第9話 エルザ社畜!!・・・ぎわく
新たに加わった3人を引き連れて、街の外に出る。
とりあえず、口頭だけじゃお互いの戦い方や戦力もわからねぇから、数回この近辺のモンスターを倒すって事で全員の了解をもらってる。
「とりあえず何か倒してみてぇとこだが、近辺のモンスターは大分減ってるから地下道とやらに向かいながら戦闘の具合を確かめるでいいか?」
「はい!マスター」「「わかりました」」「はいよっ」
「んでは、移動だ。移動時の隊列は俺と盗賊のウェンディが先頭で並んで、次にエルザと僧侶のフラーレ、そしトルシエだ。2列で進んでいくぞ、まあ移動時は索敵重視って感じだ。そうそう、前の奴との距離は2m位とってくれよ、緊急時に武器だの道具だのを取り廻す邪魔になるからな」
「マスターは隊列上手ですわね!」「「はい、わかりました」」「はーい」
だれも文句を付けるでも無く、指示通りに隊列を組んでいく。めんどくせぇのはいねぇみたいだな。いるんだよこういう時に、とりあえず別の見地から意見を言ってくるやつ。根本が空っぽの奴にありがちなで、ただ話がズレるだけで意味ねぇっつーの。お目目パチパチさせながら一人で悦に浸っててほしいわ。「それってこういうことですよね?」じゃねぇよ。ゴールが違う議論は議論じゃねぇんだわ。
んで、エルザ。隊列上手って何だ?隊列下手とかあんのか?行軍の安定は侵攻の基本だぞ。
さてさて小島へ向かう地下道ね。昼食時の雑談では、海沿いにあるって言ってたな。地下道は海の幸の運搬もしていた所為か道っぽいのが出来ているが、一応地元民?に聞いた方がいいだろう。
「ウェンディ、地下道への道を指示してくれるか?」
「はーい、りょうかい」
ウェンディの指示に従って進んでいくと、防風林か?すこし森っぽい場所が見えて来た。
「ここから、もうちょいっすねー。この辺の森に大カラスが住んでて、餌だの巣の材料を取りに街近辺まで来るって感じっす。さっそく居ましたねー4匹ですね」
ウェンディのゆるめな索敵報告を受けて、戦闘準備をするが、ここは俺とエルザが先に戦闘をみせるとこだな。
「そっか、なるほどな。じゃあ最初に俺とエルザで戦うから見ててくれ。エルザ、あそこに居る大カラスが見えるか?あいつを倒すぞ?」
「見えますわ、私にも見えますわ!!」
おっおう、人の革新を目指すお嬢様って感じだな。
「よし、じゃあいくぞ」
今まで何匹も倒してきたやつなので、気張る必要はねぇけどな。俺が最初に牽制の石ころをぶん投げて、怒って飛んできた来た所を倒すってだけだ。
海の幸の運搬で出来た道の脇に転がってる手ごろな石を見つけて、エルザが俺の左側に配置したのを確認してから4羽の群れに投擲する。
ドゴッと鈍い音がして、一羽は倒れたっぽい。こちらに気づいた3羽が翼を広げて威嚇と羽ばたきをしながら加速して、一直線にこちらに走ってくる。
「今ですわ!新橋式傘ゴルフ!!!」
俺に向かって来た3羽は、横合いから飛び込んだエルザの全力ゴルフスイングをまともにくらって2羽がぶっ飛ばされた。なんだよその悲哀あふれる昭和リーマンみたいな技は。どこで情報いれてんだよ、マジで。
ちなみにだ、残った1羽は驚きつつもそのまま走り込んで来たが、迎え撃つように走り込み、すれ違い様に大カラス顔めがけて「どうのつるぎ」を置いたまま走り抜けた。最後の一匹は顔から斬られて惰性で走って行たが、やがて血を吹きだして倒れた。
「こんな感じで戦ってるな、どうだ?連携とれそうか?」
見学組に戦闘の感じを聞いて見る、俺たちは教練も無く行き成り戦闘モードに入っちまってて人の戦闘を知らねえからな。意見が欲しいってのもある。
「牽制で使ってた石は、私が弓でいけるかなー」
「お2人がモンスターに近づく前に固くする魔法かけますね」
まあ、なんとかなりそうだ。トルシエのおっさん?ああ、彼は荷物持ちがメインなんでね。予備の武器を前線に投げ入れるとか矢の補充を弓手に出すとか、薬草で回復して歩くとか補助なんで。
その後は、4人で戦闘として色々なパターンを試しながら周辺の大カラスを倒しまくった。この世界のカラスもってのは仲間意識が強いんだな、リンクしまくって連携の確認には丁度良かったのかねぇ。※リンク
「これくらいでいいだろう?どうだ連携してみた感想は?」
「ワタクシはスッキリしましたわ!!必殺技が沢山できましたわ」
んー?必殺技って毎回思い付きでやってんのかよ。いつか絶対同じ技で違う名前になるだろそれ。
「そっか、前衛が気持ち良く戦えるのは大事だな、でウェンディはどうだ?」
「思ったより安全に進めるねー。こっちにモンスターが向かって来た時に前の立って視線を切ってくれるのが嬉しいね。その隙に離れてもう一回撃てる。」
いまんところモンスターは単純だからな、突進してくる飛ばねぇカラス。ただの的だろ。
「おう、ヘイト管理っていうのか?怒った敵は引き受けるぞ。捌きが簡単なのは、倒し慣れた敵ってのもあるけどな。フラーレはどうだ?」
