中から出てきたのは、トリュフチョコ。

 その一つを摘んで、口に運ぶ。

「……美味しい」

 黙々と、一つ。また一つと、口に運んだ。

 やるせない想いが胸を支配して、その日は早めに就寝した。


 しかし、明けた月曜日。

 学校に吉田くんの姿はなかった。

 先生は、彼が一週間ほど休むことになったと告げた。

 理由は、家の事情とのことだった。

 何かあったのだろうか。

 わたしは、そこで初めて気付かされる。

 吉田くんのことを、何も知らないということを。

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