第7話 夏風に誘われて転校生がやってきた

今日は7月6日。

空は快晴で、夏風がやって来ていた。

そんな良き日の朝。

俺は突然の事実を知らされる。


「突然の事ですが、転校生が来ます」


そういう担任教師の声で1年6組の教室はざわめく。

そうなるのもおかしくない。

どんな奴が来るかなんてわかりゃしない。

もちろん俺もそれなりには驚いた。


「うるさい、静かにしろ」


担任教師の声でざわめきは消えた。

担任教師はタイミングを見計らってドアの前にいるであろう

転校生に声をかける。


「入ってこーい」


そんな担任教師の声で、転校生が入ってくる。

男子の転校生のようだ。

別に俺は女子でも男子でも性別など気にもとめない。


「自己紹介をどうぞ」


「……東京の千代田区から来ました、佐倉和樹さくらかずきです。

是非、仲良くしてください」


緊張しながらも自己紹介をする転校生の佐倉君。

佐倉君はきっと不安だろう。

俺は「よろしくね」と言う意味を込めて佐倉君に拍手をした。

そして担任教師が佐倉君を座らせると朝の会が終わる。


朝の会が終わったあとの休み時間、佐倉君の隣には人がいた。

それは藍音だ。

まあ良い奴だから、佐倉君も助かるだろう。

そう思いながら、次の授業の準備をする。

するとこちらに女の子が来る。

いつものように桜である。


「こんな暑い夏の日に転校生って珍しいね、悠希君」


「だな。 まあ何かの事情で引っ越してきたのだろうね」


俺は優しく彼女に返す。

彼女は微笑んでいた。

いつもの表情よりかは可愛い。

「可愛い」と言ってやりたいのだが、気持ち悪いのでやめた。


彼女としばらく話をして彼女は席へと帰った。

そして授業を受けて放課後になった。

人がほとんど居ない教室には俺を含め四人しかいなかった。

藍音、桜、佐倉君、俺の四人。


藍音と佐倉君は話していて、俺は1人で机に突っ伏していた。

部活がなくてやることもないからだ。

すると桜が俺の背中を優しく叩いて、藍音と佐倉君の元へと行く。

俺もそれについて行く。

交流したかったからだ。


「初めまして、佐倉君だっけ?」


最初に話しかけたのは桜だ。

柔らかい表情で話しかける。


「うん、そうだけど、貴女の名前は…?」


佐倉君が緊張しながら話しかける。


「私の名前は、志津しづさくら、宜しくね」


でも緊張しているのを察したのか彼女は優しく話しかける。

彼女のいい所が出ている。


「宜しくね、桜さん」


佐倉君は丁寧に名前を呼ぶ。


「クラスの皆に桜って呼ばれてるから、呼び捨てでいいよ」


「分かった」


「私も呼び捨てでいいかな?」


「良いよ」


「俺も自己紹介していい…?」


佐倉君と桜の会話の邪魔をしたくなくて、小さな声で話しかける。


「良いって言うか、しなきゃ和樹が困るよ」


藍音がそう言った。


「俺の名前は鈴木悠希すずきゆうき、呼び捨てで呼んでいいからね。


俺も呼び捨てでいいかな?」


俺は佐倉君にそう言う。


「良いよ、俺も仲良くなりたいし」


和樹はニコニコして言った。


「あのさ、和樹は何部に入るの?」


桜にそう聞かれる。


「剣道部だよ」


「じゃあ全員剣道部だ」


「仲良くなれて、嬉しいなあ」


桜がそう話した後で、扉が開く。


「おーい、早く帰れ〜」


担任教師の声で俺らは帰った。


さて、これからが楽しみだ。










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