第14話 エルザ更新!!・・・ねぇなんで
食事を終えて、部屋に戻りながらエルザと話す。
「エルザ、とりあえず後は休むだけだが、明日以降の予定を少し考えるぞ」
「はい、わかりましたわ!」
せっかく2人で居るんだ、一人でぐちゃぐちゃと考えても仕方ねぇ、エルザの希望も取り入れて、適当な辺りに決めて過ごしていくとするしかねぇわな。
部屋に戻って室内に置いてあるティーポットみてぇな奴でお茶をいれる。そういえば、こいつの好みの茶も知らねぇな。
「エルザ、茶をいれるが飲むか?」
「はい、いただきますわ」
「そういえば、エルザは好きな茶とかあるんのか?」
「うーん、特にはありませんわね。あえて言うなら紅茶全般は好きですわ」
「ふーん、なるほどな。とりあえず、こいつはその紅茶っぽいぞ」
「いいですわね。ありがたくいただきますわ」
お嬢な返事をもらいつつ、部屋の中にあるテーブルセットの上に紅茶を2個、合い向かいになるように置いた。
「さてだ、宿で落ち着いたとこで明日以降の予定を考えるとしますか」
「・・・そうですわね」
ん?なんだかテンション低いっつーか思案顔だな。なんか思う所あんのか?
「ん?どうした?なんかあるのか?」
「ええっ、根本的な話ですわ。マスターは勇者ではございませんの?勇者でしたら物語のように魔王を倒せば良いのではないのですか?」
あー、それな。真偽確かじゃねぇんだよな。
「なあエルザ、シンプルに考えるとさ。俺たちは勇者って確証が一切ないんだわ。順序的には、元居た世界から転移してきて近くの街に着いたら、王様の前まで連れていかれて勇者よ行け!って言われただけじゃねぇかって。しかもその王だの街の偉い奴らだのは信用できねぇクズばっかりだったしよ」
「・・・そうですわね、私は誰かに一方的に語りかけられてマスターの側に居なさいと言われて、気が付いたらマスターに草原で抱かれていましたわ。それ以降は一緒ですわね」
抱くっていうか腕枕だっつーの。・・・まあ抱いてって言えばそうかか。つかエルザ視点だとそうなのか、高次元なんちゃらが何を語りかけたか気になるが、まあいい。説明を続けるか。
「でだ、信用出来ねぇ奴らが言う、勇者って呼び方は信用できるかっていうとNOだな。あいつらは都合よく近隣のモンスター退治をする人間欲しかっただけだろってしか思えん」
「そうですわね、信じた私がバカだったのですわ!」
物分かりが良いのはいいが、そのセリフはなんだか重てぇな。違う場面じゃ言われたくねぇ。
「てなわけでだ、勇者ってのは忘れちまおう。お互いにな」
「はい!わかりましたわ」
「んで、明日以降をどうしようかって話になるんだわ。差し当たって生活基盤を作らにゃならん。宿も飯もただじゃねぇしな」
「うーん、いままでみたいにモンスターを退治すればいいのですわ」
「まっ基本はそうなるよな。それで日銭を蓄えつつ、この世界の事を聞いて回るかね」
「前の街に居た時と、あんまり変わりませんわね」
「まあそう言うなってぇの、自発的にやるか強制されるかの違いはでけぇと思うぞ。自分が困らなきゃ、やりたくない事はやらきゃなきゃいいんだしな」
「そうですわね、だいぶ気楽ですわ」
「まっそうだな、気楽に行こうぜ。こういう異世界転移なんて大事が起きた時は慌てるといい事がねぇ。じっくり腰を据えて状況判断しようぜ」
「はい!マスターが勇者じゃなくなっても付き従いますわ」
おーおーありがてぇことで、そもそも勇者なんてものは眉唾だけどな。
「さて、大きな話はこんなもんだ。明日は街を少し歩きながら情報でも集めるとして、今日は移動もあったし疲れたろ。早めに休もうぜ」
「ですわね、そろそろ寝ましょう!」
その後、2人で少しばっかりの雑談をしてお茶を終えた。そのまま部屋に備え付けてあるベッドに腰をかけ寝る用意をしているとエルザの方向から光がみえた。なんだ?慌てて振りむと変なパネルを見て空間をタッチしようとしているエルザが居た。
「なあエルザさんや?目の前にあるものについておしえてくれねぇか?」
「はい?データ更新ですわ!!」
おう?データ更新?なんだそりゃ。画面らしきものをチラッとみると文字が書いてるボタンが数個並んでいる。
「えっとすまん、よくわかんねぇんだが」
「マスターにはございませんの?」
「ねぇな、ちっと教えてくれ」
「これは高次元意識体様が私を転移する時にくださったものですわ。寝ている間に私の知識を増やしてくれるものと説明うけましたわ!!私は生まれたばかりなので勉強するの大変でしょう?との事で頂きましたわ」
うぉおおおい!なんだそのチート特典。俺にはねぇぞ!!んで今まで知らなかったぞ!!
「えっと、それはいままで毎晩していた?ってことか・・・?」
「はい!毎晩賢くなっておりますわ!!」
嘘くせぇ睡眠学習枕じゃあるまいに・・・あの高次元なんちゃら。こっちにはダマテンかよ。んーー多分悪いもんじゃねぇし、まあいいとするか。道理でエルザからアホっぽさが抜けていったり、どこ情報だよな事を言うなって思ったんだよ。
「ちなみにだ、そいつは勉強することだっけか?中身を選べるのか?」
「はい、こちらですわ」
エルザが近くに来て、画面を出すとそこには、3×3のマスにボタンがあって【学問】【一般常識】【雑学】【アニメ漫画】【戦闘】【ノンジャンル】【マスター】と書いてあった。つか最後のマスターだけ下段を全部埋めて3ジャンル分のボタンかよ。ってそこじゃねぇ。あーなんだこりゃ。クイズ番組の選択かよって内容だな。
「おっおう、なるほどな。で、毎晩このボタンから好きな物を選んでるわけか」
「はい、戦闘が上手くいかなかった日は戦闘ボタンを押したり、マスターの事が知りたい時はマスターボタンを押したりしてますわ」
「はぁー・・・なるほどな。まあどうこう出来るもんじゃねぇし。エルザが賢くなりたいボタンをこれからも好きに押していけばいいと思うぞ」
「はい!もちろんですわ」
高次元なんちゃら、やるじゃねぇか。やってくれるじゃん。エルザと同室で寝るとか、ちょっと意識してたのが、ぶっとんだわ。
「んじゃ、好きなのを押してくれ。そんで寝ようぜ」
「はい・・・・今日は雑学にしますわ」
ボタンを押下すると画面が消えて、何事もなかったよう室内はランプの光だけになった。もうなんだか訳が分からんから寝る。
・・・わかんねぇ事を考えてもわかんねぇからな。
あとなエルザ、お前のベッドはあっちだし、腕は枕じゃねぇ。いそいそと来るな。
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