(76)長すぎる一日

 また恭一が瑠璃子を訪ねた夜のお話です。

 出てきたら今ヶ瀬が待ち伏せしていて、調査続行を告げられる。

 二度目のホテル、「どこにしたっていいでしょ」。

 帰宅すると室内は真っ暗、知佳子がシャワーを浴びている。「俺も入ろうかな」には慌てたような反応。

 それだけですが、深堀すると実に興味深いのです。


 期待に応えたい、といつも無意識に思っている恭一は、不倫相手にもサービスして疲れた様子で階段を下りてきます。

 そこにはまさかの今ヶ瀬、調査は終わったはずなのに。

「調査続行を依頼された」と今ヶ瀬は言いますが、先日書いたように、本当かどうかアヤシイ。恭一、ピンチです。

 ところが、二度目のホテルは恭一から言い出したと思う、と、コメントをいただいたのです。

 確かに、ホテルに行くしか解決策はなかった。この時も今ヶ瀬は「先輩に考えてほしい」と言ったかな。とにかく、ホテルではキスだけとはいえない関係に、二人はなってしまいます。


 ようやく帰宅した恭一。

 バスルームのドアを開けると、知佳子の反応は知らない男が侵入してきたようなもの。

「帰ってきたよ」にも「わかった、すぐ出るから」と、よそよそしい感じ。

 ここは、異性愛に戻ってきた、と解釈されるコメントにはなるほど、でした。ですが、知佳子は冷たい。心はすっかり離れています。


 この夜、恭一の帰宅はかなり遅かったはず。

 しかし知佳子も、けっこう遅いのです。

 ここ、彼女は不倫してきたのだ、と指摘される方がいました。

 どうにか恭一よりは早く帰宅できた、急いでシャワーを浴びて不倫の証拠を、別の男の匂いを消さなくては。

 この夜、知佳子は、不倫相手と話し合いもしたのではないでしょうか。浮気の証拠は挙がらなかった。この際、きっぱり別れようと思う。今度の週末、ちゃんと言います、とかなんとか。

 話し合いはなくても、知佳子はふだんから帰宅が遅くなっていたのかも。恭一の帰りがさらに遅いから気づかれなかっただけのことで。それとも、互いに何時に帰ろうか気にならない、家庭内別居の状態だったのかな。


 バスルームを引き上げる恭一には、すでに無精ひげが。この夜の長さを象徴してますね。

 このように、映像で見せられた事実だけ追っていくと、たいして意味のない場面、に思われるのですが。離婚へと向かう重要な夜だったのかもしれません。


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