第15話 エルザ散策!!・・・ぶんぶん

 宿で朝食を済ませてエルザと街へ散策に出る事にした。

 

 仕方ねぇ事だとは思っちゃいるが、今は逃亡生活っていや逃亡生活だってのもあって俺たちは若干目深にフードを被りながら歩いている。


 街は昨日チラッと聞いた通り、人通りが多く賑わっている。あちこちに小さな屋台みたいなものも出てるし、路上に店を出して訝し気な”自称良品”を売ってる店も見える。くっそ怪しいツボとか、落書きまみれの伝説の古文書とかもある。いい仕事してますねぇおじさんでも連れて来なきゃ道端で買い物すんのは無理だな。

 

 色々と目に付くが、今日の目的はモンスター退治で生計を立てる為に必要な物を揃えるってやつだ。

 

 幸い、転移からすぐにモンスター退治の奴隷をしてたので、幾ばくかお金は持っている。さすがに「どうのつるぎ」と「こんぼう」だけじゃ火力的にも見た目的にダメだと思うしな。「どうのつるぎ」叩きつけて斬る武器って割には脆いし、棍棒にいたっては、そこらの木の瘤にしか見えねぇ。

 

 

 「マスター!今日はいい天気ですねー」

 

 「ん?ああ、そうだな。晴天だな。買い物日和ってやつかね」

 

 しかし、この手のRPGで雨が振ってる描写って中々ねえよな。ここらへんも神の手っつーか製作者の意向だったりすんのかね。実際は容量不足で作ってないだけな気もするがな。

 

 しばらく歩いていると剣と盾を看板にした店が通りに見えた。

 

 「おぅ、エルザ。あそこが武器屋だと思うぞ」

 

 「どちらですの?・・・ああっ見えましたわ。剣とあれは盾ですのね」

 

 2人で店内に入ると、はじまりの街の狭い武器屋とは違って結構な品ぞろえがあった。

 

 片手剣類は「どうのつるぎ」「てつのつるぎ」「はがねのつるぎ」

 大剣類は「どうの大剣」「てつの大剣」「はがねの大剣」

 斧類は「どうのオノ」「てつのオノ」「はがねのオノ」

 鈍器類は「こんぼう」「おおきづち」「おおかなづち」

 杖類は「ひのきのぼう」「かしの杖」「まどうしの杖」

 特殊武器は「くさりがま」「ブーメラン」「かわのムチ」

 

 限りなく最新版のような古いようなラインナップだなぁ、まあ使えればいいんだけどよ。槍とメイスがねぇって感じか。魔法系の杖があるってことは魔法あるんだ。魔、賢とかかねぇ。

 

 「エルザ、こん中から武器を選んで欲しいんだが、見てわかるか?そんで出来れば自分で選んで欲しい、些細な違和感が戦闘では命取りだからな。自分で納得するものを選んで欲しいんだわ」


 「はい!わかりましたわ!こちらですのね!!」


 いそいそと武器の前に立って眺めはじめる。戦闘に関連する事になると、ちょっと元気になるよなコイツ。


 「今後の成長も考えて武器の種類を確定させておいた方がいいと思うぞ」

 

 「そうですわね、わたくしはどちらかと言うとドッパーンと殴りたいですわね」

 

 ドッパーンかぁ。美少女なのになぁ。ワイルドタイプなんだよなぁ。


 「まあ、いままでの戦闘スタイルがそうだしな。っつーことは大剣か斧か鈍器だな」

 

 「そうなりますわね、うーん試してみれませんの?」

 

 そんな会話をしていると、武器屋の店員っぽいやつが近くに来て、店内に素振りするスペースあるから、そこで素振り位ならいいと言われた。ふーん、まあ試し斬りなんてーのは消耗しちまうしな。

 

 「んじゃあ、ちょい振らせてもらうか。好きそうなの選んでくれ」

 

 「はい、わかりましたわ」

 

 エルザは大剣からは「てつの大剣」、斧からは「はがねのオノ」鈍器からは「おおかなづち」を持って素振りスペースに移動した。

 

