第12話 エルザ正常??・・・きづきませんが
灯台から離れて、エルザと2人で街道を目指して地下道を歩く。来た時に松明をつけて歩いたんだったな、明るく歩きやすいっちゃー歩きやすい。それとモンスターを寄せ付けねぇんだっけか。まあいい。
「エルザ、戦闘終わってそのまま来ちまったが、疲れてねぇか?」
「大丈夫ですわ!まだまだ元気百万ですわ!」
おっ電気百倍から進歩?したな。まあどどっちにせよ間違ってんだがな。
「そうか、ならいい。ちっとばかし強行軍だが、次の街へ急ぐぞ。あの国の奴らが良からぬことを考えてるくせぇ。あのまま街に居ると面倒事しかねぇからな」
「何もされない方々が偉いなんて、不思議な国ですわね」
「ほんとだな・・まあ終わった事だ。無理せず行こうぜ」
「はい!」
エルザと2人で街道へと出て、木の立て看板を頼りに隣街まで向かう。さすがに街道として人の行き来も多いせいか、モンスターとかはいっさい見えねぇ。出て来てもすぐ潰されちまうとこには生息しねぇあたりに少しばかりの知性を感じたりもするが、個体の考えてる事なのか魔王とやらの配置計画なのか分からねぇ。今は深く考えないで移動するか、追われてる身としは道中の安全がありがてぇ。
とりあえず、街道を進むか。
・・・
・・
・
「けっこう歩きましたわね、足が疲れてきましたわ」
「そうだな、さっき見た古くせぇ案内板が正しいなら、あと半分くれぇあるぞ。少し休むか?」
「そうですわね、少しお腹もすきましたわ」
昼過ぎに街を出て灯台のモンスターを潰してから歩きっぱなしだもんなぁ。
「だな、じゃあちょいとばっかし脇に逸れて休むとするか。まだ陽は暮れ切ってねぇからいいだろう」
「はい!」
横合いで嬉しそうに返事をしたエルザの髪が、朱く暮れはじめた陽の光に反射しながら煌めく。
・・・街を離れて再び実感する。
俺の隣を歩きながら、ウキウキ顔で道具袋に手を入れて食い物を探してるのは、元の世界で情熱を注いで作り出したエルザなんだよな。
こいつは妄想から想像になって紙面とデータで形どられて、異世界で命を持つに至ったって。なんなんだろうねぇこのステップアップって言えばいいのか、なんなんなん?
抗いようのねぇものに抗うつもりはねぇが、転移するのはまだいいとしても、何だってこんなヘンテコなRPG世界なんだっつーの。各シリーズのシナリオがぐっちゃぐちゃで正解がわかんねぇ。ってか魔王とかいんのかマジで、それすら疑問だわ。最初の情報源だった国がクソすぎて正しいものがわかんねぇ。
「・むと、・ゲ・すわよ!・スター!」
トントン、と小腹をつつかれる。
「マスター!考え事ですか?」
「ん、ああ、まあな。ちっとこの奇妙な世界についてな。まっ今更だがな」
「んーーーぅ!下手な考えは一生休みですわ!!」
往年のぶりっこグラビアアイドルみたいな仕草をしながら、芯を食ったような事を言いやがる。まあ考えてばかりで進まねぇのは休みだわな。
「そうだな、考えても仕方ねぇ。魔王とやらを倒せといった国とはもう無関係なんだしな」
「はい!そんなことより今は空腹を満たす方が大事ですわ!!」
「違いねぇや、ほれそっちの奥に果実水が入ってる筈だ」
エルザと2人で街道から逸れた場所にある少し大きめな木の下に座り、携帯用の食料として持ってきた、乾ききったパンと干し肉ってか燻製肉みたいなものを食べる。
「まあ、深く考えてもわっかんねぇから。とりあえず隣の町で情報集めるかぁ」
「はい!そうしまsひょう!!!」
返事の最中に口に含むなっつーの。まあいい、細かい事は街に向かいながらダラダラと注意事項を話して伝えときゃいいだろう。
どんなだろうな、追手云々のリスク減らしが目下の大目標かね。
ってことは俺たちが勇者と呼ばれたのは隠すというか無かった事だ。位の対応がいいだろうな。聞かれても知らんと言い張る。あんた何いってんの?頭八ッピ―すぎない?って対応でいいだろう。
んで、次に俺たちの服を他の異世界人に合せる。上着も肌着も技術レベルが違いすぎて目立つ。エルザの服はかわいいので残す。だが俺のはいいや、こだわりもねぇただの部屋着だ。適当に現地服と着替える。
んで、最後は旅人として生計が立てれる位に強くなる。だな。最終的にはどっかに腰落ち着けて生きていくしかねぇんだろうが、今は世界を知らなすぎるので棚置きしておかねぇと囚われるわ。
「さて、エルザぐだぐだ検討してもしかたねぇって事が分かった。陽が落ちる前に街へ行くぞ」
「さっきからそう言ってますのに!」
なんだかアザトーな仕草だな、おいマジでやめろ。元々自分の理想で作ってるってのによ。あざとい仕草ってのは効果があるからあざといって言われんだよ。そりゃ白痴の夢も見たくなるってもんだ。
「へいへい、すんませんでしたー」
その後で、2人でさっき考えた注意事項なんかを話しながら、夕暮れの街道に影を長くしながら歩きつづけた。
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