第3話 新たな一歩
「鎧を…着る…か?」
と言うとシュバルツは兜が飛びそうなくらいの勢いで縦に振る。
余程自分の意思が伝わったのが嬉しいのだろうか。
でも鎧を着るなんて一体どういう…
「鎧?…鎧鎧…この近場に鎧なんて…あ!まさかシュバルツを着ろって!?」
するとまた兜が飛びかねない勢いで縦に振る。
まさかシュバルツを着ろってなるとは…
あーでも混乱は生みづらいか?動く鎧って結構衝撃的だもんな…日本に全身鎧来た奴が居るのも変な話だがモンスターよりかは混乱を生まないはず…
「でもどうやって着るんだ?俺は鎧を着た事も無ければシュバルツの中だって空洞な訳じゃ…」
と言いかけた時点で俺は昨日の籠手を無くしていたシュバルツを思い出した。
確かにその籠手があるはずの場所は空洞だった為中に人が入れそうなスペースはあるのだ。
「てことは着れるのか!シュバルツを!」
その事を考えると全身鎧を付けたカッコ良い自分と社会人らしからな子供の様な妄想を働かせるが同時に呑み込まれるのでは無いかという多少の恐怖も出て来る
「それじゃあ取り敢えず着たいんだけど…鎧なんて着たこと無いからどうやって着るんだ?」
するとシュバルツは自身の体とも言える鎧を幾つか差し出して来た。その部分をシュバルツが何処に付けていたかを思い出しながら自身にも付けていく、すると
如何だろうか、鎧を着る事が出来た。
「おー…まさか鎧を着る事になるとは…テンション上がって来た気がする」
そんなテンション上がって動こうとすると体がというか鎧が動かない。金属鎧とか現代の社会人には重すぎるみたいだ。
「ってあ?動かねぇ…重いのか」
するとシュバルツが気を利かしたのか鎧が光出す。
その光が収まるとなんと籠手と脚甲、胸当てと急所の身を守る様に鎧が出現しそれ以外の場所からは消えていた。
「お?…これくらいなら動けるか?」
と言う風に飛び跳ねたり少し走ったりしてみる。
何故だかいつもより体が軽く長く走れたり高く跳べる
「…ん?何故だ?鎧を着てるからいつもより重い筈なんだが…」
すると籠手が勝手に動き鎧を指さす。
それはまるで
「自分のお陰だ」
とでも言うかの様に指していた。本当なのかと確認すると籠手が震えた。装備状態の限界なのだろうか。
震えたところで止まりである。きっとシュバルツ的には首を振ってるつもりなのだろうが…
「なあシュバルツ、この剣って俺でも使えるのか?」
突然と質問にシュバルツは震えて答えた。
多分これは肯定しているのだろう。
なので腰に携えてある剣を抜き軽く振ってみる。
普段なら重くて振れないだろうがシュバルツを纏っている自分の力ならば普通に触れる様だ。
ちなみに刃渡りは1メートル程で両刃の剣…えーと西洋剣って奴だっけか?
「ふむ…こんな感じか…」
ある程度振ったところで慣れて来たので剣は鞘に収めた。なので少し周辺を歩いてみる事にする。
周りにはシュバルツと話している時には気づかなかったが死体が食い散らかした様な惨い状態で放置されている。その中には当然お隣さんの死体もあった。
そういえばお隣さんを襲っていたゴブリンは何処へ行ったのだろうか…とかなんとか思っていると小石が飛んできた。
俺はそれに気づかなかったのだがシュバルツは気づいた様で籠手が勝手に動き剣を抜く。すると先程俺が振った時の拙い様な感じとは違い綺麗な型通りだと思える一閃を見せ小石を弾く。
「グギャァ!?ギギャア」
その様を見てゴブリンは先程の俺とは全く違う事に驚愕したのか驚きの声を上げて此方に走り出して来る。
ゴブリンはその拳を振り上げ俺に向かって振り下ろす動作に入るとシュバルツがまたもや活躍する。
左手にいつのまにか盾を付けておりその拳を防いだのだ。そして左側にその拳を逸らすとゴブリンはバランスを崩し左斜め前に倒れるとその隙をついてシュバルツがゴブリンの脇腹を斬る事でゴブリンの命を奪う。
≪井為瀬頼一が魔物を討伐しました≫
≪経験値を入手しました≫
≪ステータスが確定します≫
俺は何もしていないのに経験値など入って良いのだろうか。まあ貰えるものは貰っておこう。
そういえばステータスどうこう言っていた事を思い出す。
「そういえばこう言うお話しにはお約束だよな…
《ステータス》」
名前 井為瀬頼一
種族 人間
年齢 28歳
職業 無職
HP 18/18
MP 3/3
力 8(+21)
耐久 13(+26)
俊敏 7(+19)
魔力 1(+0)
耐魔 0(+12)
スキル一覧
通常スキル
剣術Lv1 体術Lv1 身体強化Lv1 気配察知Lv1
特殊スキル
《継承》
固有スキル
《魔物使い》
《魔物使い》
魔物を従える事が出来る様になる。
魔物の詳細を知る事が出来る。
従魔にボーナスが付く。
従魔との意思疎通が可能になる。
従魔と自身が得るSPに補正が掛かる。
従魔に対する洗脳系スキルを無効化する。
《継承》
自身との関係を持つ物から一部スキルを引用する。
その引用率は関係が深ければ深い程に高くなる。
ただしスキルレベルまでは引用は出来ない。
上位スキルは下位スキルに変換される。
固有スキル、特殊スキルは引用不可能。
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