死亡エンドしかない悪役令嬢に転生したので、どのルートを選ぶのかヒロインに聞こうと思います

第4話

「...それは...難しいかも知れないわ...」

　ややあってアクンジョは苦しそうにそう呟いた。

「どうしてなんですか?」

「ほら見て?」

　そう言われてアクンジョの両手を見ると、なにやらワキワキと動いている。

「なにしてるんですか?」

「あなたを虐めたくてウズウズしてるのを必死で抑えてるのよ」

「はい!?」

　なに言ってんだこの女!?

「だから!　ゲームの強制力に抗っているのよ!」

「強制力って!?」

「ゲームをシナリオ通りに進めようとする神の力よ!」

　ついに神まで出て来ちゃったよ!　どこまでスケール拡大すんだこれ!?

「えぇと...頑張って抵抗して下さい!?」

「あぁダメ...ちょっとだけ虐めていい?」

「嫌ですよ」

「大丈夫大丈夫。痛くしないからぁ」

「だから嫌ですって」

「痛いのは最初だけだからぁ。すぐに気持ち良くなるからぁ」

「私にMっ気は無いのでそれは有り得ません」

「ハァハァッ...先っちょだけ。先っちょだけでいいからぁ～ 動かさないからぁ～」

「...もう帰っていいですか?」

　なんか息荒いしキモいし...そろそろ私も付き合うのに限界を迎えて来たし...

「ま、待って待って!　今、落ち着くから!　ヒッヒッフー!　ヒッヒッフー!　良し!　もう大丈夫!　発作は収まったわ!」

「発作だったんだ...」

　怖いよ～...

「それで...なんだったかしら...あ、そうそう!　どのルートか確定さえ出来れば、あなたに会わないように行動できるのよ!　会わなければ虐めようが無いもんね!」

　なるほどね。理屈はなんとなく分かった。それはともかく、私にはちょっと気になることが...

「...ちなみに、参考までに聞きますけど、各ルートの末路ってどうなるんですか?」

　ちょっとだけ興味が湧いて来た。私も大概かも。

「王子ルートと宰相子息ルートはほぼ同じね。断頭台で首チョンパされるか、地下牢に閉じ込められて謀殺されるか」

「なるほど...有りがちなパターンですね...」

「騎士団長子息ルートでは最後、彼に斬り殺されて終わりよ」

「うわあ...いきなりスプラッタな展開に...」

「魔道騎士団長子息ルートでは最後、彼の魔法で黒焦げにされるわね」

「うわお、こんがりジューシー...なんか違うか...」

「義弟ルートでは彼に監禁されるのよ。そんで次第に心が壊れて行って最後は自害しちゃうの」

「いやあ、猟奇的な彼氏...どっかで聞いたことあるような!?　気のせいだ。気にすんな」

　なんだかなぁ...どれも酷い最後だな...

　こんなんだったら聞かなきゃ良かったよ...