マメンチサウルスに悪気はない

伴美砂都

マメンチサウルスに悪気はない

 座面が革張りのスツールは背が高くて背もたれが小さく、座るのに少しもたついてしまった。向かいに座った有華ちゃんが、すごいよね、この椅子、と笑ってくれたので、少しほっとした。

 真帆ちゃんと有華ちゃんに会うのは本当に久しぶりだ。まえに会ったのは大学を卒業したてのころだから、もう五年ぐらい経つんだなと思う。


なおくんも連れて来たらよかったのに」


 アイスコーヒーにミルクを入れて混ぜながら真帆ちゃんが言う。縦に長い、くびれたグラスが汗をかいている。ガラスのテーブルは中が空洞になっていて、ドライフラワーの飾りがはめこまれている。こんな壊れそうなものばかりある場所に直を連れてくるのは、難しいだろうなと思う。


「科学館、行ってるんだ、……旦那と、大恐竜展、」


 旦那、という呼び方は男性優位の意味があるからよくないってだれかが言ってたよな、と、言ってしまってから少し後悔する。自分の配偶者のことを、旦那さん、と呼ばれることに、とくに嫌な気持ちにならないことに、ちくりと嫌な気持ちになる、いつも。

 でも、だれかと会話してて自分の知らない人の名前が当たり前みたいに出てくるとなんでか腹立つんだよね、と言っていたのはたしか真帆ちゃんで、だから、いつも呼んでいるように大樹だいきと名前で言うのも、ためらってしまった。真帆ちゃんも有華ちゃんも結婚式に来てくれたから、大樹のことは知っているわけで、だから、知らない人、ではないのかもしれないけど。

 ……本当は、こんなに考え込むことではないのだろう。レモンスカッシュを一口飲むと、唇の端がピリッと痛んだ。緊張すると唇の右側に小さなヘルペスができるのはいつものことで、どうしてか、右にばかりできる。今日、わたしは緊張しているのだろうか。


 えー、やさしいね旦那さん、と有華ちゃんが言うのと、まあ男もそれぐらいして当然だよね、と真帆ちゃんが言うのが同時だった。咄嗟になんと答えていいかわからなくて、なにも言わずにわたしは笑った。

 本当は、最近仕事が忙しくて毎日遅く帰ってくる大樹に、直をひとりで見てもらうのは申し訳ないような気がしていた。でも、せっかくだから友達とお茶してくれば、と、大樹が言ってくれたのだ。


「俺、行ってくるし、直と、大恐竜展」

「でも、科学館行ったら、長いよ、たぶん、直……」

「いいよ、恐竜だったら俺も長いし」


 なにか気になるものを見つけたらてこでも動かなくなる直を、ひとりで連れて遠出するのは無理難題のように思っていた。でも、長くなったらうまいこと言って連れ帰るよ、でも、むりやり抱えて帰るよ、でもなく、俺も長いし、と言ってくれたのが頼もしくて、任せてしまった。それが「当然」なのかどうかは、わからない。

 そんなことを思っている間に、もう話題は次へうつっていた。それぞれたのんだケーキが運ばれてきて、きれいに飾られたタルトに、わ、かわいい、と有華ちゃんが歓声をあげる。真帆ちゃんはシンプルなチョコケーキ、わたしはいちごの載ったショートケーキ。いちごを落としてしまわないように、三角の先端の部分に、そっとフォークを入れる。

 芽理めりってなんかいちごショートっぽいよね、とわたしに言ったのはだれだったか、高校時代の同級生かもしれない、もう、おぼえていない。でも、だれかには言われた。だからというわけではないけど、わたしは初めて行く喫茶店やケーキ屋さんでは、ほかに凝ったケーキがあったとしても、だいたいショートケーキをたのんでしまう。


