一日目
第2話 ワタル①
いつものように目を覚ます。すると、いつも自分たちが過ごす小さな部屋とは違う別の部屋にいることに、気づいた。共通点なんて、殺風景なことくらいだ。
スリルを追求して犯罪に手を染めた結果、捕まったワタルは、この狭い空間をつまらないと感じていた。なぜなら、彼にとっての生き甲斐は犯罪を犯すことではなく、警察官との追いかけっこにあったからだ。鬼ごっことは違う互いの真剣勝負、それに勝った、つまり逃げ切ったときに彼は満足感と充実感を感じていた。
もう、スリルを追求することなんてできない。そう思い、ワタルは、深いため息を一度つく。そして、立ち上がろうとした、その瞬間、声が聞こえた。
「ワタル様、オハヨウゴザイマス……」
しゃべっていたのは、ドラキュラのぬいぐるみだった。もっと正確に表現するならば、そこに埋め込まれた人工音声装置が声を発していた。
そして、彼が体ごとぬいぐるみの方向に向くと、機械的な音声でそいつはこれから始めることについて話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます