(68)恭一は何故もてるのか
「どうして恭一が、あんなにもてるのか分からない」というご意見を散見します。クズ男、浮気、流されやすい、いい加減、なのに何故。
でも私は、恭一はもてて当然、と思ってます。
まず、あのルックス。今ヶ瀬が一瞬で恋に落ちた、というのも納得です。映画化にあたっては、恭一役には、容姿が大きな要素、大倉忠義なら文句なしです。
そして、恭一はやさしい。人当たりもいいし、まめでもある。よく、「俺はまめなだけだよ」と、もてる男性は仰いますが、それが、なかなか出来ない。
結婚記念日の対応も、しっかりできている。今ヶ瀬の誕生日も、ちゃんと覚えていた。そつがない人です。
監督は、恭一は「相手の求めに応えたい」人なんだ、みたいな発言をしています。気遣いができる、または気遣わなくてはいけないと思っているのでしょうか。
ただ、誰にでもやさしいとは、誰にもやさしくないのだ、とも監督は言っています。
恭一は、次々と相手を変えた。付き合う期間は短かったでしょう。逆に言えば、短期間ならごまかせたのです。表面的なやさしさ、気遣い。それだけあれば十分です、相手は恭一に幻想を抱いているだろうし。
知佳子とは、「なんとなく」二年つきあって結婚。恭一を絶対射止める、の決意で二年ねばった、と想像します。
おそらく社会人になってからの交際。高スペックで非の打ちどころのない男性、見せびらかすのにもうってつけです。「そろそろ結婚しない?」くらいは「口にしたのでは。
離婚を決めたら慰謝料目当てで、興信所に調査を依頼する、しっかり者。証拠が出てこなかったのは意外だったでしょうね、今ヶ瀬がごかましたので仕方ないけど。
「俺は、お前がそんなこだわるような、いい男じゃないよ」
今までの相手なら、ここで納得して、別れを告げたのでは。私の思い違いだった。期待しすぎていた。理由はいろいろですが、結局、恭一に失望して去っていく。
ところが今ヶ瀬の返答は、恭一の予想とは全く違いました。
「そんなのわかってますよ。あんたは最悪だ」
好きな相手に、ここまで言う?
「だけどね。見た目がきれいで人間ができてて、自分にいい思いさしてくれる完璧な相手をみんな、探してると思ってるんですか。
そういうもんじゃないんだよ」
ウソをついて瑠璃子に会ったのがバレて今ヶ瀬は激怒。これでおしまいだと恭一は思ったはず。
しかし今ヶ瀬は、いい加減な男でも、恭一を嫌いにはなれない。
好きだから怒るんだ。
そんなメッセージを残して、出ていったように思います。
ただの後輩ではない。
恭一が今ヶ瀬を意識したのは、あの怒りの発言がきっかけだったのかもしれません。
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