「最近どう、仕事とか」


 有華ちゃんが言うと、相変わらず、とチョコケーキを口に運びながら真帆ちゃんが答える。


「隣の課のやつがほんと仕事できなすぎて相変わらずキレてる」

「あー、まえ言ってた人?」

「そう、言っても言っても書類の期限、遅れてくるし、ギリギリで差し替えてほしいとか言ってくるし、会議すればボーッとしてるかズレたことばっか言うし、最悪」


 真帆ちゃんと有華ちゃんはまえにもその人について話したことがあるんだろう、と思った。そりゃたいへんだね、と有華ちゃんが言う。


「え、あの子じゃなくて、同期の……あれ、ちがう人だっけ?」

「ちがう、同期の子はもっと前に異動になったよ、遠くに」

「遠くって」

「支社っていうか、会社の工場」

「左遷?」

「そうかもね、わたしは、辞めればいいのにって思ってたけど」

「辞めてないの?」

「ないんじゃない、知らないけど……ほんと罪だと思う仕事できないって」


 でもさ、とわたしが言った途端、ぱっと二人がこちらを見たので、話し始めておいてわたしは一瞬黙ってしまった。声を出した人のほうを、見ただけなのだろうに。えっと、と言った声が少し裏返ってしまって、変に思われていないだろうか、と心配する。


「……その人もさ、頑張っても、できないのかもしれないし、」


 なにそれ、と言った真帆ちゃんの声は怒っているみたいだった。心臓がどきんとする。


「頑張ってればいいってもんじゃないよ、だって仕事だよ?そりゃフォローし合うのは当然かもしれないけど、一方的にできなくて周りに迷惑かけてさ、悪びれもせずにのうのうとお金もらってて、ゆるせない」


 まあまあ、と有華ちゃんが苦笑する。


「うちにもいるよ、もうおじさんだけど、仕事しないっていうかできないから周りもあきらめててさ、ウロウロして的外れなこと言ったり、若い女の子に話しかけたりばっかりしてるの、まあ悪気はないんだろうけどさ、みんなに嫌がられてる」


 有華ちゃんは、場を和ませようとして言ったのだろう。でも真帆ちゃんは、怒った表情をゆるめず、フォークをお皿の隅にかちんと置いた。


「死ねばいいのにね、そんなやつ」


 厳しいねぇ、と、有華ちゃんがもう一度、少し困ったように笑った。まあ、でも、わかるよ、気持ちはね、死ねまでは思わないけどさ、もうほんとに早く定年しろって毎日思ってるもん、そう言った有華ちゃんの顔は、真帆ちゃんに無理に合わせているようには見えなかった。

 そうだよな、と思った。パートでしか働いたことのないわたしには、正社員で頑張っている二人の気持ちはわからない。でも。どくんどくんと全身が脈打った。だって、と言った声は自分で想像したよりずっと硬く、上ずっていて、さっき真帆ちゃんのフォークがお皿を打った音みたいだと思った。


「が、頑張ってもさ、できないこともあるし、……ふ、不得意なこととかさ、ほんとに、悪気はないのかもしれないし、本人は、わかってないのかもしれないじゃん」

「悪気がなきゃ許されるの?」


 大学時代も、真帆ちゃんはよく怒っていた。教授の理不尽な言い方とか、サークルの先輩のふざけた態度とか、学校のよくわからないシステムとかに。でも、わたしにその怒りを向けられたことはなかった。有華ちゃんはびっくりした顔をしていた。真帆ちゃんが怒ったことにびっくりしたのか、わたしが反論すると思っていなかったからびっくりしたのか、それは、わからない。全身がぶわんとしびれていた。真帆ちゃんの声は大きくはなかった。けれど、厳しかった。まっすぐ、わたしの方を見ていた。


「悪気はなかったらひとに嫌な思いさせてもいいわけ?頑張ってりゃほかのひとの負担増やしてもいいの?それでしわ寄せ食ったひとが身体壊しても?それでも許されるの?わかってなきゃいいの?そりゃわかるよ、得意なこともあればさ、不得意なこともあるし、生まれつき人もいるってわかる、でもさ、だったらなにしてもいいの?なにしても許されるの?そんなのおかしいよ」

