(52) まだあった、対のシーン

(23)で対のシーンについて、書きましたが。

 コメントでお教えいただいたのが、救急車のサイレン。そして、

「行こう」というセリフです。


 救急車、まずは、寿司屋を出たところ。

 何が目的なのか、はっきりしない今ヶ瀬に、恭一が、「黙っててくれるよな」

 と、念を押すあたりで。まさか、直後に、キスしてくれたら、なんて条件を出されるとは、だったことでしょう。

 二度目は、恭一がゲイバーを出て、泣きながら路上をゆくシーン。

 今ヶ瀬的な何かを探しに行ったのか。

 最初のサイレンシーンとは、全く状況が変わっていて、見ているこっちも切ない。


「行こう」というセリフ。

 夏生も口にしていて、恭一との対、と捉えるならば。


 夏生の「行こう」は、異性愛へのいざない。恭一は、今ヶ瀬を選べなかった。

 次は恭一。

 たまきを「追い返した(と、DVD、の特典の対談にありました)」あと、恭一が、待っていた今ヶ瀬の車に行き、発した言葉ですね。

 これは、同性愛へのいざない。


 しかし、恭一は、冒頭で、寿司屋へ「行こう」と、今ヶ瀬を誘っています。

 この時は、後輩と、あのような関係になるとは、夢想もしなかった頃で、車にいた今ヶ瀬にかけた「行こう」とは、まったく意味が違う。

 3回の「行こう」が、ふたつの対を成している、といえるでしょうか。



 あと、つい最近ですが、もう一つ気づいたのが、恭一が、今ヶ瀬の胸を突く、というか突き飛ばす、というか。これが二度、ありました。



「キスだけでいいって言ってるのに」

「だけって、そんなカンタンじゃないんだよ」

 と、両手で胸を突く。


 後半、別れてもストーカー行為をやめられず、恭一と路上で話す今ヶ瀬。

「なんでも言うとおりにするから」

 と迫るも、

 恭一は、また今ヶ瀬の胸を突いてしまうのですね。


「おまえは、もう要らない」


 ここは、何十回も見てるのに、そのたびに、つらい。

 それで、対だと気づくのが遅れた、のかもしれません。初回では、こんなラスト近くなって、やはり別れて終わってしまうのか、とショックでしたね。


【あとがき】

50記事書いたのだから、次は51,なのですが。

再開のお知らせがメインなので割愛しました。


ブログの(23)の記事を読んでいることが前提の記事で、申し訳ありません。

本作について、この記事がお初の方には、訳がわかりませんよね。基本ネタバレですし。とりあえずアップします、すみません。

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