第6話 彼女の素顔

梅雨もそろそろ終わりを迎えそうな今日。

空は快晴で綺麗だった。

夏空と言うべきだろうか。


快晴の空から目を離すと、俺は本に目を向ける。

今読んでいるのは自分がずっと読んでみたかった現代ドラマだ。

そうして本を読んでいると、聞き覚えの声がまたした。

ああ、この声は間違いなく桜だ。


「悠希君、何読んでいるの?」


彼女が俺の読んでいる本に目を向けて話す。


「夏と少女って言うんだよ。 面白いから読んでみな?」


俺は、その本を桜に薦めた。

桜は本を取って、面白い表情をしている。

まるで興味があるみたいだ。


俺は桜の顔をよく見ると、彼女は眼鏡を外していた。

それと共に心躍らされる。


「私の顔になにか着いてる?」


彼女は俺にそう聞く。

こういう時の返し方って俺はよくわからない。

正直に返したって桜が傷つくかもしれないと考えると、悩みどころだ。

もう、自分流の返しで行こう。


「眼鏡外してて、キレイだなって…」


俺は勇気をだして桜に言う。

こんな事を話せば、桜には嫌われてしまうかもな。

その時はその時だ。


「ありがとう、目が良くなって眼鏡がいらなくなったの」


彼女は嬉しそうな表情でそう言った。

この表情が1番好きだ。


「良かったね、眼鏡の時も素敵だけど今も素敵だよ」


俺は桜にそう返す。

桜は照れている。

「可愛い」と言ってやりたいが、俺にはその四文字すら言えなかった。


「ありがとう」


彼女は笑ってそう言うと、席に座った。

やはり彼女の表情は素敵だ。


彼女の素顔はとても可愛くて、素敵だ。

そんな素顔を見れて、俺はもっと好きになった。


素敵だよ、桜。



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