う。
「凄いな…ほんと、シュバルツサポートまじすげぇ」
などとシュバルツを褒めると鎧がぶるぶると震えた、嬉しいのだろう。
『主殿、お褒め頂き光栄です』
!?なんだこの声!?頭の中に直接響いたぞおい!?
怖いんですけど!?てか地味にダンディーな声してんなおい!
『主殿、私です。この私シュバルツです。落ち着いてください』
…え?シュバルツ?まじでシュバルツ?
シュバルツって喋れたの?
『いえ、喋れると気づいたのは先程です。それと…こうやって声を届けるのは主殿だけの様です』
んー…さっき?…あ!魔物使いの職についた効果か!
確かに意思疎通ってのがあったな!それの影響か!
ふむ。そんな感じか。意思疎通が可能となったシュバルツと現状を確認してみたんだが…モンスター側も人間とそんなに変わらないらしい。
ただ強いて言えばモンスター側はステータスを自覚出来なかったそうだ。
つまり今のところはSPと言ったステータスを弄らなければ使用できない要素は人間側の独占状態に出来るという訳で、ステータスに気づく様な魔物が現れない限りは人間側が有利な様だ。
…人間側人間側って言ってるけどさっきから他の人間を見かけないな…。
唯一見たお隣さんも喰われてるからノーカンとして…
こんな事になっているんだから騒いでいても可笑しくない気はするんだが…。
それに電気なんかも着いている様子も無いし…スマホも圏外だ。
発電施設や電波塔でもやられたか…?
あぁ、駄目だな。情報が致命的なまでに足りない。
そのせいで頭の中で考えがまとまらないし…あぁ!
他の人を探すなりして情報を集めないとな…
…てあ、その前にステータスにポイント振らないと。
取り敢えず今必要なのは攻撃の威力を上げる為の力、それと魔物からの攻撃はなるべく受けたく無いから避ける為の俊敏か。
確か20Pあった筈だし5Pずつ振ろう。
あとの10Pは何か緊急時の為に取っておくならしておくとして。
んで、振った後のステータスだ。
名前 井為瀬頼一
種族 人間
年齢 28歳
職業 魔物使い
Lv 1
保有SP10p
HP 26/26
MP 6/6
力 18(+21)
耐久 20(+26)
俊敏 18(+19)
魔力 3(+0)
耐魔 2(+12)
スキル一覧
通常スキル
剣術Lv1 体術Lv1 身体強化Lv3 気配察知Lv3
従魔鑑定Lv1 保管空間Lv1
特殊スキル
《継承》
固有スキル
《魔物使い》
ふむ。見た目はあまり変わらないんだな…
とまあ…そこは置いておいて取り敢えずこんな緊急時に近くで人が集まりそうな場所…避難所の学校か食べ物が沢山あるデパート…この二箇所か。
距離的にもあまり差は無いが何せこの二つ。
場所が正反対だからなぁ。
車が動かせるならいざ知らずうちの車は既に荒らされてるのか壊れてるし…
他人の車はキーがないから使えないし…。
ふむ…まあ此処はあんぱいの避難所に向かうか。
最悪誰も居なくても備蓄うくらいは多少あるだろうし…貰って行こう。
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