第17話 明日もまってる

「じゃあ、明日の一時、駅前でまってるから」


 そう言うと、キミが小さく吹き出す声がスマホから聞こえた。そんなに変なことを言っただろうかと首を傾げると、まだ笑いを含んだ声で、キミが言う。


『ごめん、まってる、っていうのが、舞ってるって変換しちゃって、駅前で踊ってるとこ想像しちゃった』


 それは……たしかに変だ。


「ちなみに、ぼくはなに踊ってる感じ?」

『そこ、気にするとこー!?』


 だって気になるじゃないか。盆踊りとかだとしまらないし、かといってブレイクダンスとかは踊れないし。

 どうせならカッコよく思われたい。


『うぅん、そうねぇ……』


 しばらく考えていたキミは、アレだ!と声を上げた。


『ラジオ体操!』

「それダンスじゃないし!?」

『だって、私の記憶にあるの、それくらいだものー!』


 うん、まぁそれはそうだけど。ぼくって、そんなイメージかぁ。

 じゃあ明日ね!と電話を切って、さて明日はどうしてやろうかと考える。こんなやり取りをしたあとで、普通に待ち合わせなんておもしろくない。

 舞いながら待つなんて器用なことはできないししないけど、キミがやってきたときに華麗なターンでも決めてみせようか。

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