第17話 勇者長考!!・・・こじらせ

 この街に移動して4日目の晩だ。食事も終えて宿の個室にエルザと何をするでもなく2人で居る。

 

 ・・・まあ茶くらいは飲んでるが。

 

 でだ、ちっと整理だ。ってか決断が居るだろう。この状況は不安定だ。

 

 まず大前提として、ここらで移動しておかねぇとまずいだろうってのがあるな。クソ国家と酒場勢力が追いかけて来る筈だ。

 

 こいつが不安定の大元だな。まだ良くわかってねぇが、勇者って位置づけは利益があるんだろう。

 

 そんで現状は、街から逃げ出して1日、狩り暮らしで3日だ。ここいらが多分限界だろう、早々にあの国とダルーイの酒場から距離をとらなきゃいけねぇ。

 

 だが律儀にもゲームの仕様通りで、街が変わるとモンスター分布が変わるってーか強くなる。

 

 おかげ足止めされてるわけだ。強くならないと次の街はお預けシステムだ。

 

 まあ最初の街から遠くねぇってのもあって強敵はまだ出てきてない。ここ数日で近辺のモンスターは安定して狩れているし金も大分溜まって来た。うろおぼえの血抜きと冷やしと糞尿袋の除去が良くて、良質扱いで高く買ってくれてるってとこだ。

 

 追手が来る中でちっと不安だったが、街近辺のモンスターを安定して倒せるようにしねぇと、最悪死ぬ恐れがあるから慎重に事を運びてぇな。

 

 しっかし勇者様と祭り上げられて奴隷暮らしか、慌てて逃げだしてモンスターに襲われてバッドエンドかの二択ってのは厳しすぎやしませんかねぇ。クソ仕様すぎんだろ高次元なんちゃら様の世界は。

 

 まあ愚痴っても仕方ねぇ、んで逃げ出したとは言え1日で移動できる距離にある街だ。モンスター狩りをしている2人組って一致点だけで噂が流れて、この宿に追手が来てもおかしくはねぇ。

 

 頃合い的には今日でも明日でもおかしくねぇと思う。今の所それらしい奴らはまだ来てねぇだけだ。

 

 まあ用心の為に2日目の晩から寝てるベッドの脇に鞘から抜いた大剣を隠し置くのは忘れてねぇんだが、人相手に斬った張ったはどうにも整理がつかねぇ。いつかはつけなきゃなんだろうけどよ。まあそれはいいとしてだ。

 

 現状は、もっと早くに別の街に動いても良かった。だがモンスターが出る上に、頼れる知り合いすらいねぇ、頼りになるのはエルザと俺のモンスターを倒す力と金くらいなもんだ。その心もとない2つを少しでも安定と向上させておかねぇと逃亡の足もおぼつかねぇし落ち着かねぇ。

 

 慌てて逃げまどって窮地に陥るのは馬鹿くせぇ。

 

 夢ん中に居たネズミが下水に逃げ込んだら、ただのドブネズミってやつだ。ボロを着てコソコソと薄汚ねぇネズミみたいに逃げるより、旅人面してりゃ、堂々と生きていけるだろうからな。戸籍だの精巧な顔写真だの絵画なのはねぇしな。

 

 とりあえず、ながったらしく確認したが間違いはねぇだろう。

 

 ・・・うし多分大丈夫だ。明日街を出る。

 

 根拠は、金も溜まったし力もついたって具合にシンプルだ。大きな決断の根拠ってのはは感情に支配されないくらいシンプルなのがハズレを引きづらいって思う。これくらいシンプルで当たりだろ。

 

 「エルザ、ちっといいか?」

 

 「はい!先ほどからお悩みでしたわね。私もにも相談してくださいね」

 

 「おぅ、すまんな。これからは気を付けるわ。考えてる事も話して行くわ、とりあえず今回は話を聞いてくれ」

 

 「はい、一連沢庵ですわ!」

 

 ちょっと惜しいな。托生だ。いちれんたく、まではいい感じだぞ。切れてねぇ沢庵とか料理下手な新婚の主婦の微笑ましいエピソードかって話だ。

 

