(58)たまきVS今ヶ瀬
たまきと今ヶ瀬は、一度だけ顔を合わせてますね。
なんとも複雑な場面。
誕生日のディナーの前に、恭一が女と会う。仕事のこととはいえ、チーズケーキなんぞ持参して、あれは、今ヶ瀬の言った通り、一緒に食べようという誘いを期待したに決まってます。ワインの話が出たとき、恭一に彼女はいない、と踏んだ、たまきは、あらゆるチャンスをものにしようと思ったはずです。
恭一が、たまきと迎えた朝。たまきは、灰皿に目を留めます。
灰皿は、「前の相手」が置いていったもの。過去の恋人です。関係が終わったから、自分が対象になった。当然、たまきは、恋人の座を狙います。
「どうして終わってしまったんですか」と尋ねる。
「前の人と同じ失敗を繰り返したくない」からです。ここでの灰皿は、あくまで過去の人のもの。
しかし、恭一の部屋に料理しに行ったとき。
恭一と今ヶ瀬は既に復縁していました。婚約者としてのたまきは、恭一が過去を葬ってくれたのか不安で、キッチン下のドアを開けたら、しっかり、そこに灰皿が。封を切ったタバコと灰皿のおまけつきで。
(16)で、たまきが帰った理由を考えているうちに(!8)の考えにたどりつきました、あれは,,
たまきに見せて追い返すためだったと。
あの時、恭一はつまらなそうに外を見ていますが、あれも、わざとだったりして。たまきに灰皿を探す時間を与えるために。
確かに酷いです。でも、この映画は、立派な人間を描いたものではない。愚かな男と愚かな女しか出てきませんが、そこに惹かれるのは見る方の勝手。
今ヶ瀬にすれば、デートの邪魔をされ、一時的とはいえ、恭一を盗られた相手です。恨み骨髄、この程度は、当然の報復かと。
以前、たまきの家のクローゼットと、キッチン下の物入れが対、と、ネットで見て、そうかと思い込んだのですが。今では違う気がしてなりません。
たまきと、今ヶ瀬は路上で会った。
物入れの中に、たまきが見たのは、今ヶ瀬そのもの。
「対」と捉えるべきなのは 、むしろ、この二つの場面なのでは。
路上での、今ヶ瀬は、あくまで「友人」。恭一も、今ヶ瀬も、実情を隠していて、本心は、見えない扉の中。たまきも、友人と紹介されたから、そうだと信じこんでいる。
たまきは、扉の中に、「前の相手」が戻ってきた証拠を見つけますが、それが今ヶ瀬だと気づくことは、ありえない。
どちらの場面でも、恭一の心は、今ヶ瀬に向いています。前者は、破綻前。後者は、復縁後。という違いはありますが。
最後に、たまきの衣装について。
彼女の私服も基本的に白と黒ですね。
料理に来たときは、白のセーターに、白と黒の大きなチェックのスカート。しかし、男たちの衣装は、無地ですよね。今ヶ瀬が自室で電話尾受けるとき、白というよりはアイボリーに、黒のヘンな模様のシャツを着てますが。あのときは同棲相手と暮らしていました。
最後に、たまきは白と黒のジャンバースカートで恭一と会いますが、なんというか白と黒はバラバラになっていて、同じモノトーンでも、恭一、今ヶ瀬とは、だいぶ違うなあと思ったのでした。
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