第2話 彼女がこちらへと来る

彼女とあの時からずっと目が合うことが増えた。


だが、俺から話しかけることも彼女から話しかけてくれることもなかった。


そして今日も目が合う。


でも、今日はいつもとは違う。


彼女がこちらに来たのだ。


「初めまして、鈴木悠希すずきゆうき君だっけ……? よろしくね?」


「そうだよ。

志津しづ さくらさんだっけ……?」


「うん! そうだよ、よろしくね!」


彼女は元気に挨拶をしてくれた。


彼女の名前は志津 桜さん。


俺と同じ中学一年生で、最近同じクラスになったばかりだ。


彼女とは同じ小学校から来たわけじゃないので、彼女のことを知らなかった。


でも分かるのは、明らかに凄い少女だという事。


身なりが綺麗で、態度も普通の子と違って凛々しい。


「俺、志津さんの事なんて呼べばいいかな…?」


俺は戸惑いながら彼女に話しかける。

この片思いが実らないなら、せめて彼女と仲良くなりたいからだ。


「桜でいいよ」


彼女は笑顔でそう言う。

彼女の笑顔には凄く惹かれてしまう。


「桜、よろしくね。

俺の事は悠希って呼んで」


「うん、悠希君よろしくね!」


彼女は俺の名前を呼んでくれた。

それが本当に嬉しかった。

授業の開始3分前なので彼女は席に戻って行った。


彼女の事をもっと知りたいと言う想いが出てきたが、それを堪えて

俺は三分前学習に取り組んだ。







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