「……、なにしても、なんて、言ってない、」

「だってそうじゃん、やるべきことができなくてもゆるされるって言ってんでしょ?学校なら知らないけどさ、会社なんて、それするってわかって入ってくるわけじゃん、できる前提でお金もらうんじゃん、ゆるしてほしいとか、ばかみたい」


 四月に、直は保育園を転園した。結婚するとき、うちの実家より芽理の実家に近いほうが気が楽じゃない、と大樹が言ってくれたから、これまでは比較的、街なかの、わたしの実家の近くの賃貸マンションに住んでいた。そういえば、真帆ちゃんの働いている会社も近くだった。近くにいたのに、会わずにきたのだ。

 在来線で行ける距離とはいえ、海の近くの田舎のほうの知らない土地で、義父母の住む家の近くで暮らすのは、気が重くもあった。けれど、引っ越すのを決めた。

 秋、保育園の先生に、直くんがいるから園に来たくないという子がいるのです、と言われたことを思い出した。直がなにか気に入らないことがあって癇癪を起こしたとき、楽しいことがあってはしゃいでしまったとき、立てる声や足音が大きいと、ポストに何度か匿名の苦情の手紙が入っていたことを思い出した。近くの交番から警察のひとが訪ねてきて、お子さんの泣き声が大きいと通報があったのですが、と、玄関からしきりに中を覗こうとしていた日のことを、思い出した。そんなひどいこと言わないで、と言ったわたしの声は、直のことを怒ってしまうときと、同じ声をしていた。


「ひどいってなに、感情じゃん、え、泣くの?」


 ちょっと、やめなよ、と有華ちゃんが言うのと同時に、カフェの入り口のほうから一瞬ぶわっと熱気が寄せてきた。室内は冷房が効いていてじっとしていると肌寒いほどだが、八月の初め、外はアスファルトが灼けるような暑さだ。それを思い出させる、熱い空気。


「ママ!」


 お気に入りのトーマスのリュックを背負い、肩に水筒を提げた直は、恐竜のぬいぐるみがくっついた帽子をかぶっていた。科学館で大樹に買ってもらったのだろう。首が長い恐竜で、直が頭を動かすと、飛び出した恐竜の首もぴよぴよと動く。

 直と大樹が訪れていた科学館は、このカフェから歩いて行ける場所にある。お店の名前は、大樹にも伝えてあった。かばんに入れていたスマホを取って、見ると、ちょっとだけそっちに寄るよ、と大樹からメッセージが入っていた。


「マメンチサウルス!」


 どうやら、帽子にくっついている恐竜の名前らしい。直がしっかり握りしめた恐竜展のパンフレットには、世界最大級の竜脚類マメンチサウルス、と書かれている。ずいぶん大きな恐竜だったようだ。こんな、帽子にしたらアンバランスな形の恐竜を選んだんだなと思うと、なんだか可笑しかった。

 直がこちらに走り寄ってくると、マメンチサウルスの首と尻尾がリズミカルに揺れた。頭がちりちりする、と言って帽子をいやがることの多い直だけれど、この帽子なら夏じゅうかぶってくれるかもしれない。大ぶりのぬいぐるみがくっついている帽子は、むしろ暑そうな気もするけど。直くんこんにちは、と有華ちゃんが言った。


「マメンチサウルスの足跡化石からは複数の小さな恐竜の化石が発見された!」


 突然言い出す直に、ふだんだったら、こんにちはって言おうね、と挨拶を促すところだろう。でも、わたしはそれを言わなかった。そうなの、と問いかけると、直は真剣な顔で頷く。


「マメンチサウルスの足跡は巨大でその中に泥が溜まり、リムサウルスら小さな恐竜たちはその泥におぼれ、そのまま化石になった」


 そのまま、で大きく広がりそうになった直の両腕を、後ろから来た大樹がそっとホールドした。こちらは、こんにちは、とわたし以外のふたりに向けて挨拶をしてから、ちょっとかわいそうだよな、足跡でおぼれちゃうなんて、と直に言う。