 「一連托生な、自分が善人である前提で生まれ変わって同じ蓮の花の元に帰るだったりって意味だ。まあ自分が善で神仏の元にある蓮に寄り添えるって大層な自信家で傲慢な思想がベースの言葉だな。まあ貴方となにがあっても一緒に涅槃で蓮の花の元に生まれましょうってことだ」

 

 壮大なプロポーズだわな。ははは。

 

 「っと脱線したな。本題から言うと明日この街を出るぞ。商人の馬車に相乗りさせてもらう段取りだ。いっつも素材買い取りしてる道具屋経由で頼んでおいた」

 

 「うーん、結構早い移動ですわね。なにか理由がございますの?」

 

 「だな、勇者って呼ばれない位置まで移動したいんだよ。要はこの国を離れておきたい」

 

 「なるほど、わかりましたわ!!あの方たちは仕事押し付けるだけで何もしませんでしたしね」

 

 「ああ、そうだ。しかも死ぬ可能のある仕事を無報酬で丸投げできる鬼畜だ」

 

 「わかりましたわ、それでは荷造りをしますね」

 

 「すまんな、荷馬車は隣国まで走ってるみてぇだから、そこで安定を考えよう」

 

 「はい、家を構えたりと新婚生活ですね」

 

 ん?結婚すんのか?・・・安易に触れると火傷する話題っぽいな。当たらず近からず遠からずで回答しておこう。へへこう見えても永田町文学を作成していた事もあったんっだぞ。誤字脱字多かったけど笑。

 

 「まあ今より楽しい暮らしにはなるさ」

 

 「ですわね!」

 

 「そんで、出発は明日の早朝になるから、今日のダウンロードは用心も兼ねて乗馬関連があるようなら、それにしてくれ戦闘カテゴリにあるやもしれん」

 

 「はい!寝る前に探してみますわ」

 

 「ほんじゃ話は以上だ。各自荷物整理はじめようぜ」

 

 その後、夜でもあるので他の宿泊客に気づかれないように静かに荷物の整理を行った。


 「おーいエルザ、こっちは終わったぞ。問題なきゃ先に寝るがいいか?」

 

 「はい!こちらも終わりですわ!ご一緒します」


 最近は、エルザと同じベッドで寝ている。最初は別々だったが気付くとこっちに来て寝てやがる。。。まあ慣れた。


 それにあいつ寝始めるとモデム音するから、色気とか考える気にならん。まあ、びびるけどな。ピーブーピガピガってな感じで音声的には144とか288のアナログモデムって感じだ。どんな寝息だよ。実際のデータ量からからみたら高次元なんちゃらの遊びなんだろうけどよ。

 

 とりあえず、明日の朝は早いから用意終わったし寝るってか活動停止だ。 

 

 にしても、くっそチートうらやましいわ。モンスターを倒す力につっても、大作RPGに酷似しただけの世界で「それ」そのものじゃねぇから力任せに倒してるだけで勇者様の魔法もありゃしねえ。

 

 もちろん強さを知る為のレベルシステムもステータスウインドウもありゃしねぇ。

 

 エルザだけは、わけわかんねぇチート貰ってるみたいだけどな。しかも、まだまだ隠し玉がありそうだ、詳しい話はちょい前まで別部屋だったから未だに聞けてねぇ。後で聞いておかねぇとだな。そんで、こっちはさっぱりだ。俺はただの健康男子ってだけだ。

 

 まあ無い物を嘆いても仕方ねぇ、今度高次元なんちゃらにあったら小言をいうだけしか出来る事はねぇだろう。ぐだって手も仕方ねぇんだよって自分の心が強くなるように面倒事が起こる都度、自己洗脳かけとくしかない。

 

 さて、取り止めがねぇからここらで考えるのをやめるか。

 

 そんで俺は今日も自分が作った最高の見た目の女と寝る。だがDTをキープする精神力。てか生活から不安が消えるまでは、それどころじゃねぇからな。

 

 「エルザ、んではおやすみ」


 「・・・はい、戦闘データみつけてから寝ますわ。お先にお休みください」

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