(63)好きで好きで大好きで
公開直後、監督への質問で「今ヶ瀬は何度も恭一に『好き』と言ってるのに、恭一は一度も言っていませんが」というものがあり、「恭一は「わかってないんだと思います」が監督の答えでした。
でも今ヶ瀬、そんなに何度も「好き」と言ってますかね。
はっきりしているのは、ホテルで恭一から問われる場面、
「おまえ、俺のこと好きなの?」
「好きですよ」
ここだけじゃないですか。
タイ料理店では、夜中に呼び出されて出てきた理由を、
「好きな人に呼ばれたら飛んでいくような男なんです、俺」
と。ストレートに「好き」とは言ってないですね。
以後は、夏生が恭一に言いますね。
「学生時代、今ヶ瀬は恭一が好きだったんじゃない」
夏生と今ヶ瀬の会話では、
「いつから好きなの?」
「はじめて話した時からです」
ここでも、今ヶ瀬が恭一を「好き」と言っているわけではない。
でも、恭一が好きという気持ちは出しているので、本作を何度も見ていない当時、「好きと何度も言っている」ように感じたのかもしれません。
恭一は、確かに「好き」という言葉で今ヶ瀬への思いを表したことはない。それ以外の言葉がいろいろありますが。
たまきとの初めての朝。
「そんなもんなくたって忘れるわけないのに」
今ヶ瀬への未練、たらたら、なくたって忘れませんが、今ヶ瀬が「これだけは置かせてくれ」と残していった灰皿を、今ヶ瀬そのもののように熱く見つめていたんでしょうね、たまきがいないときは。
タバコを奪うシーンでは、今ヶ瀬の頬を指で愛撫し、
「バカだねえ、おまえは」
愛しくてたまらない、といった風ですが、「好き」とは言わない。
とはいえ、恭一も「好き」を使ったことはありますね。
寿司屋で、知佳子のことを大切にしたい、と言ったのを今ヶ瀬が「どうしてですかと問う。
「好きだからだよ、そんなの当たり前だろ」
「好き? なんとなくじゃなくて?」
「好きだよ」
恭一の、知佳子に対する「好き」が。よくわかりません。
他には、
「山形ならラ・フランス買ってきてよ」
「好きなんですか」
「うん、好き」
恭一が「好き」と口にしたのは、この程度だったようです。口に出さなくても、今ヶ瀬を好きなことは間違いないので、これでいいのかな、そういうキャラですしね、恭一は。
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