第19話 ビール 酎ハイ ちーず cheers


 ごくゴクごくゴクごく


「ぷっはぁ~!!」


 パク。ちゅるん。


 今日も一日おつかれさま。


 一日の労いを晩酌で促す私。

 ほんとうに、本当にと、ゴキュごくごきゅと喉を鳴らす。

 嗚呼、実感。

 何の実感と問われれば大袈裟だがそれは『生きている』という。

 ものすごく馬鹿げているが、そう思えたんだ。


 出会いとは───……


 私は今、あるドラマを鑑賞中だ。そのドラマが画面越しに訊ねてくる。耳を傾ける。

 ドラマ中、愛し合う他人同士が分かり合いたいと願う……とある。


「……」


 少しだけ、心にほわんと。

 ああ、確かにいい言葉だ。その後に、ビールを一気飲み。ふむ、うまいうまい。そのシーンと重なる喉元に、ぷはっ。

 目が光る箱にあり、くつろぐ〜と。ホッとしている私はその前にあったシーンの教授の言葉を思い起こす。

 呑んでいるので、きちんとしたセリフを覚えていない、伝えられないのが残念!

 ほんとうに残念。

 でも教授は、主人公の父親に「人との出会いはなんだと思う」というようなことを問いかける。

 「ええと……」と口籠もりながら答える人それを黙って聞く者。


 存在、重なり合う心、思う気持ち、互いの心、助け合い。


 などを言い合う。

 観ていて「な〜る」確かにかも、と思わされてしまった。

 その後に、人は結局のところ寄り添うんだろうか。

 その為に出会うのだろうか、悩む。

 テレビに感化され、納得してしまうところもあるが本当にそれだけだろうか。悩みは尽きない。

 心を軽くする為に呑んで、それのつまみに用意されたドラマは軽そうで重いのかぁ〜。困ったぞと頭振り、悶々としている。

 でも結局のところ、所詮はテレビ。笑いもあるので悩みなんて微々たるものだ。

 ただものすごく響いた台詞は。


 言葉とは相手の気持ちを受け止め、相手に分かってもらう為に使うんだ。


 そうだよ、な!?

 想いを筆で……描く、書く。どちらも伝えるには、相手がいなければ出来ないことだ。まあ、文章は今ではデジタルが主流だけど……。

 これを書きながら思うのは、思想言論の自由だもんな?

 少し、的を得たドラマに久々の感銘を受ける。


 言葉は良い。


 難しいけど……。

 伝えるのも伝えないのも、簡単ではないままならない。どちらにせよ、一人だと言葉は産むことも……と、私は勝手に頷いた。

 私の一人相撲。かな?

 呑兵衛の戯言。かな?

 ……だと聞き流してくれて良い。こういう時の文明機器に、少し感謝だ。見る聴く思うが、相手がいなくても出来る。


 ある一種の、文明開花の音がする。


 なん〜て、ある時代の文言に浮かれる私。受け狙いも何もない。ただの独り言散りはちょいと悲しい、けどね。

 こうやって、おひとり様に慣れていくのかと思わされる自分だけの酒の席。

 孤り呑みでよかった〜ってほんとうにか?

 今度はテレビではなく、私自身に自問自答。嗚呼、なんたることなのか。とほざいても、こうして文章にしている間は独りではない。


 素に戻っても、これは言える。


 そう、一人ではないのだ。

 こんなわがままな私にお付き合いくださる皆様、この場で生きている自分。この場にある恵みに多々、感謝。

 これからの出会いに、これからの自分に。

 今は。



 乾杯!!


 

 

 

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