「そうですね、ほとんど傷を負うこともありませんから、実際に傷ついた時に対応が遅れないようにします」
真面目かよ、まあ血を見て卒倒するやつもいるってぇからな。
「そうか、じゃあ今の所は問題無いってとこでいいか?最後にトルシエはどうだ。下がって見てただろ思う所もあるんじゃねぇか?」
「ほとんどの戦いが圧倒か完封でしたので、なんとも言い難いですな。率直に申し上げると過剰戦力かと思います。そして、こちらの安全まで目線で確認いただいてるみたいで恐縮です」
「なるほどな、まあ最初だ。ゆとりがあるくれぇでいいだろう。矢の補充やら足を踏み鳴らしてのモンスター威嚇とか細かい所で動いて貰ってるのは助かるわ」
地下道に向かいながら、全体の意見を拾ってみながら振り返る。感想戦ってーんだっけ?腐っても勇者らしいから、一応リーダーらしいことしねぇとな。世界観も立ち位置も見えてねぇけどよ。
「そろそろ着きますよー」
ウェンディのちょっと気の抜けた声に促されて前方を見ると、防風林を抜けた先に海が見える。
海の向こう側に離れ小島が見える。なんつーか距離はそう遠くねぇが近くもねぇ。100m位か?って所なんだが、海なんで距離感がわかんねぇ。
「マスター海ですわ!水着回ですわ!!」
まだはええだろ。アニメだと大体7話あたりが水着回だ、今はまだ2話とか3話らへんだろう。
「エルザ、まあ待て。今日は小島に向かう洞窟の調査がメインだ」
「分かりましたわ!次回は必ずですのよ?」
なんだよ、その情熱は。
さて、改めて周りを見渡すと、海沿いは少しばかりの砂浜があって右手が大きな崖になってる。そしてその砂浜に面した崖の下の方に洞穴みたいな洞窟があった。周りはモンスターだらけだ。たしかに巣でもあるんじゃねぇかって勢いだな。
そして、どうやらこの穴が地下を通って小島に向かう穴らしい、まじか?どんだけ水圧につええんだよ。水族館の通路かよ。
「あれか、中は明るいのか?」
薄暗い穴を指で指しながら、誰となく確認をするとトルシエが答えてくれた。
「そうです。あれが小島への地下道です。普段は壁にある松明に火が付いてますが、今はモンスターが増えているので消えていると思います」
ここらへんは流石商人って所か、まあ実際に使った道なのかもしれねぇな。ってかだ、酸素は平気なのか?海底を通る洞窟ん中で火を燃焼させるとか。
「余計な話だが、その洞窟ってか地下道は息苦しくねぇのか?火をつけたら、息苦しくなると思うんだがな」
「地下道自体はそんなに長い距離じゃありませんので大丈夫です」
ふぅーん。まあ問題の小島とやらも目視で見えるもんな。直線だったとしたら短けぇのかもな。
「そっか、よく知ってんな使ったことある道か?」
「そうですね、商人の仕事で数回使ったことがあります」
「なるほどな、道なりを知ってるやつが居るのはありがてぇ。道中気軽に案内出してくれ」
「わかりました。といってもウェンディさんも知ってると思いますけどね」
トルシエが振ると、ウェンディは少し笑いながら頷づいて答えた。
「あの小島へ行くのが、子供の頃は冒険みたいなもんでさ。良く行ったよ」
「なるほどな、子供たちの秘密基地みてぇなもんか」
「そうそう!そういうやつだよ」
・・・
・・
・
そんな具合に、必要か必要じゃねぇか分からねぇ地元情報を仕入れつつも、地下道の周辺、そして近隣に溢れているモンスターを全滅させる勢いで倒しまくった。
「大車輪こんぼうぱぁああんち!!」
「ダブルこんぼぉぅブーメラッァン!!」
「こんぼうさぁああんしゃぁあいん!!」
途中で「お見せ出来ないよ!」と閲覧規制が入っちまうような必殺技をエルザが何発か打ち込んでいたが気にしちゃいけない。あいつの叫びはきこえねぇ。核分裂で抽出される光なビームは出てないし、生命の進化を促す線も放射してねぇ。ぜったいにだ。
しかし、あいつのデータソースはなんだマジで。スパロボ臭のする美少女とか知らねぇぞ。
まあ、なんだかんだと勇者PTらしくモンスター討伐に励んで、近隣のモンスターの影が見えなくなった頃に、俺たちは洞窟へと向かった。
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あ と が き
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※リンク
:(字のままですがゲーム用語的なので補足行き。敵が次から次へと繋がって出て来る状態。鳴き声や叫び声で仲間を呼ばれたり、戦闘音や血の匂いで連続戦闘になった場合もリンク)
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誤字脱字が記載者の認知による把握漏れという状況から抜け出せない部分もありマスが
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