「まあ、でも、悪気はないもんな、ただでかくて、ただ歩いただけだしな」


 悪気はない、と直が繰り返す。


「ええっとね、悪いことしようと思ってない、って意味」


 大樹が言うと直はこくんと頷き、誇らし気な顔をして言った。


「マメンチサウルスに悪気はない!」


 隣のテーブルに座っているひとたちが、こちらを見ているのに気が付いた。すみませんと言おうとして、やめた。教育の悪い母親だと思われているかもしれない。真帆ちゃんと有華ちゃんにも、ごめんねと言わなかった。

 いつも、何度も、わたしは謝ってきた。直が街なかでなにか気に入ったものを見つけたり、反対に苦手なものに遭遇してしまってパニックを起こしたりして、声が大きくなってしまったとき。見知らぬ人に、怒られることもあったし、反対に、いいのよ、うちの子もそうだったと優しい声をかけてくれる人もいた。でも、ともかくわたしはずっと、謝り続けてきた。行こう、と言うと、大樹はちょっとだけ驚いた顔をした。


「え、もうちょっとゆっくりしてたらいいよ、俺、直と帰るし、直がどうしてもママにマメンチサウルスの話するっていうからさ、一回来たんだ、ごめんな」

「いいの」


 じゃあね、とふたりに手を振ったとき、わたしは笑っていたと思う。ふたりも、笑っていた。ドアのほうへ向きなおったとき少しだけ涙が滲んだ。直の手をきゅっと握ると、暑い、と言って直はぱっと手を振りほどき、そして、わたしのショルダーバッグのひもを、これなら涼しい、と言って、きゅっと握った。



 帰り道、スーパーに寄った。夕飯は、ファミレスで食べた。帰ってから食事の支度をしなくてもいいと思うと気が楽で、たぶんそう思って大樹は、無性にココスのポテト食いたい、と言って、誘ってくれたのだろう。いや、もしかしたら本当にポテトが食べたかったのかもしれないけど、でも。

 日曜の夜のスーパーは閑散としている。見切り品のコンテナの中でさらに売れ残っているものを見て、あんまり美味しくなさそうだな、と思うとき、わたしは安心する。ほかの人と同じ感覚をもっているんだなと、確認できるから。どうしてか、いつも、ちょっと周りとズレてるよね、と言われることが多かった。そのたび、そうかなと曖昧に笑いながら、ああ、またやってしまった、と思ってきた。

 そんなわたしを、面白いから好きだよと初めて言ってくれたのは、真帆ちゃんだった。大学を卒業してすぐ結婚すると決めたとき、一度も社会に出ないなんて、と、ゼミの教授にも、両親にも言われた。就職したほうがよかったのかな、と言ったわたしに、芽理のえらんだ道なんだから、どっちがよかったとかはないと思う、と言ってくれたのも、真帆ちゃんだった。真帆ちゃんがそう言ってくれて、わたしは救われた気がした。


 直とどこかへ行くとき、いつ爆発するかわからない爆弾を抱えながら歩いているようだとずっと思っていたけど、そういえば外食も買い物も、前に比べれば少しずつ、けれどたしかに、すんなりとできるようになってきた。今日は大樹が一緒なのもあるし、好きな恐竜を見てきたから、ご機嫌なのもあるだろうけど。保育園も、変わった当初は泣いてばかりいたが、今は落ち着いて通える日が増えた。直くん、すべり台の順番を年少の子にゆずってあげられたんですよ、と先生が言ってくれた日には、涙が出た。