 選んだ三つともこんぼうと違って両手持ちになるから、ちっと勝手がちげぇと思うんだが平気なのか?ああ、灯台でボスみてぇな虎だかなんだかをやったときも棍棒両手持ちだったわ。

 

 

 「ふんっ!こうですわね。こうやってこう!!」まずは大剣か、ブンブォンと振り回して納得したっぽいな。うなづいてるわ。

 

 「ふん!せい!こう!!」次に斧か、ブンブンブンと振り下ろしてるがしっくりこないらしい。首をかしげてる。まあ手ごたえありきの武器な気がするしな。反動わかんなきゃ意味ねぇ気がするわ。

  

 「こう!こう!こうですわ!!」最後は金槌か最初からテンション高めでグワァングワァンと回転しながら振り回してる、これも納得したらしい。

 

 「どうだ、エルザ。しっくりくるのはあったか?」

 

 「最後に試したのが良い感じでしたわね、その次は大きな剣ですわ」

 

 ふむ、まあ見ててもそう思ったしな。じゃあ「おおかなづち」でいいか。

 

 「エルザ、そんじゃそいつを買っちまうがいいか?」

 

 「はい!宜しくお願いしますわ!!」

 

 ほいほいっと、んでわエルザの武器はこれで決まりだな。俺はどうすっかねぇ、次にエルザの感触が良かった大剣にでもしておきますかね。見た感じただの剣だしな、使ってきゃ慣れるだろう。あと片手剣は絶対に選ばねぇ、勇者感あるからな

 

 「じゃあ清算してくるから、少しその辺で時間つぶしててくれ」

 

 「はい!といいたいのですが、近くにおりますわ。こういう時にはぐれると攫われて面倒がおきますもの!」

 

 ははっ、なんだそりゃ。でもありがちな桃姫展開だな。まあ、それなら一緒に済ませるか。不用心で不用意な自分を責めないヒロインとかくっそ最悪だからな。

  

 武器屋の店員に言って「てつの大剣」と「おおかなづち」を買った。大剣には背中に背負える鞘がついていたんだが、金槌には何にもついてなかった。まあ刃物じゃねぇからいいんだろうが、見栄えが悪いな。あとで何かしら考えとくか。

 

 ちなみに今まで持っていた武器は少々高めに買い取ってくれた。なんでも戦場から壊れずに武器屋に帰って来た武器ってのは出来が良い事の証明にもなるらしい、それと縁起物って意味合いもあるらしいが、まあ得したなってことだ。・・・エルザが「こんぼう」 を使ってたと聞いて下取り値段があがったのはご愛敬ってやつかね。美少女愛用の棍棒!とか触れ込みで売るんかねぇ。

 

 ・・・・笑えねぇ。2000年以降の秋葉原かよ。

 

 武器屋を後にして、次はどうするかなって思っているんだが、その前にだ。街歩いて目に付くには髪の毛の色だ。はじまりの街から、もしかしてって思ってたが黒髪がいねぇ。

 

 最初の国から追手が来るなら、特徴として黒髪ってのは言われてそうだ。髪染めちまうか。

 

 「あーエルザ、諸般の事情で俺は髪を染めようと思うんだが・・・」

 

 「そうですわね、マスターの御髪の色は目立ちますわね」

 

 エルザも思ってたのな、まあそりゃな。しかし、こんな世界観じゃヘアカラー剤なんてねぇしな。

 

 「どうやって染めたもんかねぇ・・・」

 

 うーんガキの頃にやったみたいに染めるかねぇ。ここいらで目立つ色は金、銀、緑、赤、白くれぇか?できれば多数の金によせてぇな。金ねぇ、、、あー。

 

 「エルザ、香辛料だのを扱ってる店を探すぞ。ターメリックなら使える」

 

 「???・・・頭がカレーになってしまいますわ。好きですけれども!」

 

 そこ、ちょいキレ気味に顔赤くして言う場面?カレー好きを告白するのは照れるとこか?

 

 まあいい、とりあえずターメリックを探すか、世界観的にどうせそこら道具屋にでもあんだろう。商店の分類も武器、防具、道具とかしか区分ねぇしな。

 

 そんじゃま街ぶらつきながら探しますかね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る