 悪気のない直が、大人になるころには、皆と同じことが同じようにできるようになっていれば良いと、思ってしまう。頭の半分では、直が直のまま、そのままで、幸せに生きていくことが、いちばん望ましいとわかっているのに。直の目指す先をみたとき「ふつう」を望んでしまうことを、わたしは恥ずかしく思う。幸せは、悪気がないだけでは手に入らないと、悪気はないというだけではゆるされないと、真帆ちゃんに言われるまでもなく、わたしは知ってしまっている。本当のことを言われたから、怒ってしまったのだ。……でも、それでも。答えは出ない。ずっと、そうやって悩んでいくのだろう。


 あんなふうに友達と言い合いをするのは、初めてのことだった。ちょっと雰囲気が悪くなるぐらいのことはあったけど、これまで、あんなに声を荒げたことも、怒りをぶつけられたことも、なかった。

 卒業するまえ、わたしが結婚すると知った、同じ学科のこれまで話したこともなかった子に、働かなくていいなんて羨ましい、と言われたことがある。咄嗟になにも言えなかったけれど、わたしはとても嫌だった。あのとき、怒ればよかったのだろうと思う。ずっと、わたしは怒らずにきた。へらへら笑って、流してきた。相手に、悪気はないのだろうと、むりやり思い込むようにして。

 直のことを真帆ちゃんに言わなかったのは、わたしがずるかったのかもしれない。でも、言ったほうがずるかったのかも。あるいは、今日、真帆ちゃんが怒っていたことと、直のこと、わたしが怒ったことには、本当は何の関係もなかったのかもしれない。果てしないような気持ちになって顔を上げると、真夏の赤黒い空がぼんやりとしていた。


「大樹」

「うん?」


 熱帯夜だ。空気が湿って、月は笠をかぶっている。明日は、雨なのかもしれない。車通りは少ないけれど細い道なので、前を大樹と直、後ろをわたしが歩いている。


「今日、喧嘩したんだ」

「そうなの」

「うん、初めて」

「喧嘩したの?」

「そう」

「俺も喧嘩は、長らくしてないな、っていうか、友達自体少ないしな……まあ、そんな日もある」

「うん……私も、少ないけど、友達、……今日で、ゼロになったかも」


 冗談のような口ぶりで言ったつもりだったけれど、大樹は笑わなかった。この辺りにももう少なくなった小さな空き地の前を通るとき、むっと草いきれの匂いがして、そして過ぎて行った。


「……まあ、さ、時期が来たら、戻れるかもしれないし、戻れなかったら、それは、しゃーない」

「……、うん」

「仲直り、したいと思ったら、そう言えばいいし、ちょっと距離置いたら、また変わることもあるんじゃない、……生きてたら、変わんないようにみえても、全然変わんないことって、そうないと思うしさ」

「うん、そうだね」

「お互い悪気なくても、意見がくいちがうこともあるし」

「マメンチサウルスみたいに?」

「足跡に落ちて死ぬんじゃだいぶ理不尽っていうか、運が悪いけどな……マメンチサウルスは、振り返らずに歩いて行っちゃったんだろうな」

「……、そうだね」


 マメンチサウルスがもし、後ろを振り返ったとして、おぼれている小さな恐竜をたすけたかは、わからない。それは、感情だろう。でも、わたしは頷いた。

 どこかへ行った帰りはいつも抱っこをせがむ直は、今日はめずらしくなにも言わず、歩道と車道を隔てる白線の上を慎重に辿っている。やっぱり手を繋ぐのは暑いのか、腕を伸ばして大樹のベルトを掴んでいる。大樹もわたしも、もう暗いから帽子を取ろうかとは言わなかった。もしかしたら、寝るまでかぶっていたがるかもしれない。お風呂にそのまま入ると言い出したら、また大変かもしれない。でも、今日はそれでいいと思った。直が後ろを振り返れるようになるまで、直の足跡にだれかが落ちないように、必死で頑張りたいと思った。

 歩く、直の頭の後ろでマメンチサウルスの尻尾が揺れるのを見ながら、わたしも黙って、家まで歩いた。


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マメンチサウルスに悪気はない 伴美砂都 @misatovan

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